異変 ~せいうち日記56(後編)
低血糖とは、糖尿病治療中の患者にありがちな症状で、端的にいえば薬が効きすぎて血液の中に必要な糖分がなくなってしまう状態である。低血糖については投薬時に必ず注意を受けるし、すぐに糖分が取れるような準備を推奨される。だから私もちゃんとブドウ糖を持っていたのである。
ところが、糖尿病歴が10年にも及ぶ中で、異常に腹が減ってめまいがする以外の低血糖症状になったことがなかった。お腹がすくとくらくらするのは昔からだし(家の奥さんなどは半狂乱になって、食べきれない分量を注文したりする)、だからブドウ糖も持っているだけでほとんどほったらかしだし、はっきり言えば油断していたのである。
後から調べたところ、低血糖を招く要因としては、
1.必要な食事をとっていないこと。
2.過度な運動。
3.アルコールの摂取。
4.下痢。
5.投薬量が必要な分量より多い。
といった点があるそうで、そのままぴったりこの日の私の条件にあてはまる。このまま糖分を補給しなかった場合、意識不明となり最悪は死に至るというから、笑い事ではなかったのである。
なぜかブドウ糖のことを思い出したおかげで、体調は急速に回復した。すぐにパソコンで低血糖を調べたところ、具合がよくなったら食事をとって速やかに栄養を補給すること、お昼までがまんしようなどと思ってはいけないと書いてあったので、すぐに早いお昼へと向かったのであった。
この低血糖のせいで、2、3日はお腹に力が入らず、手足に血が通っていないような感覚があり、考えがなかなかまとまらない状態が続いた。もっとも、「低血糖を恐れてはならない。なぜなら、高血糖による悪影響の方がはるかに大きいからだ」そうなので、この日以来、車の中や会社の机など、あらゆる場所にブドウ糖を置いてもしもの時に備えることにしたのである。
p.s. 「せいうち日記」のバックナンバーはこちら。
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