2007/05/03

ROCKY BALBOA(ロッキー・ザ・ファイナル)

今回のマカオはGW中にもかかわらず行き帰りとも飛行機・空港とも空いていてとてもよかったし、機内の映画がこれがまたよかった。行きは「犬神家の一族」帰りは「ロッキー・ザ・ファイナル」を見たのだけれど、飛行時間が短くて他にも見たい映画があった(「武士の一分」とか「大奥」)のに残念なくらいだった。さすが業績好調のANAである。

両方とも、私がまだ若い頃にオリジナルが大ヒットした作品で、そのリバイバルとかリメイクで、まあ犬神家の方はやっぱりオリジナルの方がよかったねという感じだったのだが、ロッキーの方はいまの時代でしか作れない映画なので、かなり楽しめた。最初のロッキーを映画館で見て、最も印象に残った生卵5個一気飲みもやったし。

日本語吹き替えと英語字幕なししかなくて、日本語は5分だけ見たらあまりにイメージが違ったので、すぐに英語にして英語力のなさを痛感しながら見た。そして後から、これは絶対にオリジナル音声で見なければならなかったなあと思った。まず、アントニオ・ターバー(元統一ライトヘビー級チャンピオン)の演技が巧いのである。ターバーはこの映画を撮るのにあまりに熱心になりすぎて、その後のバーナード・ホプキンスとの試合では動きが鈍くなってダウンを奪われての完敗という落ちがつくのだが、とにかく本職の役者並みだった。

日本でも、ガッツ石松とか赤井英和(この人のボクサー時代を知るファンもかなり少なくなった)とか、ボクサー出身で役者も出来るという例はあるのだが、ターバーの場合いきなり準主役である。アマチュア歴が長くプロ入りいたのもたしか20代後半だから、それなりにいろいろな経験もあるとしても大したものである。残念だったのは、ターバーはもっと巧いし早いので、ボクシングの力を見せられなかったことだが、グレン・ジョンソン戦のように粘る相手には苦戦する傾向があるということについては、それなりにディクソン(映画の中での統一ヘビー級チャンピオン)と重なる点がある。

ロッキーの最初の頃にはまだラスベガスはダウンタウン中心でボクシングの大きな興行がなかったので、今回の試合会場がマンダレイベイというのも楽しい。そしてHBOのペイパービューで、インタビュー会場にはゴールデンボーイプロモーションの名前もあったのは笑った。さらにリングアナウンサーはマイケル・バッファー。バッファーのアナウンスを吹き替えで聞いたら面白さは半減である。

加えてレフェリーはジョー・コルテスである。まあ、実際にあんな試合になったら、コルテスは2Rのロッキー2度目のダウンの前にストップしてるだろうからディクソン圧勝で終わるのだが、そこは映画だから多少は許そう。このようにリアルなボクシングシーンに登場するキャストをそろえて作ったというところにロッキー・ファイナルの面白さがあり、そこらあたりが単なるリメイクである犬神家とは違ったところだろうと思う。松嶋奈々子にあの役は似合わないし。

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2007/02/14

京の冬の旅 ~詩仙堂

昔の国鉄の時代から、「京の冬の旅」という企画が結構長く続いている。私の学生時代(約30年前)にはすでにあったので、それなりにニーズがあるのだろう。思うに、春・秋は修学旅行をはじめとする行楽シーズン、夏は祇園祭をはじめとするお祭りや鴨川べりの川床料理でにぎわう京都だが、冬は結構寒くて客足が伸びない。そこで観光に理解のある寺社の特別拝観を目玉に集客を図ろうとしたのが始まりではないかと思う。

そのせいもあって、よく冬の京都に行っていた時期がある。この3連休は結婚23周年の記念日でもあったので、奥さんと久しぶりに京都・奈良(キョナラ?)観光を楽しんだ。最初は特別拝観のあるところも考えたのだが、二人とも人が多いところは苦手なので、あまりひと気がなくしかも雰囲気のいいところということで、今回は詩仙堂を中心に回ってみた。

昔、京都からそれほど遠くない枚方市に住んでいたことがあるし、学生時代からよく京都に旅行していたので有名どころにはほとんど行ったことがあるのだが、名前が通ったところだから必ずしもいいとは限らない。もちろん天気とかたまたま行った時に工事中だったとか団体客と鉢合わせになってしまったとかいうタイミングの問題もあるのだが、印象がよくなかったところにはあまり足が向かない。今回訪れた詩仙堂は市街からはちょっと離れたところにあるのだが、静かで落ち着くところである。

叡山電鉄の一乗寺から東に向かってしばらく行くと、宮本武蔵と吉岡一門の決闘で有名な「一乗寺下り松」が現れる(松の木自体は代替りしている)。そこからさらに坂道(八大神社参堂)を登っていくと、右手に詩仙堂の入り口がある。ここは徳川家康の家臣であった石川丈山が引退後に三十余年を過ごした山荘で、ししおどしで有名なところである。詩仙堂の名前のもとになった中国の著名な詩人の肖像画(狩野探幽作)とそれぞれの代表的な作品(丈山自筆の書)がちょうど国技館の優勝力士の額縁のように、奥の部屋の四方の壁の上に飾られている。

ここのいいところは居室にじゅうたんを敷いて、来館者が座って庭園を臨むことができることである。それほど人も多くないので、1時間でも2時間でもゆっくり座ってししおどしの音を聞きながら静かな時間を過ごすことができる。前にここに来たのはもう20年以上も前になるはずだが、その時と同じようにゆっくりすることができた。いったん外へ出てから、庭園に回る。結構広くて、丹精こめられた庭の造作は時間を忘れてしまうくらいである。

02100002 詩仙堂。赤く見えているのがじゅうたん。ここに座ってゆっくり庭園を楽しむことができる。

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2007/02/06

節分と旧正月(続き)

さて、昨日は節分から始まって二十四節、さらに旧正月の話まで太陰太陽暦について書いて、太陽暦で暮らしている我々と太陰太陽暦で暮らしている人たちの違和感(もっとも中国でも太陽暦の方がいまでは一般的)まで話を進めてきたのだが、そもそも暦というのはどうやってできてきたのだろうかというのが今日の考察である。

人類が誕生してから、太陽が昇って昼になり、沈んで夜になり、また昇ってくるまでの1周期というのが生活の基本的な1単位(起きて、活動して、眠って、また起きるまで)であるというのは当然のように認識されていたはずである。「日」というのがまさに太陽を示す言葉であることからもこのことは窺われる。もっとも人間の体内時計は26時間周期らしいのだが。そして1日の始まりはそもそもは日の出=起きる時間であり、だから初夢というのは1月1日が終わって眠った時=1月1日から2日に眠っている時にみる夢なのである。

そして、赤道近くにある地域を除いて、この「1日」の長さが毎日違うこと、それは太陽の高さに関係があること、日が短く太陽が低いときには寒くなることも理解されていたはずである。有史以前の古代遺跡等(ピラミッドとかストーンヘンジとか)でもこうした観測が行われていたらしく、太陽が高くなって低くなってまた高くなるまでの1周期=1年のサイクルで、災害(洪水や台風、干ばつなど)が起こりやすい時期があるらしいことも分かるだろうから、人類の歴史のかなり早い時期から、「年」という概念があったものと思われる。

そして人類が定住して農耕が始まるのだが、ここでも「年」のうちでどのサイクルかが分かれば、種まきや収穫の時期が決められる。つまり、この段階で暦は「年と日」だけで十分なのである。古代にはカレンダーなどというものは必要ないし(そもそも紙がない)、週休二日も月給もないのである。「2007年1の日」から「2007年365の日」でもほとんど不便はない。ここに「月」周期、つまり月が新月から満月になりまた新月に戻るまでの約30日のサイクルが必要となってきたかというと、私の推測ではおそらく漁業と海上輸送が始まったからだと思う。

月の満ち欠けは満潮・干潮のサイクルと一致するから、海を仕事場にする人たちにとって月の位置がどこにあるかはたいへんに重要なことである。そして1年の周期と1日の周期の間には365倍の開きがあるから、区切りとしてこの間にもう一つあった方が分かりやすい。それで、「年」と「日」との間に「月」が入ってきたのだろう。しかし、「月」周期と「年」周期とはサイクルが一致しない。「月」を優先すれば11日余るし、「年」を優先すれば11日足りない。これを、「月」の側をずらして対応したのが太陽暦だし、「年」の側をずらしたのが太陰太陽暦とみることもできる。

ちなみに、明治になって旧暦から新暦になった理由の一つが、新政府が支払う月給という概念ができて、旧暦(太陰太陽暦)だと3年が37ヵ月となって1ヵ月多くなってしまうということであったらしい。収穫にあわせて「年」貢を納めさせそれを配分すればいいのであればどちらの暦でも違いはないが、月に一度給料を支払うという取り決めにすると払う側にしてはそれではまずい。いま中国で太陽暦が一般的なのもそのあたりが影響しているような気がする(世界の大勢に合わせるということも、もちろんあるだろうが)。わたし的には、給料だけは旧暦でもらえたらすごくうれしいが、そうなるとローンも旧暦になるから同じことか。

ちなみに、「週」というのはご存知のとおり聖書で決められているもので、本来キリスト教(やユダヤ教、イスラム教も含め)の信者が従うサイクルであった。私の考えでは7日に1日の休みというのは狩猟民族的なサイクルで、農耕民族的には農閑期を除いて毎日働き、収穫が終わって次の種まきまでは休むというサイクルが自然なような気がする。ということで、ちょっと長くなりましたが。

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