ステープルズ・センターへ(続き)
さて、この日の興行は3部構成になっていて、3時10分スタートの3試合がいわゆるアンダーカードの8回戦。これが終わるとしばらく休憩があって5時からが第二部の10回戦2試合。また休憩があって、7時からの12回戦3試合はペイ・パー・ビュー放送されるのである。
7時になると、まず頭上の大型画面にプロモーターであるドン・キングが出てきて、イラク駐留の兵士たちと一緒にこの試合を楽しみにしていますというコメントがある。そしてその後なんとブッシュ大統領のメッセージが流れると、すかさずブーイング。女性歌手の国歌独唱があって、いよいよ12回戦の一試合目、ローマン・カルマジン(35勝22KO2敗1引分け)とアレハンドロ・ガルシア(25勝24KO2敗)のWBAインターコンチネンタル・スーパーウェルター級タイトルマッチである。
この二人、両方ともこのクラスの元チャンピオンで、カルマジンがIBFの、ガルシアがWBAの世界タイトルをかつて持っていて、今でも世界上位ランカーである。ただ、カルマジンはテクニシャンで一発がなく、ガルシアはKO率は高いものの強豪と当たると途端に決定力がなくなる。だからこの試合だけは判定だろうと思っていたら、ところがどっこい、この試合が一番早かった。
ご存知のとおり西海岸ではヒスパニック系(スペイン語圏からの移民)、特にメキシコ系ボクサーの人気が絶大である。もちろんその代表格がデラホーヤであり、この日のメインイベンターであるバルガスで、この試合のガルシアもメキシコ人である。だからガルシアの入場には場内大歓声、カルマジンの入場にはブーイングという、主役と敵役が非常に分かりやすい顔合わせであった。
しかし、世界的名トレーナー、フレディ・ローチ(マニー・パッキャオのトレーナー)がセコンドを務めるこの日のカルマジンは、非常に出来がよかった。ガルシアの出鼻に左ジャブ、右ストレートが小気味よく決まり、そのたびに左後ろに陣取っていたロシア人のグループが「ハラショー!」「ハラショー!」の連発である。(カルマジンはロシア出身)
そして3R、またもやカルマジンの左右が決まり、さらに左フックをボディへ、右フックをアゴへと追い打ちすると、ガルシアがあっさりという感じでひざをつく。両手もついて背中を丸めた倒れ方(いわゆるorzですねw)は、どう見てもアゴではなくレバーに入った一撃が原因であった。そして、そのままカウントアウト、なんとカルマジンが3RKOで勝利を飾ったのである。
次の試合はIBF世界ウェルター級タイトルマッチ、今回楽しみにしていたチャンピオン、カーミット・シントロン(28勝26KO1敗)の登場である。挑戦者は世界ランク14位のジェシー・フェリシアーノ(15勝9KO5敗3引分け)。戦績も平凡なフェリシアーノが世界挑戦者の地位を獲得したのは、今年3月のUSBAウェルター級タイトルマッチで、その時点で20勝1敗1分けのホープ、デルヴィン・ロドリゲスを番狂わせでKOしたからであった。
それでも、なんといっても相手は強打のシントロンであり、フェリシアーノの勝ち目は薄いというのが大方の見方であった。しかし、フェリシアーノもメキシコ系、場内は大歓声である。一方、シントロンはプエルトリカン、同じヒスパニックといっても、プエルトリコ系は東海岸に多い。彼らのヒーローは、いまもフェリックス・”ティト”・トリニダードである。そして、メキシコ系とプエルトリコ系の仲は決していいということはなく、シントロンの入場はブーイングで迎えられたのであった。(この項続く)
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