田酒の旅(続き)
なぜに田酒(でんしゅ)というのかというと、読んで字のごとく「田んぼの酒」、つまり国内原料にこだわった純米酒というのがHP等に書かれている正式見解である。ただ個人的には、おそらく蔵元の西田酒造店を田酒と略していて、それが酒の名前になったとみているのだが、どうだろうか。
さて、ようやく空港に着いたが、道路は完全に凍結していてバスはゆっくりと進み、市内に入ったのは午後1時を回ってから。ホテルに荷物を預け、古川市場で「のっけ丼」の昼ごはん。そのあと駅前の公共施設ビル・アウガ(ここには市立図書館とかも入っている)の地下にあるなじみのお店へ行って、鮭、にしん、数の子、青森産にんにくなどを調達する。
荷物は宅急便で送ってもらい、さらに他のお店でうにや貝、たらこを見たりしていると、何と「田酒<たっぷり>あります」と書いた紙が貼ってある。地下の市場の中にある食事処「田」である。名前からして田酒が置いてありそうなのだが、問題はまだ3時にもなっていないということであった。
「飲んじゃおうよ。車で来てる訳じゃないし」と奥さん、「もし夜のお店で置いてなかったら後悔するよ」。まあ言われてみるとそのような気もするので、百席以上あるテーブル席に座る。他のお客さんは2、3組。大体みんな同じような年格好なのはおもしろい。
田酒と生ビール、ほっけの焼いたのとお新香の盛り合わせを注文。やがて田酒登場。お猪口で来たので燗酒なのかと思ったが、もちろん冷や酒である。最初の印象はすんなり飲める酒だなということだった。純米酒というと、えてしてちょっと甘みが残るしつこいめの味が多いのだが、そうした後味は全くない。また、日本酒によくあるアルコール臭があまり感じられない。
焼いたほっけもすぐそばで売っているものだから、身離れ抜群でこれもおいしい。ごぼうやかぶの入ったお新香の盛り合わせも絶妙の塩梅で、田酒によく合う。とはいえ、これでお代わりしたら夜まで腰を上げられなくなるのは必定だから、一杯だけでがまんして席を立つ。お勘定は2000円ちょっとで、公共施設の中とはいえかなり安い。
たった一合の田酒だったけれど、その後東横インに帰って日が暮れるまで寝てしまうくらい効いた。その間も雪は降り続き、いつしか外は真っ暗になっていたのでした。(この項続く)
p.s. 他にも国内紀行文あります。こちらへ。
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