2009/07/09

IBF世界バンタム級タイトルマッチ展望

IBF世界バンタム級タイトルマッチ(7/11、米フロリダ)
   チャンピオン ジョゼフ・アグベコ(ガーナ、26勝22KO1敗)
○挑戦者 ビック・ダルチニアン(アルメニア、32勝26KO1敗)

このブログでも何度も言及したことのある、歴代パウンド・フォー・バウンドの一人である元3階級世界チャンピオン、アレクシス・アルゲリョ(マナグア市長)が去る7月1日拳銃自殺したとのニュースが入ってきた。享年57、痛ましいことである。名声と地位、大金を手にした者が平穏な晩年を送るというのも、なかなか難しいことなのかもしれない。

さて、17階級4団体あるプロボクシングの世界チャンピオンのうち、日本人のチャンピオンがクラス最強とみなされているのは、現在のところ唯一WBCバンタム級王者の長谷川穂積だけである。しかしこの試合が終われば、世界的にはこの試合の勝者がバンタム級最強ということになる可能性がきわめて大きい。

やはり注目されるのはダルチニアン。フライ級、スーパーフライ級と制覇して、3階級目。パンチのパワーは、3ポンド(1.5kg)上のこの階級でも十分以上に通用するであろう。ただし、フライ級最後の試合でノニト・ドネアにKO負けしたように、決して打たれ強い訳ではないので、相手の破壊力も増すことに対しては、若干の懸念が残る。

チャンピオンのアグベコはガーナ出身。2004年頃まではアフリカをベースに戦っていて、戦績をみるとガーナ、トーゴ、ナイジェリア、コートジボアールなど各地で試合している。唯一の負けは安定王者シドレンコに0-2判定だから、接戦だったようだ。一昨年あたりから米国で戦っていて、昨年7月、ルイス・アルベルト・ペレスを破ってチャンピオンとなった。

アフリカで戦っていた頃は、ほとんどの試合をKOで片付けている強打者であるが、さすがに本場ではそういう訳にはいかないようだ。とはいえ、アフリカン・ボクサー独特の身体能力があり、体格も下から上がってきたダルチニアンより上。ネームバリューでは劣るが、もしかするとダルチニアンの強打を封じ込める可能性もある。

ダルチニアンは体のバネで打つ選手であるので、ある程度の距離をおいての打ち合いを望むだろう。アグベコも体格差を生かしてダルチニアンを中に入れなければ勝機はあるだろうが、さてそううまく行くかどうか。やはり幾多のビッグマッチを勝ち抜いてきたダルチニアンの方が、より大舞台慣れしているので力を発揮するのではないかと思う。

予想はダルチニアン。アグベコも体力がありそうなので判定勝ちが本線。ダルチニアンがあっさりKOでこのクラスも制するようだと、大変おもしろい。来週防衛戦のある長谷川と絡むことになれば、日本のファンとしてはたまらないのだが・・・。

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2009/06/25

WBOスーパーバンタム級タイトルマッチ展望

WBOスーパーバンタム級タイトルマッチ(6/27、米アトランティックシティ)
○チャンピオン ファン・マヌエル・ロペス(プエルトリコ、25戦全勝23KO)
   挑戦者 オリビエ・ロンチー(カナダ、18勝8KO2引分け)

先月のパッキャオの記事にはいまだに結構アクセスがある。何度もいうように、私もパッキャオが画期的なファイターであることは認めている(なにしろ、フライ級の元チャンピオンがウェルター級で戦っているのである)。画期的ではあるが、あれが最高水準のボクシングレベルとは思っていないだけなのだ。

誰しも、初めて見る卓越した選手には思い入れがあるだろう。アジア初のラスベガス・メインイベンターに肩入れするのも分かる。けれども、例えば1970年代の、モハメド・アリ、アレクシス・アルゲリョ、ロベルト・デュラン、シュガー・レイ・レナード(80年代か)あたりと比べて、パッキャオが世界水準かといわれると、やはり首をひねらざるを得ない。

少なくとも、ほぼ同時代であるロイ・ジョーンズJrとかナジーム・ハメドの全盛期の試合と、パッキャオの試合の、どちらがより後世の批評に耐えうるか、パッキャオを買う人達にも落ち着いて考えてほしい。そうすれば、私がなぜポール・ウィリアムスを高く買うのか、少しは想像がつくというものであろう。

さて、ボクシングは日進月歩。軽量級のスーパースターはマルケス兄弟とビック・ダルチニアンだけかと思っていたら、昨年あたりから急に名前をあげてきたのがこの”ファンマヌ”・ロペスである。この選手のファイトも、相当にすばらしい。

なにしろ、3年間チャンピオンを張っていたカルロス・ポンセ・デレオンを1RKOしてタイトル奪取、その後2度の防衛戦をいずれも1RKO、3度目で実力者ジェリー・ペニャロサをワンサイドの10RKOである。同じクラスのWBCチャンピオンが西岡利晃、1階級上のWBCフェザーが粟生隆寛なのだけれど、両者とも敵いそうにないと思えてしまうのは残念である。

そして今週末、メキシコで”エル・ニーニョ・デ・オーロ”ホルヘ・リナレスの防衛戦、ドイツで”キング”アーサー・アブラハムの防衛戦が組まれているが、最大の注目はボードウォーク・ホールのこの試合であろう。

ロンチー(Olibier Lontchi、本当のところどう読むのかは、現地アナウンスを聞かないとわからない)も決して弱い選手ではなさそうだが、スーパーフライで名城に敗れたガルシアと引き分けているくらいだから、ペニャロサよりもやや下と考えざるを得ない。ということになると、再びファンマヌの豪打がうなりを上げる可能性がかなり大きい。

もちろん今後の成長力がどうかという話はあるけれども、ファンマヌはもしかすると、ウィルフレッド・ゴメス(17連続KO防衛)級の強いチャンピオンになる可能性がある。パッキャオ一辺倒の方々には、ポール・ウィリアムスとかファンマヌ・ロペスの試合を見てボクシングの面白さを味わっていただきたい、と切に思うものである。

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2009/06/17

クリチコ弟vsチャガエフ タイトルマッチ展望

IBF/WBO世界ヘビー級タイトルマッチ(6/20、ドイツ)
○チャンピオン  ウラディミール・クリチコ(ウクライナ、52勝46KO3敗)
   挑戦者  ルスラン・チャガエフ(カザフスタン、25勝17KO1引分け)

この日はもともと、クリチコ弟に前クルーザー級チャンピオンのデビット・ヘイ(イギリス)が挑戦する試合が組まれていたが、ヘイの負傷によりキャンセルとなった。ヘイはいずれヘビー級のタイトルを手にするはずの選手であり、現時点でもクリチコとは五分五分とみていただけに残念。そして、急きょ相手がチャガエフに代わった。

チャガエフは今月、WBAチャンピオンのワルーエフとのタイトルマッチが組まれていたが、試合地フィンランドのコミッションがチャガエフの健康状態からタイトルマッチを認定せず、やはり予定がキャンセルとなっていた。もともと2007年にワルーエフとの決定戦に勝ってチャンピオンとなっていたが、その健康状態から”CHAMPION IN RECESS”(休養中のチャンピオン)という扱いになっていた。

フィンランドだと認定されずドイツでは認定されるというのは妙。未確認であるがチャガエフは肝炎キャリアとの情報もあり、だとすれば世界中どこでも試合をするのは難しいはずである。クリチコ弟としても、いつもと違う気の使い方をしなければならず、ハートに課題のある彼にはプレッシャーとなる可能性もある。

ただし、この試合に至る過程をみる限り、クリチコ弟にかなりの分がある。チャガエフはワルーエフ戦以降、一線級との試合をほとんど行っていない。体のサイズでいえばクリチコ兄弟以上のワルーエフに勝っているとはいえ、クリチコとワルーエフでは動きの速さが違う。

そして、チャガエフにヘイのようなスピードとパンチの鋭さがあればウラディミールもあわてる可能性があるが、チャガエフには一発がない。接近戦のうまさでワルーエフを封じ込めたものの、ウラディミールは苦手な接近戦を避けるはずであり、徹底的にジャブで距離をとって戦うと思われる。

そうなると、ウラディミール安全運転の判定勝ちという可能性がかなり大きい。この試合は月曜日のWOWOWでタイムリー・オンエア中継される予定であるが、もしかして急転直下中止になるかもしれない。WOWOWは多分、差し替え番組を用意しているのではないかと思う。

p.s.出張中のため、次の更新は金曜日になる予定です。

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2009/06/11

統一世界ウェルター級タイトルマッチ展望

IBF・WBO世界ウェルター級タイトルマッチ(6/13、米NYマジソンスクエアガーデン)
○WBO王者 ミゲール・コット(プエルトリコ、33勝27KO1敗) -340
   IBF王者 ジョシュア・クロッティ(ガーナ、35勝20KO2敗) +260

コットがマルガリトに敗れ、マルガリトがモズリーに敗れて混沌としてしまったウェルター級戦線、こうなると、モズリーに勝っているコットが再び浮上してくる。今回の相手はIBFチャンピオンのクロッティ、王座統一戦である。

キャリアでも年齢でもコットを上回るクロッティだが、世界戦線への進出はここ2、3年のことである。これまで喫した2敗は、1999年その頃は無名だったカルロス・バルドミール相手の反則負け(バッティング)と、2006年アントニオ・マルガリトに挑戦した世界戦での判定負け。この頃のマルガリト相手のフルラウンドだから、相当評価できる。

そして、クロッティの名前を一躍有名にしたのは、2007年4月のディエゴ・コラレス戦。それまでライト級で戦っていたコラレスが一気に10ポンド以上体重を上げて、ウェルター+2ポンドでの試合、ダウンを奪ってワンサイドの判定勝ちを収めた。以降5連勝。昨年、ザブ・ジュダーに負傷判定勝ちしてIBFの世界王者となった。

長身でリーチもある。つまり、懐が深く射程距離に入るのが難しいため、相手にとって非常にやりにくい。切れ味はやや物足りないが、マルガリトともフルラウンド戦っているようにしぶとく打たれ強い。32歳になるが、いまのボクシング界で30代前半ならば、脂の乗り切った時期といっても過言ではない。

では、コット相手でもそこそこがんばれるかというと、それはちょっと望み薄のような気がする。

コットの本来の良さは攻防兼備でしかもパンチが硬い(といかいいようがない)ということである。長い間第一線にいる割にビッグマッチに縁が薄く、そのせいもあってここ2、3年は前係りで戦う傾向がみられた。打ち合ってしまうのである。

そうすると、もともと打たれ強い選手ではないので、ダメージも負うことになる。その結果マルガリト戦では、終盤に来て根負けすることになってしまったが、きちんとディフェンスから入っていれば、モズリーを寄せ付けなかったように穴はほとんどない。

おそらく、序盤は守りから入って少しずつペースを上げていくはずで、攻守のスピードでもコットが上回るとみている。コット自身はあまりKOにはこだわらないような気がするが、それでも判定まで行く可能性は3割、残る7割はKO決着があるだろう。KO負けのないクロッティだが、コットの硬い一撃が決まる。

なお、この試合は月曜日のWOWOWでタイムリー・オン・エア中継される。

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2009/05/27

西岡ジョニゴン、内藤防衛戦回顧

WBC世界Sバンタム級タイトルマッチ(5/23、メキシコ・モンテレイ)
○チャンピオン 西岡 利晃 3RTKO 挑戦者 ジョニー・ゴンサレス×

控え目に言ったとしても、日本ボクシング界にとって歴史的快挙である。その割に新聞の扱いはほとんど共同の記事のみ。いくら新型インフルエンザだといっても、どこも記者を派遣しなかったのはちょっと痛い。おそらく、あちらの人々にとって、柴田国明以来久々の日本人チャンピオンという印象なのではなかろうか。

展望記事でも述べたように、西岡の当て勘は過去の日本人チャンピオンと比較しても一味違う。この試合、会場の熱烈な応援を背に、1Rに軽いとはいえダウンを奪ったゴンサレスが前掛かりに来るところを、測ったような左ストレート一発。ジョニゴンの弱点である打たれ弱さをついてロープ外にまで叩き出したのは、今年のベストKOにもランクされる素晴らしいシーンであった。

20年以上前に渡辺二郎が海外で防衛したのは韓国だから、本場米大陸では初の快挙。もちろん、帝拳のジムメイトであるリナレスはメキシコで防衛戦を行っているし、松田直樹もメキシコで勝っている。西岡自身もラスベガスで2度戦っているので、帝拳としての取り組みがプラスに働いたことは間違いない。

さて、こうなると楽しみなのはビッグマッチだが、このクラスで一枚上の実力者であるイスラエル・バスケスとラファエル・マルケスはどうやらクラスをフェザーに上げるようである。現チャンピオンのファン・マヌエル・ロペス、セベスティン・カバジェロも、彼らを追ってフェザーに行く可能性も大きく、残るのは、ダニエル・ポンセ・デ・レオン(前WBO王者)くらい。

それでも、デ・レオン相手に誰かのアンダーカードでラスベガスで防衛戦ということにでもなれば、日本ボクシング界にとって空前絶後の快挙ということになるのだが。何はともあれ、歴史的快挙を喜びたい。

WBC世界フライ級タイトルマッチ(5/26、東京・有明)
○チャンピオン 内藤 大助  判定(3-0)  挑戦者 熊 朝忠×

中国・上海で行われる予定だった試合、数日前になって急きょ日本開催となった。それでも、会場が押さえられて挑戦者が来日できたということは、「急きょ」ではなくかなり以前から上海開催が難しいことが関係者には分かっていたと思われる。

内藤が、ポンサクレック以外にほとんど海外の実力者といえる相手とやっていないことには、以前から批判がある。特に、ライバルである前WBA王者の坂田健史が、ほぼ指名挑戦者級とばかり試合をしてきたので、なおさらである。

私自身は、ポンサクレックに勝ったことはそれだけ価値があった(現在ポンサクは、暫定チャンピオンになっている)と思うし、日本人相手を含めて言われるほど楽な相手ではなかったとみている。ボクシングは一発があるので、そう簡単に実力の違いを見せ付けることなどできるはずはないと思っていたら、この試合がまさにそうなった。

1Rを見た途端、内藤は苦戦するだろうなと予感した。相手は打たれ強いし、勝負を右フック一発にかけているので思い切りがいい。対して内藤は、背の低すぎる相手にいつもの「もぐる」スタイルも使えず、アウトボックスも今ひとつ切れが良くない。

ダウンをとられたラウンドを含め、4~5ラウンドは向こうに行っていたと思われるので、まさに僅差の判定勝ち。それでも終盤をなんとか持ちこたえてラウンドも支配していたのは、キャリアのなせる技であろう。

本当のところ、今日は試合に至るまでのアクシデントがありすぎて、内藤にとって気の毒であった。それでも、挑戦者が意外な実力者であったことは確かだし、楽に戦えるタイトルマッチなどない、ということが証明されたのではなかろうか。

それに、もしかすると内藤はUnderdog(賭け率不利)の方が伸び伸びと試合できるのかもしれない。現代のボクシングは急激に選手寿命が長くなっているので、内藤チャンピオンもあと1~2年はがんばってほしいものである。

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2009/05/21

WBC世界スーパーバンタム級タイトルマッチ展望

WBC世界スーパーバンタム級タイトルマッチ(5/23、メキシコ・モントレー)
○チャンピオン 西岡 利晃(帝拳、33勝20KO4敗3引分け)
   挑戦者 ジョニー・ゴンサレス(メキシコ、40勝34KO6敗)

西岡2度目の防衛戦は指名挑戦者との対戦となり、入札の結果メキシコ開催に。しかし考え方によっては、本場で実力を示す願ってもない機会であり、西岡の健闘を期待したい。日本人チャンプが中南米で防衛戦を行うのは(リナレスを除くと)、1976年プエルトリコで行われた、ガッツ石松対エステバン・デ・ヘススまで遡るはずである。

天才といわれた西岡だが、バンタム級で鉄壁ウィラポンの前に4度の挑戦失敗。その後苦節5年を乗り越え、昨年一階級上のスーパーバンタム級の王座決定戦に勝って念願の世界チャンピオンとなった。これが2度目の防衛戦。

挑戦者のゴンサレスは、元WBOバンタム級のチャンピオン。このクラスでは先代のチャンピオンであるイスラエル・バスケスへの挑戦に失敗しており、これがこのクラス2度目の挑戦となる。

マーク・ジョンソン、イレーネ・パチェコ、フェルナンド・モンティエルといった元世界チャンピオンを倒しているが、一方でバスケス、ジェリー・ペニャロサにはKO負けしている。ボクシング大国メキシコの著名選手で、日本でも「ジョニゴン」と呼ばれるくらいであるが、バスケスやマルケス弟と比べると1枚半くらいは格下である。

この試合、本当のところ最初に思い浮かぶのは西岡がまたもや古傷である目をカットして、TKO負けあるいは負傷判定負けという光景なのであるが、それを振り払って西岡に期待したいのは、日本のボクサーには稀有ともいえるボクシング・センスである。

特にその当て勘である。相手の出会い頭へのカウンター、機先を制する左ストレートの鋭さは、これまでの日本人チャンプと一味も二味も違う。その天才・西岡に、かつて誰も果たしたことのない(リナレスは除いて・・しつこい)米大陸における防衛を果たしてもらいたいのである。

イスラエル・バスケスが相手では結局圧力にやられてしまうかもしれないが、ジョニゴンならばチャンスはあるはず。また、西岡級がジョニゴン級と勝負にならないのでは、日本のボクシングはいよいよ輸入ボクサーに頼る他なくなってしまうではないか。

なお、この試合は25日のWOWOWでタイムリー・オン・エア中継される。

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2009/05/03

パッキャオ・ハットン+シュトルム・佐藤戦回顧

IBOスーパーライト級タイトルマッチ(5/2、ラスベガスMGM)
マニー・パッキャオ ○ 2RKO × リッキー・ハットン

ああ、ハットンあまりにも無策・・・って感じの一戦でした。おそらくハットン陣営としては、デラホーヤ戦はフロック、普通にやれば勝てると思って最初から全開で前に出たんだろうけれど、1Rのパッキャオが要注意なのは昔から決まっているのに、ガードをあんなに下げてアップライトで前に出れば、一発食っても仕方ないでしょう。

正直、パッキャオはよくやっているとは思うけれど、あの大振りのフックが世界水準かと言われたら、それはちょっと違うと思う。ハットンも相手がメイウェザーなら用心していたはずだから、あまりにもパッキャオを甘く見て無策に過ぎた、ということ。私がメイウェザー・シニアなら、前半3Rくらいまでクリンチしてもみ合ってパッキャオの体力を奪いたいなあ。

次はどうやら、復帰路線のメイウェザー・Jrらしい。わたし的には、パッキャオがスーパーライト以上のナチュラルウェイトとやるのは体力的に難しい、という見解は変わらない。これで、今年9戦目で初の予想黒星。私に乗って買っていただいた米国在住のみなさん、すみませんでした。

WBA世界ミドル級タイトルマッチ(4/25、ドイツ)
フェリックス・シュトルム ○ 7RTKO × 佐藤幸治(帝拳)

展望記事で懸念したとおり、パンチのないシュトルムにストップ負けすることになった佐藤。レベルの違いと一言で片付けるのはやや早計で、私は佐藤のボクシング自体に問題があったとみている。

ボクシングは格闘技であるので、心技体が重要であることはいうまでもない。佐藤はこれまで、はっきり言ってレベルの低い国内試合で楽勝を続けてきた。これまでの相手は身体能力、つまり「体」だけで圧倒できたので、心と技を向上させようとするモチベーションが働かなかったのではないか。

なぜ、シュトルムのジャブをあんなにまともに食らうのか?頭の位置をたえず動かすというボクシングの「技」の基本的な部分ができていないからである。なぜ、攻めさせてもらえる場面があったのに、シュトルムにダメージを与えられなかったのか?終始、腰が引けていたから、つまり「心」の部分ができていないからである。

この試合が決まったとき佐藤は、「勝ってチャンピオンになり、政治家になりたい」と言ったそうである。なぜ、世界に日本のボクシングを示す千載一遇の機会に、こういうレベルの低いことを言えるのだろうか。たとえ同じKO負けをするにしても、前に出て精魂尽き果てるまでパンチを出し続けることがなぜできなかったのか。

プロモーションの差で世界の舞台に立てなかったクレイジー・キムが気の毒としかいいようがない。VTRを見直す気になれないほど、レベルの低い試合であった。

p.s.次の更新は5日になります。

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2009/04/28

パッキャオ・ハットン戦展望

IBOスーパーライト級タイトルマッチ(5/2、米ラスベガス・MGMグランド)
○チャンピオン リッキー・ハットン(英国、45勝32KO1敗) +200(3.0倍)
   挑戦者  マニー・パッキャオ(フィリピン、48勝36KO3敗2引分け) -260(1.3倍)

マイナータイトルIBOとはいえスーパーライト級(140ポンド)の試合、これはハットンのベストウェイトである。ハットン唯一の負けであるメイウェザー戦、苦戦したコラーソ戦、いずれもウェルター級での試合であった。普通にやればこのクラスならハットンの勝ちはまず動かないはずなのに、なぜかオッズはパッキャオFavoriteである。

パッキャオにある程度人気が行くのは、デラホーヤ戦の勝利からいって仕方ない。しかしあの試合は、減量や歴戦の疲れからデラホーヤの出来が悪すぎた。1R前の両者の体の違いを思えば、このウェイトの一流選手がパッキャオに手も足も出ないということはありえない

ハットンももう30歳。マイナータイトルWBUのチャンピオンとして、ビンス・フィリップス、ベン・タッキーといった世界戦常連を相手に防衛を続けた後、コスチャ・ズーをギブアップさせてIBFタイトルを取ったのが2005年。以後、カルロス・マウサやホセ・ルイス・カスティージョといった難敵をKO、メイウェザーにはカウンター一発でKOされたが、しつこく攻めてかなり嫌がられた。

メイウェザー戦後に、やはりマイナータイトルのIBOのベルトで戦っているのは、ハットンの場合主要4団体のベルトでなくても客は集まるし、自他共にチャンピオンと認められるということであろう。なにせ、昨年KOしたポール・マリナッジはIBFのチャンピオンで、ハットンとやるためにベルトを返上したくらいである。

ハットン以外ではWBC/IBFを統一したティモシー・ブラッドリーが強豪だが、現段階ではまだまだハットンの方が上。かねてからデラホーヤのラストファイトの相手として有力視されてきたので、臨戦態勢も十分整っているとみていい。

一方のパッキャオ、デラホーヤ戦では142ポンドで戦っているので、今回もほぼ同じ体で出てくることになる。ハットンはデラホーヤより背は低いが横幅があって頑丈なので、向き合った段階で相当の体格差を認識することになりそうだ。

ライト級でのディアス戦とデラホーヤ戦で過大評価されているパッキャオだが、3戦前にはスーパーフェザー級で、マルケス兄とスプリット・デシジョンという結果だったのを忘れてはならない。デラホーヤ戦では出入りを多くした作戦が図に当たったが、もともとテクニックで勝負するボクサーではない。

”Fat Man”といわれるハットンのコンディションがやや懸念されるものの、underdogで気楽に戦えるのは相当のアドバンテージで、前進してしつこく攻め立てるはず。パッキャオの左がもろに当たったとしてもハットンの耐久力が上回ると思う。パッキャオが12ラウンド耐えることは難しいとみる。ハットンKO勝ちにグリーンチップ。

この試合は、WOWOWで実況生中継される。

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2009/04/23

WBA世界ミドル級タイトルマッチ展望

WBA世界ミドル級タイトルマッチ(4/25、ドイツ)
○チャンピオン フェリックス・シュトルム(31勝13KO2敗1引分け) -1100(1.09倍)
   挑戦者 佐藤幸治(14戦全勝13KO) +600(7.0倍)

WOWOWエキサイトマッチの常連・シュトルムと、後楽園ホールの常連・佐藤とでは、やっているスポーツが違うような気がするのだが、やはり同じボクシングということであった。正直なところ、試合になるレベルまで行くかどうか一抹の不安が残る。

シュトルムの実績については、疑問の余地がない。2003年にWBOタイトルを獲得、このタイトルはデラホーヤの6階級目として奪われたものの、今度は2006年にWBAタイトルを獲得。ハビエル・カスティリェホに逆転KO負けでタイトルを失うが、翌年取り返して”Three Times Middleweight Champion”となり、これが6度目の防衛戦となる。

このタイトル自体、14年前に竹原慎二が持っていたもので、彼が現在までのところ日本人として唯一のミドル級世界チャンピオンである。しかし、竹原が勝ったホルヘ・カストロと比べると、シュトルムの方がかなり上といっていいと思う。

挑戦者の佐藤はアマチュア実績があり、OPBF(東洋太平洋)チャンピオンかつ日本王者にも勝っているので、東洋ではナンバーワンと言っていいかもしれない。戦績が示すように、ここまですべて圧勝で来ていることも確か。しかしこのクラス、東洋と欧米ではかなりのレベル差があるのもまた間違いないのである。

そして正直なところ、私自身佐藤のボクシングはあまり好きではない。恵まれた体格と体力で、振り回すだけで相手が倒れているという印象である。こういうボクシングをしていた選手で思い出すのが、タイのセンサク・ムアンスリン。センサクの場合攻撃力がある上に、ムエタイ仕込みでやたらと打たれ強かった。

さて試合展開だが、攻防分離のシュトルムなので、佐藤が疲れるまで打たせてガードする作戦をとるはずである。もし佐藤がデラホーヤのように、細かいパンチを休みなく出せるだけのテクニックとスタミナがあれば面白いが、力任せに振り回して体力を消費する可能性が大きい。おそらく1ラウンド3分間の連続攻撃も難しく、各ラウンド後半にはシュトルムの反撃を許すことになりそうだ。

佐藤に勝ち目があるとすれば、12ラウンド手を出し続けるだけのスタミナがあって、必ずしも打たれ強くないシュトルムを後半つかまえるという、カスティリェホがやった作戦である。ただし、世界の一線級にこれができるほど、佐藤に実力があるとも考えにくいところだ。

帝拳のプロモート能力で実現した試合であるが、世界タイトルに挑む前に、マルコ・アントニオ・ルビオとかコフィ・ジャントゥアとか、そこそこの世界ランカーとの試合で世界レベルに通用するかどうか確かめてからにすべきだったのではなかろうか(勝てるとは思えないが)。東洋太平洋だって、その気になって探せばサム・ソリマンとかいる訳だし。

佐藤がバテバテになって手が出なくなり、パンチのないシュトルム相手にストップ負けなんてことにならないことを祈りたい。予想はシュトルムの判定勝ち。この試合は月曜日のWOWOWでタイムリー・オンエア中継される。

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2009/04/08

ウィリアムスvsライト戦展望

ミドル級12回戦(4/11,米ラスベガス・マンダレイベイ)
○WBO暫定Sウェルター級C ポール・ウィリアムス(米、36勝27KO1敗)  -200(1.5倍)
   元三団体統一Sウェルター級C ロナルド・ライト(米、51勝25KO4敗1引分け) +170(2.7倍)

話は違うが国内ボクシングニュースが最も早く詳しかった帝拳ホームページが3月に突如として閉鎖された。せっかく粟生も世界チャンピオンになったというのに、何かあったのだろうか。世界のボクシングはfightnewsを見ればいいのだが、国内はこうなると拳論ブログ頼みになってしまうなあ。

さて、この試合がなぜ盛り上がらないのかが非常に疑問だが、ライトの試合は基本的に盛り上がらないのも確かである。リングサイドでも$300というのは後楽園ホールと比較すると夢のようである。仕事がなければ絶対見に行くのだが・・・。

ウィリアムス27歳。大番狂わせで敗れたカルロス・キンタナを1Rに倒して借りを返したと思ったら、返す刀で1階級上げてスーパーウェルター級のタイトルを獲得した。この試合はどうやらミドル級リミットらしい。185cmの身長、2mを超えるリーチは、いずれスーパーミドルまで上げていくはずである。

かたや”ウィンキー”ライト。ライトヘビー級の試合でバーナード・ホプキンスに完敗したものの、体がダブついていたし目の上のカットも響いた。37歳という年齢は気になるが、これまでの実績ではむしろウィリアムスより上であろう。

この試合の鍵は二つ。ウィリアムスがミドル級以上で戦う適性があるかどうかと、ライトの過去戦ってきた相手との力関係である。

ウィリアムスは確かに強い。しかし気になるのは、身長とリーチを生かしたアウトボクサーとしてやっていくのか、パンチャーとしてやっていくのかはっきりしていないということである。前者で行くには打たせすぎだし(打たれ強いのは確かだが)、後者だとすると一発のパワーがない。いずれにしても中途半端なのである。

リーチの長さはアウトボクサーとしては利点だが、打ち合いをする上では必ずしも有利にばかり働かない。懐ろに入られれば、むしろ細かな連打を放つのに長い腕は邪魔になりかねない。なのに、ウィリアムスはどうやら打ち合うのが好きなのである。

もちろん、ウェルター級あたりであれば体格差で打ち勝つことが可能であるが、例えばミドル級以上に上げてケリー・パブリックやジャーメイン・テイラーと戦った場合、絶対的な体格差がないウィリアムスが打ち合いをするのは、必ずしもクレバーな戦い方とはいえないだろう。

一方、ライトの負かしてきた相手とウィリアムスの比較では、まだまだトリニダードやモズリーの方が上だろうという気がしている。その意味では、ライトのブランクを考慮して、このハンデキャップは妥当かもしれない。ブランクの影響がなければ、五分五分に近い実力とみていいのではないかと思う。

とはいえ、ライトが対戦相手に嫌がられるのは懐の深いサウスポーという点にあるので、ライトより体があり同じサウスポーであるウィリアムスに「ウィンキー・マジック」が通用するかどうかは微妙なところである。ホプキンス戦の完敗も、結局のところ体の違いという要素が大きかったような気がする。

ウィリアムスが変に打ち合おうとするなど下手な戦い方をしないで、距離の違いを生かすように戦えば、ウィリアムス中差以上の判定勝ちが濃厚。ライトにブランクの影響があればKOもありうるが、その確率は2割といったところ。

p.s.マカオ続編は明日以降お送りする予定です。

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2009/03/18

WBC世界ヘビー級タイトルマッチ展望

WBC世界ヘビー級タイトルマッチ(3/21、ドイツ・シュトゥッツガルト)
○チャンピオン ビタリ・クリチコ(ウクライナ、36勝35KO2敗) -600(1.3倍)
  挑戦者 ファン・カルロス・ゴメス(キューバ、44勝35KO1敗) +400(5.0倍)

世界最強のビタリ・クリチコが帰ってきた。4年ぶりのリングでいきなりサミュエル・ピーターを相手に、完封のTKO勝ちでベルト奪回である。間髪を入れず指名挑戦者のゴメス相手の防衛戦となるが、ここも完勝で通過するはずだ。

現在のヘビー級はビタリとウラディミールのクリチコ兄弟が席捲しているが、2人のうちどちらがより強い試合をするかというと、ビタリの方である。ウラディミールがどちらかというと安全運転をしたがる傾向にあり、打ち合いでも気の弱いところを見せるのに対し、ビタリにはそういうところがない。

2つの敗戦のうち2000年のクリス・バード戦は肩の負傷による棄権であり、2003年のレノックス・ルイス戦は左目のカットによるレフェリーストップである。ルイス戦は続けていたらKOした可能性もKOされていた可能性もあるが、バード戦は何回再戦してもビタリが勝ったはずで、その意味では2敗とも完全決着した試合ではない。

ピーター戦をみて、ビタリの下半身の状態(一時引退したヒザの回復度合)が十分でないという見方もあるが、ある程度は年齢的に仕方がない(37歳)。それをカバーするだけの上体のパワーと戦闘意欲がビタリにはあり、おそらくここも強い試合を見せてくれるはずである。

一方のファン・カルロス・ゴメス、98年から2001年まで、無敵のクルーザー級チャンピオンとして君臨した。ビッグマッチを求めてヘビー級に転向したが、アメリカでは中堅相手にKO負けするなど結局芽が出ず、主戦場をドイツに移した。

現在、230ポンド前後と、クルーザー当時より40ポンド、約20kgウェイトを増やしているが、挑戦者決定戦であるヴィルティス戦を見る限り、体が太くなっているだけで動きは鈍く、耐久力は付いたとしても破壊力が格段に増したとは思えなかった。

クルーザー級以下からヘビー級に上がったボクサーとしては、イベンダー・ホリフィールド、ジェームス・トニーなどがいるが、ただ単にウェイトを増やすだけでなく、ボクサーとしてもパワーアップしなければ上のクラスでは通用しない。ゴメスの場合、アメリカで芽が出なかったという事実そのものが、ヘビー級ボクサーとしての限界を示しているのではないかと思う。

ゴメスがなんとか12R持ちこたえるとは思うが、判定でもビタリ優位は動かない。倒しきればいよいよ全盛期のビタリに戻ったということになる。

この試合は、月曜日のWOWOWでタイムリー・オン・エア中継される。

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2009/03/05

WBC世界フェザー級タイトルマッチ展望(+マルケス・亀田)

先週末のマルケスvsディアス戦は、予想に違わぬ好試合だった。8Rまで両者まともに打ち合ってかなりの量・質のパンチをもらい合っていたにもかかわらず、9Rにマルケスのみせたアッパーの切れ味とスナップの利き具合はどうだろう。とても、日本選手には真似できないようなスタミナとテクニックだったように思う。

早くも今年のベストバウトに選ばれそうなWOWOWエキサイトマッチに対し、昨夜のTBSは引き続きの「亀田劇場」。弟・大毅のワンディ戦はそこそこいい打ち合いもあったが(ちょっと体が違いすぎ)、兄・興毅の試合は経歴詐称or差替え?の疑問符がつく相手で、結局「予定調和」。マルケス戦がボクシングだとしたら、亀田の試合は何なのだろう、という感じでした。

そして今回は来週の粟生の試合。今年に入ってここまでの予想は4戦4勝。この勢いで粟生の世界奪取を期待するが・・・。

WBC世界フェザー級タイトルマッチ(3/12、後楽園ホール)
   チャンピオン オスカー・ラリオス(メキシコ、63勝39KO6敗1引分け)
○挑戦者 粟生 隆寛(帝拳、16勝8KO1敗1引分け)

昨年10月の対戦では、4Rに粟生が左ストレートのカウンターで見事なダウンを奪い、完全にラリオスは効いてしまっていたのに、結局捕まえきれずに立ち直りを許し逆転判定負けを喫した。今回は直接の再戦。

惜敗後の再戦というと、まず思い出すのがウィラポン・西岡戦。オスカー・ラリオス自身も、2003-4年に仲里繁と2度戦っている。古くは、海老原博幸がホラシオ・アカバロ(アルゼンチン)に2度惜敗という試合があった。この試合はラジオでの実況中継だった。

これらに共通するのは、惜敗した側が借りを返すどころか、はっきりとした負け方で決着がつくケースが多いことである。こうしたデータからすると粟生が局面を打開するのは簡単ではないが、ここは一番、粟生の成長力を買ってみたい。

粟生の前回の敗因については、2つの見方がある。一つは、ダウンを取った後一発を狙って相手を見過ぎ、手数が少なくなったことでラリオスの回復を許したとの見方。もう一つは、ポイントでリードしたので得意のアウトボクシングに持ち込もうとしたが、距離をおいたボクシングはラリオスの方が上だったという見方である。

つまり、粟生の勝機は打ち合いにあったのだが、意図的かどうかは別としてアウトボクシングをしてしまい、チャンスを逃したということである。その前回の反省をふまえ、粟生がきっちりと修正をできたかどうかが勝敗の分かれ目となりそうだ。

粟生の場合、テクニックに自信を持っているのはいいのだが、日本人相手ならともかく、世界クラス相手で打たせずに打てるほど、卓越した技術がある訳ではない。もしかしたらラリオスの手数にやられるリスクを冒しつつ、捨て身で打ち合うことで勝機をさぐるべきであり、そう戦えばチャンスはあるはず。

そういう考え方をとらずに、もし前回と同様アウトボクシングしようという気持ちがあるならば、残念ながら今回ははっきりした判定負けとなるだろう。

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2009/02/26

マルケスvsディアス ライト級戦展望

WBA/WBOライト級王座決定戦(2/28、米ヒューストン)
   ファン・ディアス(34勝17KO1敗) +145
○ファン・マヌエル・マルケス(49勝36KO4敗1引分け) -175

もともとディアスが持っているマイナータイトルIBOだけが懸けられる予定だった試合だが、3団体統一王者ネート・キャンベルが防衛戦で計量失格・王座剥奪となったため、急きょWBAとWBOの王座決定戦となったようだ。

この階級は、下のスーパーフェザー級からマニー・パッキャオが上がってきて(さらに上に行ってしまったが)、パッキャオを追うようにファン・マヌエル・マルケス、マルコ・アントニオ・バレラ、さらに”カミナリ”エドウィン・バレロもクラスを上げてきた。

今週末にこのマルケスvsディアス戦があり、3月に英国でアミール・カーンvsバレラ、4月にWBCの王座決定戦(バレロ登場)と、この階級もともとの上位陣とクラスを上げてきた連中との対戦が続く。今年後半には勝った者同士の統一戦となるはずで、非常に楽しみなクラスである。

まずファン・ディアス、このクラスでWBA/IBF/WBOの3団体統一チャンピオンだったが、昨年キャンベルにキャリア初の1敗を喫するとともに、無冠に転落した。再起戦は難敵マイケル・カツディスを破ってマイナータイトルIBOを獲得、今回の大一番に挑む。

持ち味はしつこい連打とタフネス。このあたりのクラスであればもっとKO率が高くてもおかしくないが、数字が示すように一発がないのが弱点といえば弱点。2004年に日本でもおなじみラクバ・シンに勝ってチャンピオンとなったが、まだ26歳と若い。それ以来、ランディ・スイコ、アセリノ・フレイタス、フリオ・ディアスらを相手に防衛を重ねてきた。

一方のファン・マヌエル・マルケス、弟のラファエルが攻撃力に重きを置いたスタイルであるのに対し、兄は攻防兼備である。IBFフェザーのタイトルを取ったのが2003年、ディアスとは違い遅咲きの選手で、もう35歳になる。パッキャオと接戦の1敗1引分け、バレラにも1勝、ライト級の試合ではホエル・カサマヨルをKOしている。

基本的に、実力差がなければナチュラル・ウェイトが重い方が有利というのが格闘技の定石で、本来ならばディアスペースの試合となる。マルケス兄に分があるとすればカウンターの巧さと一発の決め手であるが、ディアスがそれで効くかどうかは未知数である。確かにカサマヨル戦は後半巻き返したけれども、前半はややパワー負けしているような印象を受けた。

それでもマルケス乗りとするのは、ディアス型のファイターの場合、なぜか伸びしろに欠けるところがあり、一度負けるとなかなか巻き返せないところがあるように思うからである。特にディアスは決してボクシングが上手ではないので、百戦錬磨のマルケス相手では空回りする可能性もある。

ディアスのボクシングは見ていて必ずしも面白いものではないので、今後のライト級戦線を盛り上げる意味でも、マルケスの判定勝ちを期待したい。

この試合は月曜日のWOWOWでタイムリー・オン・エア中継される。

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2009/02/20

WBO世界ウェルター級タイトルマッチ展望

WBO世界ウェルター級王座決定戦(2/21、米アトランティック・シティ)
○WBO1位 ミゲール・コット(プエルトリコ、32勝26KO1敗) -1300
   WBO3位 マイケル・ジェニングス(イギリス、34勝16KO1敗) +700

昨年7月にマルガリトに敗れてWBAウェルターのベルトを手放したミゲール・コットの7ヵ月振りの再起戦。もともとコットはWBOのスーパーライトのチャンピオンだったので、相性のいい団体といえる。

そのマルガリトもモズリーにKOされて、コットが復活すればコット・モズリー2ということになる可能性が大きい。このクラスのチャンピオンとしてはWBCのアンドレ・ベルトがいるが、この2人に比べるとまだまだであろう。

さて、今回争われるWBOウェルターは、長いことマルガリトが持っていたタイトルを長身サウスポー、ポール・ウィリアムス(米)が奪い、カルロス・キンタナとの防衛失敗・再奪取の後、ウィリアムスがクラスを上げて空位になったものである。

その空位を1位のコットと3位のジェニングスが争う(2位はシェーン・モズリー)。最近各団体の王座決定戦がおかしな具合になっているが、まずもってまともな決定戦ということになる。

ただ、決定戦がまともかどうかと実力が見合ったものかどうかは、また別の問題である。ランキング自体が地域的なバランスを考慮したものとなるので、北米、中南米、ヨーロッパ、アジア・オセアニア、(アフリカ)をまんべんなく拾おうとすると、どうしてもランキングと実力に乖離が生じてくる場合がある。

この階級の場合は、北米・中南米に強い選手が圧倒的に多い。最近のヨーロッパの選手では、欧州(EBU)チャンピオンを長く保持してしたオクタイ・ウルカルが著名だが、世界戦4戦は全敗であった(最後はコットにKO負け)。

現在、世界ランキング上位に上げられているのは、ウルカルの二代後のEBU王者ジャクソン・オセイ・ボンス(ベルギー)と、ボンスに勝ったラファル・ジャッキーウィクス(ポーランド)であるが、その二人と比べても、ジェニングスの戦ってきた相手はワンランク落ちる。

ジェニングスは、英国の国内タイトルを長く防衛している他、マイナータイトルのWBU王座を獲得しているが、なにしろ英国から出て試合をしたことがない。その選手が、いきなり本場アトランティック・シティのボードウォーク・ホールである。

ジェニングス、Who?というのが本当だから、まさかの実力者である可能性が全くないとはいえないが、オッズどおりコットの圧勝という結末となりそうだ。

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2009/02/06

統一世界スーパーフライ級タイトルマッチ展望

WBC/WBA/IBF世界スーパーフライ級タイトルマッチ(2/7、米アナハイム)
○チャンピオン ビック・ダルチニアン(アルメニア、31勝25KO1敗1引分け) -330
   WBA暫定C ホルヘ・アルセ(メキシコ、51勝39KO4敗1引分け) +260

クリスチャン・ミハレスをKOして3団体統一世界王者となったダルチニアンが、人気者アルセを迎えての防衛戦。WBAについては、王座統一戦となる。

正直なところ、アルセ自身はすでにピークを過ぎた選手であり(とはいってもダルチニアンの方が年は上)、勝ち負けについていうならばオッズ以上にダルチニアンが勝つ可能性が大きい。-900くらいになっても驚かない力の差があるとみている。それでも比較的接近したオッズとなっているのは、アルセの人気がそれだけあるということであろう。

この両者、ともに軽量級では破格のKO率を誇るハードパンチャーであるが、その持ち味はやや異なる。

オフェンス面でいうとダルチニアンが一発、それも変則的な角度から伸びるストレートやフックを主武器にしているのに対し、アルセは前にプレッシャーをかけながらの連打。ディフェンス面ではダルチニアンが相手のパンチをまともにもらわないのに対し、アルセは正面から打ち合って打たれ強さで相手を上回る。

まとめるとパンチのパワーでダルチニアン、タフネスでアルセということになるが、この試合それほど競った展開にはなりそうもない。アルセが前に出ることは出るだろうけれど、おそらくアルセのパンチは当たらず、ダルチニアンのパワーパンチだけがカウンターで入ることになるだろう。

ダルチニアンはノニト・ドネアーにKOされた印象が強いが、あれはまさに出会い頭の一発であり、またその後の試合をみるとドネアー自身がクラス最強であったということでもある。Z・ゴーレスとの引分けからスーパーフライ級だと厳しいのかと思っていたら、その後、ディミトリー・キリロフ、クリスチャン・ミハレスと名うてのテクニシャンを連続KOに仕留めており、その不安は杞憂だったようだ。

アルセについていうと、確かにライトフライ級時代はパワーの違いでねじ伏せていたが、フライ級ではやや息切れしており、スーパーフライ級ではそれほどの強豪と戦っていない。彼にとって、1999年に当時のライトフライ級世界王者カルバハルにKOされて以来のKO負けとなる可能性が非常に大きい、と見ているのだが。

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2009/01/27

モズリー、マルガリトをKO

WBA世界ウェルター級タイトルマッチ(1/24、米ロサンゼルス)
挑戦者 シェーン・モズリー ○ 9RTKO × チャンピオン アントニオ・マルガリト

モズリーに減量苦がなければスピードで上回るだろうとは思っていたが、ここまで一方的な試合になるとは予想しなかった。これで+300(JRA流にいうと、4.0倍)はうれしいオッズ。

こういう展開になった理由をマルガリト側からみると、やはり歴戦のダメージが蓄積しすぎていたのではないか。マルガリトはどんな相手とやっても、相手のパンチをまともに受けて下がらない。シントロンやコットの強打をまともに食らい、なおかつ前に出ていたけれども、さすがにこのスタイルで通すことは難しい。マルガリトも人間だったということである。

モズリーはバルガスやマヨルガ(ともにスーパーウェルター級の元チャンピオン)をKOしているくらいで、1クラス上のパンチ力がある。それでも、マルガリトが十分な試合間隔をとり、ダメージを抜き切って戦ったとしたら、あれほど失速することはなかったはずである。その意味で、マルガリトの適正な試合数は二年に3試合くらいで、ウィリアムス戦以降2年1ヵ月の間に6試合というのは、あの打たれ方からするとちょっと多すぎたのではないか。

一方モズリー側の最大の成功要因は、パンチ力やスピードでなく、インサイドワークだったような気がする。モズリーというと、アップライトスタイルで打っては離れ、ハンドスピードで勝負するのがこれまでのやり方だったはずが、今回はあえて接近し、頭を相手の顔に近づけて嫌がらせ、またクリンチをうまく使っていた。

これは、リングサイド6列目あたりから試合中ずっと立ち上がって指示を送っていた、同じゴールデンボーイ・プロモーションの重役仲間バーナード・ホプキンスのよくやる手であり、おそらくマルガリト対策としてかなり念入りに準備したと思われる(だから、亀田一家のやり方はダメなのである。比較するのもおこがましいが・・・)。

1Rからハンドスピードよりもパワーを重視する作戦をとっていたので、もしマルガリトが万全なら後半スタミナ切れとなる可能性もあったと思われるが、そうなった場合でも何とかごまかせる自信があったのだろう。

もともとシェーン・モズリーは無敗のままデラホーヤに勝って2階級を制覇し(その後3階級まで制覇)、世界最強と評価されておかしくない選手であった。それが一気に評価を落としてしまったのは、2002年のパーノン・フォレストに対する連敗、それも完敗といっていいダウンを奪われての判定負け(初戦)であった。

その後フォレストがマヨルガに連敗したため、マヨルガ>フォレスト>モズリーという評価が確立してしまったが、もともとウェルター級あたりでは安定した成績を示す実力者であり、そうでなければあのロナルド・ライト(3階級王者トリニダードをKO)と接戦できるはずはないのであった。

昨年マヨルガをKOし、今回マルガリトをKOしたことで、再びモズリーの評価が高まることは間違いないが、それではミゲール・コットと再戦すれば勝てるかというと、それはまた別の問題かもしれない。モズリーはどうやら相手による得手不得手がはっきりしており、フォレストに連敗、ライトに連敗と、キャリア5敗のうち同じ相手2人に4敗なのである。これでコットに連敗すれば3人に2敗ずつで6敗となり、それはそれでモズリーらしいことになる。

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2009/01/23

WBA世界ウェルター級タイトルマッチ展望

WBA世界ウェルター級タイトルマッチ(1/24、米ロサンゼルス)
   チャンピオン アントニオ・マルガリト(メキシコ、37勝27KO5敗) -450
○挑戦者 シェーン・モズリー(アメリカ、45勝38KO5敗) +300

何とか見に行きたかった試合であるが、行けなかった。そうしたら、なんとWOWOWでタイムリー・オン・エア中継される(もう一試合はリッキー・ハットン!)。すごくうれしい。個人的には、デラホーヤvsパッキャオの倍、楽しみである。

WBAは、前チャンピオンのミゲール・コットからタイトルを奪取したマルガリトをいきなりスーパーチャンピオンにして(マルガリトはすでにIBFを返上している)、ユーリ・クズネンコ(ウクライナ)を新たな正チャンピオンとした。こういうことをしているから、ビッグマネーファイトの世界タイトル離れが起こるのではなかろうか。

それはそれとして、ポール・ウィリアムスが階級を上げた現在、マルガリトがこの階級最強であることは確かである。そしてマルガリトに次ぐ実力者は誰かというと、アンドレ・ベルト(WBC王者)でもジョシュア・クロッティ(IBF王者)でもなく、シェーン・モズリーということも衆目の一致するところであろう。

最近のモズリーはスーパーウェルターでの試合が多く、ロナルド・ライトに僅差判定負け、フェルナンド・バルガスに2連続KO勝ち、そして昨年9月にはリカルド・マヨルガにKO勝ちという実績は、マルガリトを上回る。懸念されるのは37歳という年齢と、ウェルター級の試合でミゲール・コットに押されての判定負けを喫しているということである。

そしてマルガリト、そのコットをKOして獲得したタイトルの初防衛戦ということになるが、すでにこの階級ではWBO、IBFのタイトルをそれぞれ取っているので、実績面では申し分ない。こちらの問題は、名うてのスロースターターであることと、打ち合う相手には強いけれども、動く相手は必ずしも得意としていないということである。

試合はマルガリトが前に出て、モズリーが足を使ってかわし細かいパンチを当てていくという展開が想定される。ここでポイントとなるのは、マルガリトの前に出る圧力にモズリーが耐えられるかということである。モズリーに減量の影響がなければ、マヨルガやバルガスを寄せ付けなかったモズリーのスピードに分があるとみるが、デラホーヤもそうだったように、ある程度の年齢になると減量の影響は顕著に出るようだ。

そうなるとマルガリトということになってしまうが、試合に出てくる以上それなりの体調であると仮定すると、むしろこのオッズならモズリー逃げ切りを買ってみたい。いずれにしても、どちらかの一方的な試合にはならないはずである。

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2009/01/05

年末年始のボクシング回顧 ~坂田、西岡、小堀

年が明けてさっそくなのですが、しばらくの間、ブログの更新とコメントへのご回答が不定期になると思います。ご容赦いただき、引き続きごひいきに願えれば幸いです。

年末年始に、3階級の日本人世界チャンピオンの防衛戦があった。今日はその感想など。

WBA世界フライ級タイトルマッチ(12/31、広島)
挑戦者 デンカオセーン ○ 2RKO × チャンピオン 坂田健史

坂田が5度目の防衛に失敗、王座陥落した。坂田は多くの試合でスロースターター振りをみせており、デンカオセーンとの第1戦でも1Rに強烈なダウンを奪われているし、山口真吾との防衛戦でもダウンしている。坂田が負けるケースとして、序盤の体が暖まらない間にやられてしまうケースが考えられたのだが、そのとおりになった。

新チャンピオンのデンカオセーンはタイの強豪選手にありがちなタイプとして、ボディへの攻撃に弱いのと、試合途中に突如としてガソリン切れを起こすところがある。亀田興毅との対戦は、どちらにもチャンスがありそうだ。

一方の坂田、ランキング上位ばかり相手の打撃戦が続いていたことから、ダメージが抜け切らなかったのかもしれない。今回食らったのはいわばラッキーパンチなので、しばらく休んで再起すべきだろう。内藤戦があれば最高。

WBC世界スーパーバンタム級タイトルマッチ(1/3、横浜)
チャンピオン 西岡利晃 ○ 12RTKO × 挑戦者 ヘナロ・ガルシア

WBCのホームページでは依然としてイスラエル・バスケスがチャンピオンなのだが、どうやらバスケスがタイトル返上して、西岡が「暫定」から「正チャンピオン」に昇格したらしい。

それはともかく、バスケス、ラファエル・マルケス、ジョニー・ゴンサレスといったこの階級における強豪メキシカンと比較すると、ガルシアの力はかなり落ちる。確かにマルケス弟に勝っているが、それは2000年、9年前のことである。

同じくガルシアと戦っている長谷川以上に、西岡は楽に勝ったようにみえた。パンチの「当て勘」では、日本歴代の王者の中でもトップクラスといえる天才・西岡のいいところが出ていたように思う。問題は年齢で、早いところ本場で戦ってほしい。

WBA世界ライト級タイトルマッチ(1/3、横浜)
挑戦者 パウルス・モーゼス ○ 判定(3-0) × チャンピオン 小堀佑介

現時点のこのクラス最強は「WBAスーパーチャンピオン」ネート・キャンベル、「前チャンピオン」ファン・ディアスと、「カミナリ」エドウィン・バレロだと思うが、この「正王座」は、下のクラスから上がった人気者ファン・マヌエル・マルケス、マルコ・アントニオ・バレラとマッチメークされる可能性が大きい。それだけに小堀にがんばってほしかったのだが、残念ながら終盤に手が出なくなった。

世界タイトルマッチとしてはレベル的に物足りなかったものの、ライト級世界ランカーの戦いとしてみれば結構面白かった。特に、小堀は相手の打ち終わりに左フックでカウンターを入れるのが巧く、たびたびモーゼスがうろたえる場面があった。せっかくの世界ランクなので、伝えられるようにこのまま引退などせず、石井一太郎(東洋太平洋王者)あたりと戦ってほしいものである。

モーゼスは打ち合いで小堀に押されており、最後はアウトボクシングで逃げ切った。戦績ほどの威圧感はなく、残念ながら世界最強クラスとはいえない。エドウィン・バレロなら確実に勝てそうな感じである。

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2008/12/24

内藤・山口世界戦回顧

WBC世界フライ級タイトルマッチ(12/23、両国国技館)
チャンピオン 内藤大助 ○ 11RTKO × 挑戦者 山口真吾

まだ大晦日の坂田防衛戦が残っているけれども、今年の日本のベストバウトと思える試合。挑戦者の健闘が光ったし、内藤の出来もよかった。ちょっと気になったのはストップが少し遅かったということ。世界レベルではもう少し早くストップが入る。山口にダメージがありすぎたし。

内藤は日本人挑戦者ばかり選ぶと一部で評判が良くないが、外国選手とのタイトルマッチで凡戦を見るより、日本人相手の好ファイトの方がいいに決まっている。亀二号とのビッグマネーファイトはともかく、清水戦、今回の山口戦といずれもKO決着。もともとフライ級ではKO率の高い選手だったし、防衛を重ねてさらに強くなっているようだ。

一方の山口は、負けたらラストファイトということで、打たれても前に向かって行った。前回の坂田戦でダウンを奪ってから追い込み切れなかったことへの反省があったと思うが、坂田と内藤とで逆の作戦の方がよかったかもしれない。内藤にとって、前回の清水のように打っては離れるスタイルの方が苦労したはずで、山口が前に出ることで見事に噛み合ってしまった。

採点では差がついたけれども、山口のいいパンチもかなり入っていた。ただ、相打ちになった場合に体のある内藤の方が有利だし、中盤以降はダメージで反応が鈍くなった。それでも、ほとんどクリンチもなく両者動いて手を出したのは良かった。日本人選手の最大の欠点は手が出ないことであるので、最後まで打ち合ったこの試合が好試合であったことは間違いない。

こういうきちんとした試合を見せてくれれば、まだまだ日本のボクシングも捨てたものではないと思う。あえて言えばTBSには、前座の日本フライ級タイトルマッチもきちんと放映してほしかったが(亀田偏重への反省半分、反省していないのが半分、というところだろうか?)。

これで大晦日の坂田(WBAチャンピオン)が防衛すると、来年もそれぞれの防衛路線ということになる可能性が大だが、こんないい試合を見てしまうと、内藤・坂田の再戦がないかなあと切実に思う(第一戦は2001年の日本タイトルマッチで引分け)。まあ、やったとしても玄人が喜ぶばかりで、亀が絡む場合の何分の1かのファイトマネーにしかならないのが悲しいところではある。

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2008/12/16

クリチコ弟vsラクマン、今年のベスト・ファイトは?

月曜日夜のWOWOWは、先週末行われたウラディミール・クリチコvsハシム・ラクマンの世界ヘビー級タイトルマッチ。予想どおりクリチコ弟がラクマンを寄せ付けず7回TKO勝ちした。

これで、クリチコ兄弟は念願の「ヘビー級同時王座」を保持したまま年を越すことになる。もう一人のチャンピオンとして、これから年末に防衛戦を行うWBAのニコライ・ワルーエフがいるが、普通に考えてクリチコ兄弟がボクシング界最強であることは間違いなく、来年も彼らを脅かす存在は現れそうにない。

来年予定される防衛戦の挑戦者としては、目新しいところではファン・カルロス・ゴメス(キューバ)だが、ヘビー級に上げてからクルーザーの頃の破壊力が通用しなくなった。他の世界上位ランカーは、サミュエル・ピーターはともかく、相変わらずオレグ・マスカエフ、ジェームス・トニー、カリー・ミーハンといったところで、クリチコ兄弟の脅威にはならないだろう。

注目されるのは、この間までクルーザー級のチャンピオンだったデビット・ヘイ(英)。ヘイはヘビー級に上げてまだ一戦しか行っておらず、まだ28歳と先があるので来年あえて冒険はしないだろう。ホリフィールドにパンチ力をつけたような選手であり、体ができてくれば面白いと思う。

これで、今年のWOWOWボクシングは終わり(来週は今年の総集編)。年末・年始には日本でも世界タイトルマッチがあるが、主だった試合はほとんど終わりである。さて、今年行われた試合の中でベスト・ファイトは何だろうか。

さきのデラvsパックマンを年間最高試合に推す向きはかなり多いと思われるが、わたし的には「年間最高報酬試合」であることは認めるものの、ボクシングの試合としては最高ではなかったように思う。わたし的には文句なく、7月に行われたミゲール・コットvsアントニオ・マルガリトのウェルター級タイトルマッチである。

お互いの実力が伯仲し、両者にチャンスがあり、最後はマルガリトが耐久力で上回った。同じウェルター級だからデラホーヤ、パッキャオとマッチメークしてもおかしくはないが、どちら(コット、マルガリト)がどちら(デラホーヤ、バッキャオ)と戦っても一方的に勝つだろう。

同じパッキャオでも、3月のファン・マヌエル・マルケスとのスーパーフェザー級タイトルマッチは好試合だった。これこそ、階級最強を争う本当の意味の世界タイトルマッチである。それにしても、1年間でスーパーフェザー、ライト、ウェルターの試合を勝ってしまうのだから、パッキャオはすごい。

もう一試合、あまり好試合ではなかったけれども、サミュエル・ピーターvsビタリ・クリチコのヘビー級タイトルマッチも印象的だった。結果的にはクリチコ兄が強すぎたが、4年のブランクにもかかわらず、自分の弟を除いて最強とみられていたピーターを倒して世界最強の座に復活したのは、今年のボクシング界の最大のニュースの一つといっていいと思う。

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2008/12/11

IBF・WBO世界ヘビー級タイトルマッチ展望

IBF・WBO世界ヘビー級タイトルマッチ(12/13、ドイツ・マンハイム)
チャンピオン ウラディミール・クリチコ(ウクライナ、51勝45KO3敗)
挑戦者 ハシム・ラクマン(アメリカ、45勝36KO6敗2引分け)

ハシム・ラクマンもすでに36歳。世紀の番狂わせでレノックス・ルイスをKOしたのが2001年だからもう7年前である。

2006年にオレグ・マスカエフに最終ラウンドにKOされてWBA王座を明け渡して以降、世界レベルの相手とはほとんど戦っていない。今年7月のジェームス・トニーとの一戦ではいわくつきの3R終了ノーコンテスト(最初はトニーのTKO勝ちとされた)、そして今回のタイトルマッチである。

もう一つ年末に組まれているヘビー級タイトルマッチ、WBAのニコライ・ワルーエフvsイベンダー・ホリフィールド戦と同様、ネームバリューは十分な挑戦者なのだけれどもタイトル奪取の見通しはほとんど立たない。現時点でオッズが成立していないことが、その状況を如実に示している。

それでは、ラクマンに全く勝負権がないかというと、必ずしもそうとばかりはいえないと思う。先日WBCを奪回したビタリ・クリチコなら間違いないだろうが、弟のウラディミールには打ち合いに弱いという欠点がある。

ラクマンの体調が万全で、ウラディミールが油断していて、出会い頭にラクマンの鋭い出足の右ストレートが決まるようなら、7年前の再現が全くないとはいえない。あわてたら最後、ウラディミールが立て直すのは難しいはずだ。

もちろん、ウラディミールがそうそう油断してくることはないだろうが、一発決まってしまえばウラディミールの気の弱さが出てしまう可能性がある。そうでなければ、同じルイスvsラクマン戦でも第二戦の方(ラクマン4回KO負け)になるだろう。

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2008/12/08

パッキャオ TKOs デラホーヤ

ウェルター級12回戦(12/6、米ラスベガス)
マニー・パッキャオ ○ 8回終了TKO × オスカー・デラホーヤ

試合前の控え室での映像を見たとたん、デラホーヤは苦戦するだろうと思われた。ウェイトを落としたはずなのに体がだぶついていて、ファイトに必要な筋肉が落ちてしまったことが窺われたからである。以前、ヘビー級チャンピオンとなってからライトヘビー級に戻したロイ・ジョーンズJr.のターパー戦と全く同じケースである。

一方のパックマンは147ポンドの契約に対して143ポンドと無理にウェイトを上げなかったし、仕上がりも前回のディアス戦の出来を維持していた。体をみても、ホプキンス戦のロナルド・ライトやケリー・パブリックのような無理に増量した感じはない。こうなると、番狂わせの条件がほとんど整ってしまうことになる。

それでも、この日の出来でもデラホーヤが勝つことはできたはずで、そのためには、先制攻撃でパッキャオが調子づく前に叩く必要があった。事実、1Rのパッキャオはデラホーヤの射程内に入ることができなかった。ここで打ち合いに持ち込めばデラホーヤのペースとなったはずだし、パッキャオの左をもらって倒れたとしてもラッキーパンチということで済んだ。

それができなかったのは、もしかすると「プロモーター」デラホーヤの意図が働いたのかもしれない。仮に序盤でKOしてしまうと、試合前から言われていたように「ミスマッチ」ということになるし、アンダーカードがほとんど1RKOだったので観客にとっても物足りない。だから2、3Rまでは様子をみてそれから打ち合えばいいだろうと思ったのではないか。

ところが序盤で見てしまったものだから、パッキャオがデラホーヤの距離と動きを見極めてしまい、ヒット&アウェイ(打っては離れ)が余裕を持ってできるようになる。加えて、デラホーヤの足が減量の影響で動かない。4ラウンド以降、両者が左の相打ちとなっても体の大きいデラホーヤの方が効いてしまったのだから、もう話にならない。あとはワンサイドである。

もう43歳になるホプキンスがいまだにきっちり体を作っているのに、デラホーヤにそれができないというのは、やはり選手専業かプロモーター兼務か、ということがあるような気がする。まだ35歳ではあるが、昔ならとっくに引退する年だし、前の試合くらいから反射神経の衰えが隠せない。残念ながら、選手としてのデラホーヤにはもはや世界レベルの力はないということになる。

かたやパッキャオ、今回のビッグマッチの勝ちは見事だが、これから後が難しい。試合前の展望で述べたようにウェルター級でやっていけるとは思えないし、スーパーライト級でも相当の体格差がある。そして再びライト級に落とすとなると、今回のデラホーヤ同様に必要な筋肉が落ちてしまう危険がある。

試合後のインタビューではリッキー・ハットンという話も出ていたが、どういう相手と戦うとしても、パッキャオにとって今後は綱渡り的な勝負になるような気がする。その意味では、パッキャオが「ヘビー級タイトルを獲得した後のロイ・ジョーンズJr.」になってしまう可能性は、決して小さくはない。

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2008/12/03

デラホーヤvsパッキャオ戦展望

ウェルター級12回戦(12/6、ラスベガスMGMグランド)
元6階級王者 オスカー・デラホーヤ(米、39勝30KO5敗) -190
4階級(現ライト級)王者 マニー・パッキャオ(フィリピン、47勝35KO3敗2引分け) +150

まあ、確かに元フライ級(112ポンド)のチャンピオンと元ミドル級(160ポンド)のチャンピオンが戦うのだから話題性があるということは分かるが、この試合が双方のファイトマネー合計で数千万ドルという金額に見合う価値があるかというと、私はないと思う。

というのは、そもそもタイトルマッチではない上に、どちらが勝ったとしてもウェルター級最強のボクサーということにはならないからである。仮にパッキャオがデラホーヤに勝ったとしても、それは単にデラホーヤの力が落ちていたというだけのことであって、パッキャオがウェルター級でこれから先、強豪と渡り合うという可能性はゼロである。

ウェルター級の世界レベルの戦いという意味では、来年早々行われるマルガリトvsシェーン・モズリー戦の方が断然価値があるし、パッキャオが本来戦うべき相手はエドウィン・バレロやホルヘ・リナレスだと思う。だから、ある意味この試合は、昔ヘビー級全盛時代の、フレイジャー戦以降のモハメド・アリの試合のようなものかもしれない。

人気者同士を戦わせればビッグマネー・ファイトになるというやり方は、うっかりするとK-1とかのショー的格闘技と重なるものであり、ボクシングの本質とは相容れないものではないだろうか。確かにデラホーヤは不世出のボクサーであったかもしれないが、同じ階級で世界レベルとの戦いが難しいのであれば現役を退くべきであろう。

さて、そんな試合でもオッズが成立している。パッキャオunderdogは致し方ないところだが、数ヶ月前の+250(3.5倍)から+150(2.5倍)に人気を上げている。

確かに、それぞれのVTRを見ればパッキャオの左ストレートが決まると思う向きがあるかもしれないが、デラホーヤの戦ってきた相手はホプキンスやマヨルガ、シュトルムやカスティリェホといった160ポンド級の相手であり、前の試合でようやく135ポンドに上げたパッキャオとでは、破壊力が違いすぎるのである。

したがってこの試合は、デラホーヤがどういう組み立て方をしてくるかで決まる。おそらく、プロモーター兼務のデラホーヤとしては中盤以降に勝負の山場を持ってくると思われ、そうなると判定までもつれ込むこともありうるかもしれない。

しかし、アクシデントがない限りデラホーヤの勝ちは動かず、本来は体力差でKOしなければおかしい。その意味でも、あまり興味を引かないビッグマッチである。

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2008/11/26

WBAスーパーフェザー級世界戦展望+ダルチニアン

WBA世界スーパーフェザー級王座決定戦(11/28、パナマ)
○ホルヘ・リナレス(帝拳、25戦全勝16KO)
   ワイベル・ガルシア(パナマ、20勝14KO5敗)

エドウィン・バレロの返上したWBAスーパーフェザーのタイトルを狙うのは、同じ帝拳所属、ベネズエラ国籍のリナレスである。すでにラスベガスでオスカー・ラリオスを倒してWBCフェザーのタイトルを手にしており、ここを勝てば2階級目となる。

相手のガルシアは、WBAフェデラテンの元チャンピオンだが、戦績の示すとおりさほどの脅威はない。2006年にはバレロに1RKOされており、リナレスも圧勝しないと商品価値に差し支えることになるだろう。

ちなみに、マルコ・アントニオ・バレラやファン・マヌエル・マルケスなどスーパーフェザーのチャンピオンクラスは、パッキャオを追ってライト級にクラスを上げており、ウンベルト・ソトやロッキー・フアレス位しかラスベガスで戦える選手はいない。リナレスはさっそく、このクラス最強のチャンピオンということになるだろう。

なお、この試合は月曜日のWOWOWでタイムリー・オン・エア中継される。

3団体統一スーパー・フライ級タイトルマッチ
ビック・ダルチニアン ○ 9RKO × クリスチャン・ミハレス

難攻不落と思われたテクニシャン、ミハレスが、パワーの違いというか、ダルチニアンの強打の前に完敗した。あのアッパーは避けられそうに思うのだが、それだけではつかまってしまうのだろう。ドネアーのように、迎え打てる強打がないと、対応は難しいかもしれない。

なお、統一王者となったダルチニアンには、ホルヘ・アルセが挑戦を希望しているということだが、アルセではちょっと相手にならないだろう。1階級上の長谷川穂積、サーシャ・バクティンあたりとやれば面白いかもしれないが、やはり少し分が悪いかもしれない。

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2008/10/31

統一世界スーパフライ級タイトルマッチ展望

統一世界スーパーフライ級タイトルマッチ(11/1、米カリフォルニア州カーソン)
WBA・WBC王者 クリスチャン・ミハレス(メキシコ、36勝15KO3敗2引分け)
IBF王者 ビック・ダルチニアン(アルメニア、30勝24KO1敗1引分け)

一昨年9月にパシフィコ横浜で、川島に勝って世界チャンピオンとなったミハレス。昨年はホルヘ・アルセを破ってビッグネームに仲間入り、今年はアレクサンデル・ムニョスを下して堂々の統一チャンピオンである。年齢も27歳、まさに伸び盛りのボクサー・ファイター。

対するダルチニアンは、2階級制覇のチャンピオン。フライ級でイレーネ・パチェコ、Sフライ級でディミトリー・キリロフと、いずれも技巧派の倒しにくい相手をKOしてチャンピオンとなった。元アマチュア・エリート(シドニー五輪出場)とは思えないような、セオリーにない軌道から強打を叩き込むファイターである。

ともにサウスポーだが、ダルチニアンのスタイルからみて、ジャブを突き合う展開にはなりそうもない。ダルチニアンの大振りがミハレスに当るか当らないか。当れば倒れるし当らなければミハレスのペースとなる。

ダルチニアンの最盛期の強打を思うとミハレスもピンチだが、ノニト・ドネアにKO負け、Z・ゴーレスに引分けと、最近は消化不良の展開も多い。序盤で決められればダルチニアンかもしれないが、長期戦に持ち込まれてミハレスが小差の判定勝ちという線がいちばんありそうだ。

WOWOWの録画中継は11月なので、しばらく見られないのは残念。ミハレスにとって死角があるとすれば、「亀田の呪い」かもしれない(亀田家と関わった者は落ち目になるというジンクス)。なんと、米CATV大手ショータイムのこの興行に、亀田興毅が出場する噂があった(直前で中止)。ジミー・レノンJr.が亀田兄をアナウンスしなくてよかった。

p.s.明日から香港・マカオ遠征に行って来ます。そのため、来週6日まで更新をお休みします。

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2008/10/15

粟生・榎世界戦展望

春に挑戦者決定戦を行ったフェザー級の両雄、東洋太平洋チャンピオンの榎(えのき)洋之と日本チャンピオンの粟生(あおう)隆寛が、めでたく両者ともに世界タイトルマッチに臨むこととなった。二人がこの階級で双璧であることは間違いないが、どちらの相手も百戦練磨のチャンピオン、そう簡単には勝たせてくれそうにない。

WBC世界フェザー級タイトルマッチ(10/16、代々木第一)
チャンピオン オスカー・ラリオス(メキシコ、62勝39KO6敗1引分け)
挑戦者 粟生 隆寛(帝拳、16勝8KO1引分け)

スーパーバンタム、フェザーの2階級を制覇したラリオス。来日経験も豊富で、日本人相手には負け知らず。世界戦で負けたのはマニー・パッキャオ、ホルヘ・リナレス、イスラエル・バスケスくらいだから、世界チャンピオンとしても上位の実績がある。

かたや粟生、日本選手には珍しくアマチュアで実績を残してのプロ入り。これまで無敗で、唯一の引分けが前回の榎戦。懸念されるのは榎以外には世界レベルの選手との対戦経験がないことである。

テクニック的にはいずれ世界チャンピオンとなるであろう粟生だが、長谷川のように一発で世界を取れるのか、それとも西岡のように苦節数年を要するのかは、粟生自身の積極性にかかっている。前回の榎戦はまるでウィラポン第一戦の西岡のように消極的だった。今回もあの調子だと、ラリオスの手数の前に何もできずに終わってしまう懸念もある。

しかし、ここまでは勝たなくてはならない試合、今回は負けてもおかしくない試合で、これまでとは違った粟生が見られる可能性がある。ラリオスがこれまで以上に強くなることはないので、粟生が積極的に出てポイントを取りまくるか、あるいは全く手が出ないで押しまくられるかどちらかで、判定なら粟生、KOならラリオス

WBA世界フェザー級タイトルマッチ(10/24、後楽園ホール)
チャンピオン クリス・ジョン(インドネシア、41勝22KO1引分け)
挑戦者 榎 洋之(角海老宝石、27勝19KO2引分け)

クリス・ジョンが最初の防衛戦で佐藤修とやったときは、まさかここまで安定王者になるとは思えなかった。世界的ビッグネームであるファン・マヌエル・マルケスに勝っているのに地元判定の一言で片付けられ、ビッグマネー・ファイトの話も出ず日本で防衛戦をしなければならないのはちょっと気の毒である。

さて、そうこうしている間にクリス・ジョン自身のピークを過ぎてしまったとすれば、世界戦をさんざん待たされた榎にもチャンスがありそうな気がする。思い出すのはナデル・フセインで、世界上位ランカーでパッキャオとラリオス位にしか負けていなかったのに、榎戦では予想外に力が衰えていた。

榎はいつものように主武器の左ジャブを当てていくことになる。数年前のクリス・ジョンならジャブすらもらわないで連打できただろうが、現在の力はどうか未知数である。榎は基本的に自分の力は出せるので、この試合のポイントはクリス・ジョンの出来ということになるだろう。

狭い後楽園でイノキ・コール(「榎」はイノキと聞こえるので)が響くようだと、面白いことになりそうだ。榎に連打がないだけにクリス・ジョン有利は動かせないが、序盤から榎の左が決まるようなら2割くらいは榎の勝ち目もありそうだ

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2008/10/08

ピーターvsクリチコ&ターバーvsドーソン展望

今週末にはヘビー級、ライトヘビー級のタイトルマッチがある。いずれも、実績十分のベテランと、現在世界最強レベルといわれる若手有望株の「世代交代」的な位置づけの戦いである。

WBC世界ヘビー級タイトルマッチ(9/11、ドイツ・ベルリン)
○チャンピオン サミュエル・ピーター(ナイジェリア、30勝23KO1敗)   +120
   名誉チャンピオン ビタリ・クリチコ(ウクライナ、35勝34KO2敗)  -150

チャンピオンのまま引退し、名誉チャンピオンとなって政治活動を行っていたビタリ、4年ぶりの復帰である。そして復帰緒戦が若くて破壊力のあるピーター、ビタリにとって相当リスキーな選択である。

常識的には、軽めの相手で試合勘を戻してから強敵に対するのが定石である。モハメッド・アリは3年半ぶりのカムバックで2戦チューンナップ・マッチを行った後にジョー・フレイジャーに挑戦したが、大差の判定負けだった。

シュガー・レイ・レナードは3年ぶりの復帰戦でいきなりマービン・ハグラーに挑戦し勝ったけれど、スプリット・デシジョン。そしてビタリはアリやレナードほど器用なタイプではない。

ピーターはかつてウラディミールと戦い、判定負けしたがダウンを奪っている。長い距離で戦われると踏み込むのは難しいが、ブランクのあるビタリと上り坂のピーターでは、打ち合いに持ち込まれる可能性はかなりある。

もちろんビタリは打ち合いになっても強いからピーター有利とは言い切れないが、ビタリのFavoriteには地元ドイツということもあるだろう。ブランクの影響がないほど、ビタリが圧倒的に強いとはいえないと思うのだが。

この試合は、月曜日のWOWOWでタイムリー・オン・エア中継される。

IBF世界ライトヘビー級タイトルマッチ(9/11、米ラスベガス)
   チャンピオン アントニオ・ターバー(米、27勝19KO4敗)  +205
○挑戦者 チャド・ドーソン(米、26戦全勝17KO)  -265

こちらもターバー39歳、ドーソン26歳の新旧対決。ターバーはロッキー・ファイナル出演後ぱっとしなかったが、ようやく復活して再びチャンピオンとなった。ただ、ドーソンはクリントン・ウッズとはちょっとレベルが違うようである。

ターバーが相手から嫌がられてきたのは、その天才的なボクシングセンスもあるが、基本的に長身でリーチの長いサウスポーだからである。しかし、ドーソンも同じ特徴を持つ選手であり、しかも体のサイズが一回り大きい。

ターバーにとっては、一回り大きい自分と戦うようなもので、やりにくいことこの上ない。しかも、ターバーは天才型らしく、自分のペースにならないとすぐあきらめてしまうところがある。年をとってさらにその傾向が顕著になってきた。

ドーソンの弱みがあるとすればそれほど強い選手と戦ってきていないことで、前回のグレン・ジョンソン戦は初めての苦戦だった。ただし、ターバーはジョンソンほどしつこくない。

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2008/09/29

イーグル引退とWBCヘビー級戦線

前WBC世界ミニマム級チャンピオン、イーグル・デーン・ジュンラパン(角海老宝石ジム)の引退が発表された。ミニマム級からフライ級あたりまで含めて、おそらく日本最強といっていいチャンピオンだったが、目に故障していたらしく(となると網膜はく離か?)、惜しいことである。

すでに家庭の事情でタイに帰っているということだが、彼の場合、スポンサーだった京和建物(それでイーグル京和というリングネームだった)に契約を打ち切られ、提供されていた自宅から立ち退かざるを得なかったという。

その京和建物といえば、社長が細川ふみえとサイパンで結婚式を挙げたり、恐喝容疑で逮捕されたり、いろいろあった会社である。イーグルの奥さんは日本人で子供もいるのに、実力や実績に見合う報酬が得られなかったのは残念である。

さて、話は最軽量級から最重量級に変わって、27日にドイツで行われたWBC世界ヘビー級挑戦者決定戦、ファン・カルロス・ゴメス(キューバ)がウラディミール・ビルチス(ウクライナ)に判定勝ちで指名挑戦権を獲得した。

ファン・カルロス・ゴメスといえば、1998年から2001年までのWBC世界クルーザー級チャンピオン。防衛戦のほとんどをKOで片付けている圧倒的に強いチャンピオンで、2001年11月の防衛を最後にヘビー級にクラスを上げた。

当時のクルーザー級リミットは190ポンド(86.35kg)、今回の試合が233ポンド(105.9kg)、7年かかって、ようやくここまで上げてきたのだが、その間に歳をとってしまったゴメスはすでに35歳。大型化の著しいヘビー級で通用するのかどうかというと、ちょっと難しいかもしれない。

ゴメスが指名挑戦権を獲得したWBC世界ヘビー級タイトルは、さ来週10月11日に、チャンピオンのサミュエル・ピーターと挑戦者ビタリ・クリチコとの間で争われる。クリチコ兄にとって4年ぶりの復帰戦がピーターでは、いくらなんでも厳しいのではないかというのが第一感である。

p.s.明日は出張のため、更新をお休みします。

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2008/09/16

西岡チャンピオン!新井田陥落!

WBC世界Sバンタム級暫定王座決定戦(9/15、パシフィコ横浜)
西岡利晃(帝拳) 判定(3-0) ナパポーン・キャットサクサーチョイ(タイ)

WBA世界ミニマム級タイトルマッチ(同)
ローマン・ゴンサレス(ニカラグア) 4回TKO 新井田豊(横浜光)

西岡は暫定王座とはいいながら、悲願のタイトル奪取。相手のナパポーンは見たところ減量の影響が出てしまっていて(タイは普段きちんと計量しないので、タイトルマッチでは時々こういうことがある)、西岡の動きに付いて行けなかった。

中盤で余裕が出た西岡が打ち合ってしまったのと、8ラウンド後の採点で差がつまっていたせいで残り4Rが妙にエキサイティングになってしまったが、スピードと技術の差はかなり明らかなように見えた。

西岡な年齢的な限界もあるので、防衛戦などやろうとせず、早くイスラエル・バスケス(正王者)と戦ってほしい。セミでも何でもラスベガスのリングに登場できれば日本ボクシング界にとって快挙である。

新井田は予想通りTKO負け。パンチの威力が違いすぎた。同じクラスなのに全くパンチの威力が違うといういケースは昔からあるが、新チャンピオンのゴンサレスもその一人。こういう選手をボクシングの天才と呼ぶのである。

自称天才の亀田兄弟も、あのくらいのパンチ力の違いを見せれば誰も何にも言わないのだが。

ライト級12回戦
ファン・マヌエル・マルケス(メキシコ) 11回TKO ホエル・カサマヨル(キューバ)

中盤までは予想通りカサマヨルが距離をとってうまく戦っていたのだが、終盤にとうとうマルケスがつかまえた。カサマヨルはカスティージョのパンチを持ちこたえたくらいだからマルケス兄のパンチが効くとは思えなかったけれど、やはり年齢的なものだろう。

それではマルケス兄がライト級でやっていけるのかというと、ちょっと難しいだろう。例えばライト級に上げるためスーパーフェザー級タイトルを返上したエドウィン・バレロとやれば、おそらく新井田ロマゴン戦のようになるのではないか。

それにしても、日本のタイトルマッチ3戦をみてからWOWOWのこの試合(ノンタイトル)をみると、あまりのレベルの差に言葉を失ってしまうのは私だけだろうか。

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2008/09/10

カサマヨルvsマルケス兄、新井田、西岡戦展望

ライト級12回戦(9/13、米ラスベガス)
○元2階級王者 ホエル・カサマヨル(キューバ、36勝22KO3敗1引分け) +260(3.6倍)
   元2階級王者 ファン・マヌエル・マルケス(メキシコ、48勝35KO4敗1引分け) -330(1.3倍)

最初はカサマヨルの持つWBOライト級暫定王座が懸けられるはずだったが、どうやら剥奪されたらしい。それでも、試合巧者同士の注目の一戦である。

デラホーヤとカサマヨルくらいになってしまったバルセロナ組。ソウルのロイ・ジョーンズも現役だからそれには敵わないものの、息の長い選手である。2000年ミレニアムの頃、スーパーフェザーに4人の無敗チャンピオンが並立したが、そのうちの一人。あとの3人のうち、コラレスは交通事故死、メイウェザー、フレイタスは引退した。

これだけ長く活躍できているのは、やはりアマチュア仕込みのテクニックのおかげだろう。とはいえ、数年前にはほとんど当てさせなかったディフェンスが、このところやや衰えており、フレイタス戦はパンチをよけて倒れたらダウンをとられてしまったのに、3月のカツディス戦では明らかに効いたパンチをもらってしまっている。

一方のマルケス兄、この間までフェザー級だったのにもうライト級である。カサマヨルほど年ではないがすでに35歳、バレラ戦、パッキャオ戦にみられるように、ちょっと打たれ弱くなってきているような印象。

マルケスFavoriteだが、年齢が年齢だけに、より衰えていない方が勝つだろう。オッズだけみる限り、カサマヨルを買ってみたい。

WBA世界ミニマム級タイトルマッチ(9/15、パシフィコ横浜)
   チャンピオン 新井田 豊(横浜光、23勝9KO1敗3引分け)
○WBA1位 ローマン・ゴンザレス(ニカラグア、20勝18KO)

2001年に初めてタイトルを獲得して以来、引退、カムバック、タイトル奪還、防衛とそれなりに活躍してきた新井田。統一戦になったらとても敵わないと思われていたイーグルがホームタウン・デシジョンでタイトルを奪われるというラッキーにも恵まれたてきたが、いよいよ年貢の納め時である。

通称ロマゴンと呼ばれるゴンザレスはいちおう帝拳所属で、これが日本3戦目。なんといっても新井田が大苦戦したクモ男ゲホンを1ラウンドKOした破壊力は大したものである。元世界ランカー松本博志と判定になり連続KO記録は途切れたものの、この1戦はライトフライ級リミットだったし、それでもフルマークの判定である。

新井田のカウンターのセンスはなかなかのものだが、おそらく決め手の差が出るはず。

WBC暫定世界Sバンタム級タイトルマッチ(日時場所・新井田ロマゴンと同じ)
○WBC2位 西岡利晃(帝拳、31勝19KO4敗3引分け)
   WBC3位 ナパポーン・キャットサクサーチョイ(タイ、46勝39KO2敗1引分け)

正規タイトルがバスケスvsマルケス間で1年半以上続いており、あまりの消耗戦にWBCが両選手に休養を命じたことによる暫定王座戦。西岡にとって4年半ぶり、そしておそらく最後のチャンスである。

ウィラポン第4戦以降はスーパーバンタムに上げて、現在8連勝5KOの西岡だが、正直なところ中島吉謙以降はたいした相手と戦っていない。

そのことは2003年にオスカー・ラリオスにTKO負けして以来連勝を続けているナパポーンも同様で、そもそもちゃんと計量した試合自体があまりないのである。ナパポーンが挑戦者決定戦を戦った相手は、同じタイのセーンヒラン・ルークバンヤイ(10回TKO)だが、このセーンヒランは最近武本在樹と引き分けている選手である。

またナパポーンは次の試合で、ジャック・アシスというフィリピン選手相手に8R引分けである。このアシスは、ルークバンヤイやムゾンケ・ファナ(WBOスーパーフェザー)とも戦っているそこそこの選手ではあるが、地元タイで戦って引分けということは、かなり分が悪かったと想像できる。

タイのこの手の選手はそうとうタフだと思われるが、決め手の争いになれば西岡の方が上なのではないか。なんとかここを勝ちあがって、バスケスvsマルケスの勝者と戦うことになれば、それだけで日本ボクシング界にとって快挙となるはずである。

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2008/08/29

WBA世界ヘビー級タイトルマッチ展望

ボクシング界の話題は、12月に予定されるデラホーヤのラストファイトの相手のことで持ちきりである。どうやらマニー・パッキャオが有力で、ファイトマネーの配分さえ折り合えば実現しそうな勢いである。

ちなみに、現在のウェイトはデラホーヤ154ポンド、パッキャオ135ポンドで19ポンド=約9kgの開き。もし本当に実現すれば、「元ミドル級世界チャンピオン」対「元フライ級世界チャンピオン」の前代未聞の戦いとなる。それはそれとして、今週はヘビー級。

WBA世界ヘビー級王座決定戦(8/30、ベルリン)
WBA1位 ニコライ・ワルーエフ(ロシア、48勝34KO1敗) -295(1.3倍)
WBA2位 ジョン・ルイス(アメリカ、43勝29KO7敗1引分け) +235(3.3倍)

正チャンピオン、ルスラン・チャガエフが公休扱いとなり、暫定でなく正王者の決定戦となる。ともに前チャンビオンで、2005年12月に対戦し、2-0の判定でワルーエフが勝ってチャンピオンとなった。今回は約3年振りの再戦となる。

ジョン・ルイスがイベンダー・ホリフィールドに勝って、ヒスパニック系(スペイン系)初のヘビー級チャンピオンとなったのは2001年。その後、カーク・ジョンソンにローブローで反則勝ちしたり、ロイ・ジョーンズに負けたり、ジェームス・トニーに負けたり(トニーのドービング違反によりノーコンテスト)、あまり格好のいい成績でない。

2005年にワルーエフにタイトルを奪われて、さすがにもう第一線での活躍は難しいだろうと思っていたら、ここへきて再浮上、今年3月にジャミール・マクラインに勝って指名挑戦権を獲得した。オーソドックス(右構え)のファイターで、KO負けは12年前のデビット・トゥア戦以降なしというタフな選手である。

かたや大巨人ワルーエフ。唯一の負けはチャガエフとの0-2判定で、体の大きさに比べてパワーはないが、これは12ラウンド戦うことを考えて全力を出し切らないようにセーブしているためではないかと思われる。

オッズどおりワルーエフ優位は動かない。というのは、ルイスにワルーエフを完封できるパワーもスピードもないからである。ルイスにとって唯一の期待は粘りだが、ワルーエフが半分のパワーで戦ってもかなり効くはずで、ルイスの調子によってはワルーエフのKOまであるとみている。

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2008/07/29

フライ級ダブル世界タイトルマッチ展望

先週予想したコットvsマルガリトのウェルター級タイトルマッチは、予想以上の激戦。展開はほぼ予想通りだったが、コットが前半から鼻血を出したのと、マルガリトのボディが効いて、あと2ラウンドがもたずマルガリトの11回TKO勝ち。今年のベストファイトはこの一戦でほぼ決まりだろう。

そして、今週は日本のビッグファイト、同一階級のダブルタイトルマッチである。

ボクシングの世界戦統括団体として広く認められているのはWBA、WBC、IBF、WBOの4団体であるが、日本ではこのうちWBAとWBCの2団体しか認められていない。だから日本人の同一階級世界王者としては2人が最大となるが、その2人、「伝統のフライ級」における2人の世界王者が同じリングに上がる。そして、挑戦者も日本人である。

WBC世界フライ級タイトルマッチ(7/30、代々木第一)
チャンピオン 内藤 大助(宮田、32勝20KO2敗3引分け)
挑戦者 清水 智信(金子、13勝5KO2敗)

内藤の実績は日本人世界王者の中でも上位である。「不沈艦」ポンサクレックからタイトルを奪取、「反則亀」大毅を一蹴し、いまだ日本人相手に無敗。フライ級にして5割を超えるKO率は相手関係を考えると相当の強打者といえる。

かたや清水は日本チャンピオン。キャリアは内藤の半分にも満たないが、やはり日本人相手に無敗であり、その相手の中にはもう一つのタイトルマッチに登場する久高も含まれる。そして、2敗のうち1つはポンサクレックが相手である。

挑戦者の清水としては、ジャブから手堅く攻めていくことになるが、内藤がどう出るか。おそらく定番となっている変則スタイルから接近するのだろうが、その場合チャンピオンの方がどちらかというと前に出て行くことになりそうだ。

そうなると、清水としてはあえて前に出なくても、内藤の出鼻をうまく叩いていけばポイントは取れることになる。内藤が変にKOを狙うようだと、空回りする危険もある。内藤が落ち着いてさばいていくような展開なら内藤の判定勝ちだが、波乱の目が2割程度はある。

WBA世界フライ級タイトルマッチ(同)
チャンピオン 坂田 健史(協栄、32勝15KO4敗2引分け)
挑戦者 久高 寛之(仲里、16勝5KO6敗1引分け)

ロレンソ・パーラ、ロベルト・バスケスを連破して、世界的にはむしろ評価が高い坂田。亀田一家が協栄を離れたことにより、指名挑戦者である亀1こと興毅との対戦に障害はなくなった。ここを勝ってビッグマネー・ファイトに臨みたいところだが、相手はフセイン・フセインを破って世界上位に進出してきた久高(ひさたか)である。

坂田といえばスロースターターというのが代名詞となりつつある。直近の山口との防衛戦、その前のデンカオセーンとの防衛戦、いずれも前半にあっさりという感じでダウンを奪われた。後半の追い上げにより事なきを得たが、危ないところだったのは間違いない。

相手の久高も波の大きい選手で、デビュー戦から2連敗、フセイン・フセイン戦の前は3連敗している。タイトル挑戦は日本タイトルのみ(失敗)で、世界戦はちょっと早いような気がする。ただし、タイトルマッチ出場4選手の中では最も若い23歳。成長途上にある選手である。

坂田のエンジンがかかる前に久高が一気に倒しきってしまう可能性はないとはいえず、やはり2割程度の波乱の目はある。ただし勝負が後半に持ち込まれるようなら、坂田の無尽蔵ともいえるスタミナが試合を支配しそうだ。坂田の判定か後半KO勝ち

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2008/07/24

WBA世界ウェルター級タイトルマッチ展望

WBA世界ウェルター級タイトルマッチ(7/26、米ラスベガスMGM)
チャンピオン ミゲール・コット(プエルトリコ、32戦全勝26KO) -260(1.3倍)
挑戦者 アントニオ・マルガリト(メキシコ、36勝26KO5敗1NC) +200(3.0倍)

フロイド・メイウェザーが引退する・しないにかかわらず、私はこの試合がウェルター級最強を決める戦いであると思っていた。

シドニーオリンピックに出場してプロ転向後、8年間無敗、スーパーライト、ウェルターの2階級を制覇しているコット。この間、セサール・バサン、デマーカス・コーリー、ザブ・ジュダー、シェーン・モズリーといった強豪を退けている。

かたや、2002年にWBO世界ウェルター級タイトルを獲得して以来、このクラス最強といわれてきたマルガリト。今年シントロンとの2度目の対戦に勝ってIBF王座を獲得(返上)、この試合に勝てば3団体目のチャンピオンとなる。

コットの持ち味は攻防兼備の洗練されたスタイルにある。強打者でありながらディフェンスがうまいのは、おそらく打たれ強くないからと思われるが、最近は強打に磨きがかかってきた。コンパクトなフォームなのに、恐るべき破壊力がある。

一方マルガリトの持ち味は打たれ強さである。パンチをまともに食らっても前進を止めず、最後には相手があきらめて戦意喪失してしまう。あの9割KO率のシントロンのストレートを受けて立っていられたのはマルガリトだけであろう。

展開は、マルガリト前進、コットのアウトボックスで間違いない。そして前半は、コットの速さがマルガリトのしつこさを上回るはずである。その間に、コットがマルガリトを十分に痛めつけることができるかどうかが勝負の鍵となる。

スロースターターのマルガリトだけに勝負を後半に持って行きたいところだが、前半あまりダメージを受けてしまうと追い上げるのは厳しいような気がする。最近、マルガリトに歴戦の疲れが出ているようにみえるので、コットの判定、もしかしたら後半KOがあるかもしれない。

この試合は、月曜日のWOWOWでタイムリー・オン・エア中継される。

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2008/07/10

統一世界ヘビー級タイトルマッチ展望

IBF・WBO世界ヘビー級タイトルマッチ(7/12、ドイツ・ハンブルグ)
チャンピオン ウラディミール・クリチコ(ウクライナ、50勝44KO3敗) -650(1.15倍)
挑戦者 トニー・トンプソン(アメリカ、31勝19KO1敗) +450(5.5倍)

メイウェザーの引退表明でデラホーヤ戦が消滅し、秋以降のボクシングはいまのところ注目すべきビッグマッチがない。その中で期待したいのはやはりヘビー級戦線である。現在世界最強のクリチコ弟が統一王者としての初防衛戦(IBFは5度目)に臨む。WBO指名挑戦者のトニー・トンプソンが相手となる。

トンプソンも196cmの巨漢ボクサーだが、クリチコは2mである。そしてアトランタ五輪金メダリストと技術面の裏づけもあり、ここ数年は堅実さも目立ってきた。

2003~4年に、コーリー・サンダース、レイモン・ブリュースターにそれぞれあっけなくKO負けした実績から、一発いいのをもらったら危ないというのがクリチコ弟のイメージになってしまったが、本人もそれを分かっていて最近は危ない橋を渡らない。

トンプソンはキャリアの初期に敗戦しただけで約8年間負け知らずだが、ドミニク・グインに勝ったのが目立つ程度で一線級との試合はほとんどない。大柄なサウスポーでそう簡単に決定打は許さないだろうが、かといってKOを量産する強打者という訳ではない。

クリチコ弟としてはここはすんなりクリアし、サミュエル・ピーターやニコライ・ワルーエフ、ルスラン・チャガエフといったヘビー級主力とのビッグマッチを待ちたいところ。ただし、クリチコ弟の左はトンプソンの右を払うのに使われる可能性大。となるとクリチコ弟の判定勝ちか

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2008/06/11

長谷川、嶋田、世界戦展望

世界戦線では、リナレスの防衛戦がキャンセルになったり、ヘビー級タイトルマッチが延期になったりしているが、その間に日本のボクシングが熱くなってきた。明日の帝拳主催、7月30日のミヤタジム主催の両ダブルタイトルマッチ+1は、ファンにとってたまらない試合である。

WBC世界バンタム級タイトルマッチ(6/12、日本武道館)
チャンピオン 長谷川穂積(真正、23勝7KO2敗)
挑戦者 クリスチャン・ファッシオ(ウルグアイ、15勝10KO2敗)

いまや主要4団体の中でも最強と評価されるようになった長谷川、6度目の防衛戦である。

ウィラポン第2戦以降の3試合は変にマスコミが盛り上りすぎていたが、もともと長谷川は狙ってKOできる強打者ではない。幸い今回は、正真正銘のKOパンチャー・バレロが登場するので、肩に力が入りすぎることはなさそうだ。

ファッシオはWBCラテンのチャンピオンだが、戦績的にも注目できるものはなくウルグアイ、アルゼンチン以外では初めての試合である。長谷川が普通にやればテクニックで完封できるはずだし、もしかするとKOもある。

WBA世界スーパーフェザー級タイトルマッチ
チャンピオン エドウィン・バレロ(帝拳、23戦全勝全KO)
挑戦者 嶋田雄大(ヨネクラ、22勝15KO3敗1引分け)

2000年11月にリック吉村の最後の日本タイトル防衛戦の相手となり敗れて以来、8年間負けなしの嶋田が、とうとう世界初挑戦である。しかし相手は怪物バレロ。本望に続いての玉砕がかなり濃厚な組合せである。

嶋田の実績としては、稲田千賢、長嶋健吾を連覇したことだが、両者に共通していたのは手数が少ないということだった。しかしバレロは手数が出るししかも強打者、嶋田の駆け引きが通用する可能性は小さい。

加えて、嶋田が130ポンドに落とすのは8年ぶり。36歳という年齢を考えると、かなりの負担になる。もっともウェイトがきついのはバレロも同様で、この試合を最後にライト級に上げるという観測もある。バレロKO勝ち。

OPBFスーパーフェザー級タイトルマッチ
チャンピオン 内山高志(ワタナベ、9戦全勝7KO)
挑戦者 阪東ヒーロー(Fフォーラム、19勝8KO8敗6引分け)

ナデル・フセインをKOしてこのタイトルを手に入れた内山は、アマ90戦を越えるキャリアに加えて、決め手がある。やや体が固くコンビネーションが滑らかさに欠ける傾向があるが、日本人相手でそれをとがめられる危険は少ない。

阪東はバレロと戦って1RKO負け。雪辱に燃えているが、以前にも雄二ゴメス、竜宮城にやはりKOされており、うたれ強い選手とは言いがたい。内山の硬質なパンチがうなりそうだ。内山KO勝ち。

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2008/05/29

最近のボクシング 小堀、リナレス

先週の月曜日に行われたWBA世界ライト級タイトルマッチで、挑戦者の小堀佑介(角海老宝石、28歳、23勝12KO2敗1引分け)がチャンピオンのホセ・アルファロ(ニカラグア、24歳、20勝18KO4敗)を3回KOで下して新チャンピオンとなった。

このタイトルは以前、畑山隆則が持っていたもので、さらにさかのぼれば1970年代、「石のコブシ」ロベルト・デュランが保持していた由緒あるタイトルである(ガッツ石松が持っていたのは同時期のWBCタイトル)。ライト級の日本人チャンピオンは3人目となる。

ただ、水を差す訳ではないがアルファロはこのクラスでベスト10にようやく入るレベルの選手で、最強の選手達は他にいる。現在ライト級のベスト3は、WBO暫定王者のホエル・カサマヨル、かつてこのクラスの3団体を統一していたファン・ディアス、そのディアスを破った現統一王者ネート・キャンベルというのが大方のみるところであろう。

ここに割り込もうというのがアジア初のビッグマネー・ファイターであるマニー・パッキャオ(フィリピン)で、6月28日(私が帰る日の翌々日!)にラスベガス・マンダレイベイでデビット・ディアスの持つWBCのライト級タイトルに挑戦することとなっている。

小堀のタイトル獲得は見事だが、これから先、本場の選手との防衛戦が待っている。かつて日本チャンピオンの時代に、わざわざ最強挑戦者(ランキング1位)ばかり相手にした防衛戦を戦ってきた小堀だけに、苦しい戦いになるとは思うが何とか防衛してほしいものである。

一方で、帝拳所属のWBC世界フェザー級チャンピオン、“ベネズエラのゴールデンボイ”ホルヘ・リナレス(22歳、25戦全勝16KO)が、5月末に行われる予定だった防衛戦を肩の故障でキャンセルした。ただし、このキャンセルにはやや戦略的な思惑も含まれているようである。

というのは、現在1階級上のスーパーフェザー級のWBCチャンピオンはマニー・パッキャオで、このパッキャオは上に述べたようにさらに1階級上のライト級タイトルに挑戦する。もしこれに勝てば、慢性的にウェイトが苦しいパッキャオはスーパーフェザーのタイトルを返上する可能性があり、リナレスが現在持っているフェザー級からスーパーフェザーに上げれば、王座決定戦の有力な候補者となるからである。

リナレスの将来性を考えれば、いつまでも帝拳プロモートで弱敵相手の防衛戦を続けるのは時間と才能の無駄遣いであり、なるべく早く世界の一流相手とのビッグマッチを行いたい。となれば、今回の防衛戦キャンセルを機に1階級上げて、デラホーヤ傘下で例えばファン・マヌエル・マルケスとの王座決定戦が視野にあるのではないか。むしろその方が、見る側としては楽しみなのだが。

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2008/05/15

スーパーフライ級王座統一戦展望

スーパーフライ級王座統一戦(5/17、メキシコ・デュランゴ州)
WBC王者 クリスチャン・ミハレス(メキシコ、34勝14KO3敗2引分け) -330(1.3倍)
WBA王者 アレクサンデル・ムニョス(ベネズエラ、32勝27KO2敗) +260(3.6倍)

ともに日本になじみの深い王者同士の統一戦。勢いはミハレスで、ムニョスの強打を完封するはずだ。

ミハレスは川島と王座決定戦を戦った頃、テクニックはあるが一発がなく、メキシカンボクサーとしては華がないように感じたが、ここへきて急上昇した。特に昨年4月に2階級王者ホルヘ・アルセを完璧に破ってから、グレードアップしている。

最近の3戦は、KO、KO、明白な判定勝ち(前回のホセ・ナバロ戦は2-1判定だが、ナバロ勝ちとしたジャッジはどこを見ていたのか不明)。現在26歳でさらに上昇が見込まれており、ここを勝って2階級制覇に向かいたいところ。

ムニョスは全勝全KOでセレス小林からタイトルを奪ったが、その後マーティン・カスティーヨに連敗。昨年9月に名城信男からようやくタイトルを取り戻した。

暴漢に足を撃たれて以来明らかにパンチ力が低下しており、後半のスタミナ面にも課題が残る。序盤でワンパンチKOの可能性がわずかに残されているが、中盤以降はミハレスのスピードについていけないだろう。

この試合の前座で、亀田興毅のノンタイトル戦という説があったのだが、結局実現しなかった。どうも6月のホルヘ・リナレスの防衛戦の前座に向けて調整されているという噂もある。

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2008/05/10

亀田興毅の協栄ジム契約解除問題

ゴールデンウィーク前から話題になっていた亀田兄弟と協栄ジムの契約問題だが、昨9日に正式に契約解除となり、亀田兄弟は協栄ジムをクビになった。これで、どこかのジムに再び所属しない限り、日本のリングには上がれないことになる。

前にも書いたように日本のボクシングジム制度は大相撲をお手本として作られていて、日本ボクシングコミッション(JBC)は日本相撲協会にあたる。相撲で「○○部屋」に所属していない力士が本場所に出られないのと同様、ボクシングでは「○○ジム」に所属していない選手は国内で試合をすることができないのである。

大相撲で横綱という最高位にあった双羽黒(ふたはぐろ=北尾)が、立浪部屋とのトラブルから廃業したのが1987年。ボクシングの西島洋介山がオサムジムとのトラブルからアメリカに渡ったのが1997年。約10年ごとにこうした問題が起こるのは、おもしろいといえばおもしろい。

大相撲で日本相撲協会から除名(廃業処分)になれば、国技館の土俵には上がれないし、仮に一人で場所を主催するとしても、相手として土俵に上がった力士もペナルティを受ける(さだやす圭「ああ播磨灘」)。ボクシングも国内に限れば同じことになるが、海外に活躍の場を求めるという選択肢が残っている分、まだ救われるといっていいかもしれない。

さて、こうした背景の下、亀田興毅(弟はこの際どうでもいい)が今後どうなるかであるが、ボクシング関係者の多くは「特例を認めるべきではない」「亀田家のゴネ得を許すな」という論調である。ずっと海外のリングでやるというならそれでもいいが、海外選手扱いで日本のリングに上がるのは許さない(例えばvs内藤、vs坂田)という見解が大勢を占めるようである。

ただこの点については私は違う意見を持っていて、この時代にジムに所属していなければ選手として認めないという制度自体に無理があると思っている。例えばホルヘ・リナレスなりエドウィン・バレロが帝拳から離れたとして、その後は日本で試合をさせないといったらどうなるのか。国籍が問題だというなら、徳山昌守だったらどうなのか。

JBCはあくまで選手としての資格認定(ライセンス)を司る機関なのであって、選手として不適格と判断するなら日本のリングには上げないというだけのことである。ジムに所属しているかいないかということは興行権に関する問題であって、「業界の秩序」と関係者が言っているのは「既存ジムの既得権益」というのと同義であろう。

そんなことを言っていたらジムの経営が成り立たないというのなら、商業ベースに乗らない商売が長く続けられる訳がないでしょうといいたい。こうした既得権益のせいで、日本のファンはIBFやWBOのチャンピオン、例えばノニト・ドネアやビック・ダルチニアンの実物を日本で見ることができないのだ。

亀田一家の横車には基本的に味方しないのだが、今回の一件についてはがんばって業界に風穴を開けてほしいと思ってしまった(といいつつ、来週にはあっさり新しい所属ジムが決まったりして)。

p.s.ボクシングのバックナンバーはこちら

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2008/05/01

デラホーヤ復帰戦展望

150ポンド契約(スーパーウェルター級)12回戦(5/3、米カリフォルニア州カーソン)
前6階級王者 オスカー・デラホーヤ(米、38勝30KO5敗) -1700(1.05倍)
元Sフェザー級C スティーブ・フォーブス(米、33勝9KO5敗) +900(10倍)

昨年5月にスプリット・デシジョンでフロイド・メイウェザーに敗れて以来のデラホーヤ復帰戦。9月にメイウェザーとの再戦を控え、相手は体格のないフォーブス。デラホーヤにとって、2001年のアルツロ・ガッティーとの一戦とよく似ており、もちろん圧勝以外許されない。

デラホーヤもすでに35歳。プロモーターとしても「ゴールデン・ボーイ・プロモーション」を軌道に乗せ、ボクサーとしてもスーパーフェザーからミドルまでの6階級を制覇した。2006年のマヨルガ戦は少々リスキーだったが、メイウェザーも今回のフォーブスも体格がなく、デラホーヤにとって比較的戦いやすい相手である。

もちろん年齢的な衰えは気になるが、2000年以降年間2試合以上戦ったことはなく、頭(顔)を打たれた試合もあまりなかったので、身体的なダメージは少ない。同じゴールデン・ボーイ・プロモーションのホプキンスが43歳、モズリーも36歳になってがんばっているのだから、総帥がだらしない試合は見せられないだろう。

一方のフォーブス、2000年にIBFスーパーフェザー級のチャンピオンとなっているが、2年後にウェイトオーバーで剥奪、その後2度の世界挑戦に失敗している。以来、クラスとしてはスーパーライトからウェルター級で試合をしており、昨年・一昨年は6戦4勝2敗という成績である。

ただし、昨年10月の試合では、2000年シドニーオリンピック出場のホープ、フランシスコ・ボハドに判定勝ちしており、それが今回の抜擢につながったのかもしれない。

勝敗については、オッズ的には「賭けの対象にならない倍率」である。しかし、ブックメーカーのラウンド・プロップをみると10ラウンド以降が-300(1.3倍)、9ラウンド以下が+260(3.6倍)とむしろ判定にもつれ込むとみる向きが多いようである。

というのは、フォーブスは12年38戦のキャリアでKO負けがないからで、このところ瞬発力に衰えをみせているデラホーヤでは倒しきれないという予想も成り立つ。しかし、あの頑丈なマヨルガをあっさり倒した2戦前を思い出すと、このオッズなら中盤KOを期待してみたい。

この試合は、日本時間日曜日のWOWOWでライブ(実況生)中継される。

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2008/04/17

ライトヘビー級特別試合展望

ライトヘビー級12回戦(4/19、米ラスベガス)
統一スーパーミドル級C ジョー・カルザゲ(44戦全勝32KO) -260(1.3倍)
元統一ミドル級C バーナード・ホプキンス(48勝32KO4敗1引分け) +220(3.2倍)

先週は4試合予想して4試合的中。すべてFavoriteだったので1試合ずつのオッズはたいしたことはないが、4試合のパーレイだと3倍近い配当になる。一方で阪神の桜花賞は人気馬がだらしなかった。スケートのショートトラックでもあるまいし、走るたびに順序が変わるというのはいただけない。だから競馬は安心して買えないのである。

さて今週末は、1997年以来11年間WBOのスーパーミドル級王座を守ってきたカルザゲと、95年から2005年まで足掛け11年間IBFミドル級のチャンピオンだったホプキンスのスーパーマッチ。オッズは今のところガルザゲだが、小差である。

やはり主役はホプキンスだろう。2005年にジャーメイン・テイラーに小差判定でミドル級王座を手放した後も、2006年にアントニオ・ターバー(先週、IBF王座獲得)、2007年にロナルド・ライトをそれぞれ退け、43歳だというのに衰えをみせない。

43歳のプロボクサーが果たして往年の力を発揮できるのか?過去のデータからいうと厳しい。しかし、先週の試合で39歳のターバーがタイトルを奪取し、グレン・ジョンソンもチャド・ドーソンとかなりの好試合をしたらしい。

昔のように短期間に多くの試合数をこなすこともなく、計量は前日で、ラウンド数も12ということで、もしかすると選手の競技寿命は飛躍的に伸びているのかもしれない。それにターバー戦も、ライト戦も、ホプキンスはunderdogだった。

一方のカルザゲ、前回のミッケル・ケスラー戦は統一戦ということもあって両選手とも動きが固かった。カルザゲもすでに36歳、昔はハードパンチャーだったが、拳を痛めてから以前のような切れ味はなく、そして初めてのラスベガスである。

問題は距離だろう。カルザゲはサウスポーだが、ホプキンスは相手が右構えだろうと左構えであろうと関係ない。カルザゲが中に入って細かい連打を決めるようならペースを握るが、お互いのパンチが届かない距離でにらみ合う形になると膠着しそうだ。

そうなると、決定力はむしろホプキンスにある。そして、打ち合いで体力を消耗させないと年齢は関係ない。ホプキンスに極端な衰えがない限り、オッズとは違ってホプキンスのペースになる可能性の方が大きいのではないか。いずれにせよ小差判定だが、ホプキンスへ

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2008/04/09

ボクシング・ウェルター級ウォーズ展望

WBA世界ウェルター級タイトルマッチ(4/12、米国アトランティックシティ)
チャンピオン ミゲール・コット(プエルトリコ、31戦全勝25KO) -800(1.1倍)
挑戦者 アルフォンソ・ゴメス(メキシコ、18勝8KO3敗) +500(6.0倍)

ウェルター級は現在、強い選手が目白押しの充実したクラスであるが、その中であえて二人選ぶとすると、人気のメイウェザー、実力のコットということになるだろう。その実力王者コットのこの階級4度目となる防衛戦である。

これまでの防衛戦の相手であるオクタイ・ウルカル、ザブ・ジュダー、シェーン・モズリーからすると、平凡な相手といえなくもない。だがゴメスは、昨年7月にアルツロ・ガッティをKOして引退に追い込んでおり、ガッティの代役という意味合いもあるかもしれない。

ディフェンスが巧みでかつハードパンチャーであるコット、前回のモズリー戦ではスピードに苦しめられてきわどく判定勝ちしたが、今回は実力的にみてKOしなくてはならない相手である。

ちなみに、この試合の後、コットは7月にリカルド・マヨルガ戦が予定されている。昨年スーパーミドル級で試合したマヨルガが3階級下のウェルターまで落とすとも考えづらいところだが、どちらかというとこちらの試合の方が楽しみである。

IBF世界ウェルター級タイトルマッチ(日・場所同じ)
チャンピオン カーミット・シントロン(プエルトリコ、29勝27KO1敗) +240(3.4倍)
挑戦者 アントニオ・マルガリト(メキシコ、35勝25KO5敗) -300(1.3倍)

KO率90%と衝撃の強打者シントロンが、3年前に唯一敗れている相手である前WBO王者マルガリトとの防衛戦に臨む。

昨年11月、ホセ・フェリシアーノ相手の防衛戦で明らかになったように、ストレートパンチャーのシントロンにとって、接近戦で細かく手を出す相手は大の苦手である。

その意味で、他の3団体のチャンピオンよりも、マルガリトの方がシントロンにはやりにくいだろう。逆に考えれば、みんなマルガリトを嫌がるからシントロンに回ってきてしまったということなのかもしれない。

マルガリトが接近する前にシントロンの一撃が決まってしまえば終わるが、マルガリトもそのあたりは十分承知している。シントロンの勢いが上回る序盤3Rくらいまでは様子をみて、中盤からエンジン全開となるだろう。

シントロンが勝つとすれば2RまでのKO、それより長引けばマルガリトのKO勝ちと予想する。いずれにせよKO決着が濃厚。

この2つの試合は、14日のWOWOWでタイムリー・オン・エア中継される。

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2008/04/08

ボクシング・ライトヘビー級ウォーズ展望

先週土曜日の榎vs粟生戦は、3ジャッジいずれも引分けで終わった。WEB上では「いいカードだというから楽しみにしていたのに、動きが少なくつまらない試合だった」という意見もみられたが、わたし的には見ごたえのある試合だったと思う。

惜しむらくは、榎は粟生のコンビネーションをガードするのに、粟生は榎の左ジャブをよけるのにそれぞれ忙しくて攻撃面での踏み込みが今一歩だったことで、その意味では世界ランクが下で年も若い粟生が、もう少しリスクを取りにいくべきだったように思う。

私の採点では115-113で榎。減点はされなかったものの、榎の2度のローブローの印象が不利に働いたかもしれない。ただ、粟生も榎の頭を押さえる行為が目立ったので、仕方のない面もある。

それよりも、この試合はWBAのエリミネーター(挑戦者決定戦)であるのでラウンド・マスト方式(各ラウンド優劣をつける)が採用されたことをTV解説ではちゃんと触れるべきで、普通のOPBF・日本タイトルマッチだったらおそらく違う判定結果になったように思う。

さて、今週末アメリカでは、2つの階級でダブル・タイトルマッチが開催される。今日は重い階級の方、ライトヘビー級の展望。なお、こちらの試合はSHOWTIMEのペイ・パー・ビューなのでリングアナウンサーはジミー・レノンJr.、明日お送りするウェルター級はHBOなのでマイケル・バッファーとなる。

WBC世界ライトヘビー級タイトルマッチ(4/12、米フロリダ州タンパ)
チャンピオン チャド・ドーソン(アメリカ、25戦全勝17KO) -360(1.3倍)
挑戦者 グレン・ジョンソン(アメリカ、47勝32KO11敗2引分け) +280(3.8倍)

最近のビッグマッチの世界戦離れは、このライトヘビー級から始まった。かつてWBA、WBC、IBF3団体を統一していたチャンピオン、ロイ・ジョーンズJr.がターパーとジョンソンに相次いで敗れ、その両者が世界一決定戦を世界戦統括団体のタイトルマッチとしなかったことから、世界一と世界チャンピオンが別になってしまったのである。

そしてそのターパーとジョンソンが、この日の世界タイトル戦興行に挑戦者として登場する。ともに30代後半。力の衰えは隠すべくもないが、果たして世界チャンピオン達とどのような戦いをするのか、ある意味楽しみな2試合である。

ジョンソンの方は今年39歳。世界に挑戦しては負ける選手だったが、2004年ロイ・ジョーンズにKO勝ちして35歳で初めて世界チャンピオンになった。その後も世界戦線で活躍し続けており、持ち前のタフネスは健在である。

かたやドーソンは25歳。米国のニュースターであるが、最初に述べたようにこのクラスの強豪はこのところあまり世界戦に出ていないことから、それほど骨のある選手とはやっていない。身長195cmのサウスポーだから、サイズ的にはターバーとほぼ同じ。しつこいジョンソンに苦しめられるのか、それとも圧倒するのか、この試合でドーソンの評価が固まることになる。

予想としては、ドーソン判定勝ち

IBF世界ライトヘビー級タイトルマッチ(日・場所同じ)
チャンピオン クリントン・ウッズ(英国、41勝24KO3敗1引分け) -110(1.9倍)
挑戦者 アントニオ・ターバー(アメリカ、26勝19KO4敗) -140(1.7倍)

クリントン・ウッズといえば2002年に、ときの3団体王者ロイ・ジョーンズの指名挑戦者でありながら、「猫だましパンチ」で一撃KOされた試合のイメージが強すぎるが、IBFの王座をすでに4度防衛している。

問題はターバーの出来である。「ロッキー・ファイナル」への出演以来スピードもパワーも持久力も落ちてしまい、バーナード・ホプキンスに完敗、前回の試合もKO勝ちはしたものの内容は良くなかった。もともと天才肌で横着なボクシングをするところはロイ・ジョーンズとよく似ている。

ターバーの出来が60%以上戻っているようなら、この試合はターバーである。しかし、それ以下の出来であるようだと、ウッズが大したクリーンヒットをしていなくても、ターバーが勝手に負けてくれることにもなりかねない。

ターバーKO勝ちを期待したいが、この期待は裏切られる可能性がかなりある。ドーソンとターバーが勝ち残って統一戦になるようなら、かなりのビッグマッチが期待できるのだが。

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2008/04/02

OPBF・日本フェザー級タイトルマッチ展望

OPBF・日本フェザー級タイトルマッチ(4/5、東京JCBホール)
OPBF王者 榎 洋之(角海老宝石、27勝19KO1引分け)
日本王者 粟生 隆寛(帝拳、16戦全勝8KO)

ボクシングファン以外の人にとっては亀田・内藤ほどの知名度はないが、ファンにとって並みの世界戦以上に注目すべき、また楽しみな試合。ちなみに後楽園ホールと同じ水道橋にあるJCBホールで、このカードのチケットは完売となっている。

ここ二十年ほど、日本人有力選手の多くはテレビ局をはじめとするスポンサーの力により日本人同士の決着をつけないまま世界戦に進出し、その多くが世界とのレベル差を見せ付けられるような負け方をしてきた。そのことが、日本のボクシング人気を落としてきた大きな要因であることは疑いない。

現にいま世界戦線にいる内藤と坂田は日本タイトルマッチの引分けの後、決着をつけずにそれぞれ世界に向かったし、新井田とイーグルも戦ったことがない。亀田興毅に至っては日本人と試合をしたことがない。ほとんど唯一の例外は、2004年10月の「世界タイトル挑戦者決定戦」で、当時世界ランカーだった鳥海純を破ったWBCバンタム級王者、長谷川穂積くらいである。

その意味で、同じ帝拳主催のこの試合は、「世界タイトル挑戦者決定戦その2」ともいえるものである。ともに負けなしのOPBF(東洋太平洋)と日本のチャンピオン、プロ叩き上げの榎と、高校6冠のエリート粟生(あおう)。ともに世界ランク上位で今すぐ世界タイトルマッチをしてもおかしくないのに、ここでサバイバルマッチをしようというのである。

実績ではもちろん榎が上である。2004年に無敗のチャンピオンだった大の伸くま(だいのしん・くま)をKOして日本タイトル獲得、デビュー以来14連続KO中の金井晶聡をKO、さらに世界挑戦者の武本在樹、ナデル・フセインを下してOPBF王者となり、前の試合では中部の実力者、真教杉田を破っている。左ジャブは非常に重く、多くの挑戦者が試合後半では右目の視界をふさがれてしまう。

一方の粟生、昨年3月に梅津宏治に判定勝ちで日本タイトルを獲得。その後2度防衛して今回の試合である。日本ランカーが相手だと判定勝ちになってしまうように、決定力は今一歩。ただしテクニックは一級品で、相手が打つより早くコンビネーションを決めて退却するというすご腕である。こういうタイプは、強い相手の方がいい試合をできることが多い。

展開はおそらく、榎が前に出て粟生がフットワークを使うことになりそうだ。粟生は強引に前に出られると体を密着させての打ち合いに応じてしまうのだが、榎は基本的にジャブの選手なのでそういうおそれは少ない。だからポイントは、粟生の速さと榎のジャブのどちらが優位に立つかということになるだろう。

常識的に考えれば、ジャブをよけ続けるということは難しい。だから榎がやや優位にあるとみるが、榎は試合による出来不出来の差が結構あることと、粟生が年齢的に伸び盛りであることから、コンビネーションを先手先手で決める可能性も少なくない。いずれにせよ判定で、榎7割粟生3割といったところか。

なおこの試合は、急きょBS日テレで実況中継されることになった。

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2008/03/24

亀田兄再起戦はそこそこ評価できるのでは

フライ級ノンタイトル10回戦(3/22、幕張メッセ)
亀田興毅(いちおう協栄) ○ 判定(3-0) × レクソン・フローレス(フィリピン)

亀田兄にとって、弟の世界戦で「ヒジ入れろ」の指示でJBCから厳重注意を受けて以来の再起戦。相手はライトフライ級の世界ランカー、フィリピンのフローレス。

このフローレスは一昨年、オマール・ナルバエス(アルゼンチン)の持つWBOのフライ級タイトルに挑戦した実績がある(判定負け)。ナルバエスはおそらく、内藤、坂田と互角以上のチャンピオンであり、ナルバエスと12R戦ったということは、それほど楽な相手ではない。そういう相手を迎えてのワンサイドの判定勝ち(私の採点では99-90)は、まずまず評価できるものといえる。

この試合、フローレスがちゃんと調整してくればKOはないだろうと思っていた。実際、1Rのダウンはややプッシング気味だとしても、各ラウンド確実にクリーンヒットを積み重ねた亀田兄はブランク明けにしては上出来だったと思う。世界ランカー相手にこれだけ一方的な試合のできる軽量級ボクサーは、残念ながら日本にはほとんどいないのである。

にもかかわらず試合後のコメントは、「倒せなかったのは出来が悪かった」ということであるらしい。やっぱりちゃんとした指導者がいないというのはこういうことなのだなあと思う。

「亀田とKOはセット」だといくら威張ったところで、フライ級程度の体格ではパンチ自体にそうそう破壊力があるはずがない。このくらいのクラスで次々とKOを続ける選手がいるとすれば、それは力関係に差があるということに過ぎず、現にローマン・ゴンザレス(ミニマム級、16連続KO)にせよ、アレクサンデル・ムニョス(Sフライ級、23連続KO)にせよ、そこそこの相手と当たった途端に判定勝負が多くなった。

そして、この試合自体は評価できるけれども、その半面彼の課題だったのは、左でパンチを打とうとするあまり体が相手と正対してしまうということで、それを改善しない限りこの階級で世界は難しい。

正対するとなぜいけないかというと、まず攻撃面ではパンチの効果が著しく減少するということである。野球で考えると分かりやすいと思う。バントの構えで投手に正対すればバットには当てやすいがホームランは無理である。右を前にした体制から腰と肩で弾みをつけるから、利き腕の左ストレートの破壊力が増すのである。

またディフェンス面でいうと、相手に体の正面を向けていれば打たれる場所が多くなるのは明白である。サウスポーの選手はオーソドックスの選手からみるとパンチが届く場所が限られるのがメリットなのに、体の正面を向けていればそのメリットがなくなる。ああいうスタイルでやりたいのなら、むしろ左を前にしてオーソドックスで戦う方がいいくらいだ。

実際、数は多くなかったもののフローレスの右ストレートもたびたびクリーンヒットしていたし、4Rのクリンチから離れる一瞬の右フックは、ダウンさせられてもおかしくない一発であった(興毅はアゴが弱点)。こういう一撃を不用意にもらわないためには、ちゃんとヒット・アンド・アウェイ(打って離れる)を繰り返し、無理に倒そうとしないことが必要である。

マスコミの論調ではえてして弟と一緒にされてしまう興毅だが、弟とは大違いで素質は間違いなく一級品である。本当に今からでも遅くないので、ちゃんとしたトレーナーについてほしいものである。ちなみに現時点でWBCチャンプの内藤とやった場合、興毅のパンチは当たらず内藤のパンチが面白いように決まって内藤KO勝ちとなる可能性がかなり大きい。年末に想定される内藤戦までに勝負になるくらいにはレベルアップしてくれないとおもしろくない。

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2008/03/13

WBC世界スーパーフェザー級戦展望

WBC世界スーパーフェザー級タイトルマッチ(3/15、米ラスベガス)
チャンピオン ファン・マヌエル・マルケス(メキシコ、48勝35KO3敗1引分け) +150
挑戦者 マニー・パッキャオ(フィリピン、45勝35KO3敗2引分け) -180

先週の予想では内藤引分け防衛・ピーターKO勝ちをパーフェクト的中させた当コラム、今週のビッグマッチは2004年5月以来約4年ぶりの再戦となるマルケス兄とパックマンのラスベガス・マンダレイベイ決戦である。

前回の対戦ではパッキャオが1Rに3度のダウンを奪ったものの、試合全般としてはマルケスに分のある引分け。その時と比べると、マルケスは技術的により洗練され、パッキャオは全ラウンド動き続けるスタミナ面が向上したとみている。

オッズが示すように、この試合の注目はパッキャオである。アジア系ボクサーとしては初めてといっていいビッグマネー・ファイターとなったパッキャオであるが、知名度を上げた要素としてはエリック・モラレスとの3戦、マルコ・アントニオ・バレラとの2戦が非常に大きい。あとの対戦相手として一流といえるのはオスカー・ラリオスくらいで、実はそれほど多くの強豪と対戦している訳ではない。

前にも書いたようにパッキャオはフライ級スタートで、5階級上になるスーパーフェザー級は体格的に厳しい。モラレス、バレラ、ラリオスといった面々はもともとスーパーバンタム級の選手であるから、大きなハンディキャップはなかった。しかし、ナチュラルなこのクラスの選手、例えばWBAチャンピオンのエドウィン・バレロと戦ったら、パンチ力、耐久力の点でパッキャオはかなり不利になるだろう。

その意味で、フェザー級からクラスを上げたマルケス兄は、パッキャオにとってぎりぎりの相手と考えられる。そのマルケス兄も、スーパーフェザー級での2試合、タイトルを獲ったバレラ戦、初防衛のフアレス戦がいずれも判定で、攻撃力が相対的に低下している懸念はあるが、相手も強かったので仕方なかったという見方もできる。

テクニック的には、前の試合がそうであったようにマルケス兄が上。あとはパッキャオの一発が決まるかどうかだが、最近のパッキャオは昔のような思い切りに欠けているような気がする。ウェイトを上げると耐久力も増すので、前の試合のようにマルケスをダウンさせるのはちょっと難しいのではないかと思っている。マルケス判定勝ちにブラックチップ。

ちなみに、パッキャオはこの試合の後、6月にマカオで試合を予定しているらしい。

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2008/03/07

内藤・ポンサク、WBCヘビー級戦展望

WBC世界フライ級タイトルマッチ(3/8、両国国技館)
△チャンピオン 内藤大助(日本、32勝20KO2敗2引分け)
   挑戦者 ポンサクレック・ウォンジョンガム(タイ、67勝35KO3敗)

2001年3月にマルコム・ツニャカオからタイトルを獲ったポンサクも、それから7年が経過した。過去のタイの名王者であるカオサイ・ギャラクシーが7年1ヵ月(WBAスーパーフライ)、ウィラポンが7年3ヵ月(WBCバンタム)の連続防衛だったことからすると、仮にここで再び王者となったとしてもそれほど長くはないと思われる。

ポンサクの体調が万全であれば、内藤のトリッキーな動きに対応してカウンターを入れることができる。また、亀田大毅戦で危惧された内藤の目が切れやすい点についても、パンチであればTKOとなるという本来の意味で問題となるだろう。

逆にポンサクの調子落ちが一過性のものでなく年齢的なものであった場合、内藤は大毅戦と違って「負けたら仕方がない」と思い切って来るはずだから、内藤KO勝ちもありうる。もちろん前回と同様判定勝ちは十分。

実力的には、10対8くらいでポンサクレックに分があるとみるが、日本開催という地の利、ポンサク下り坂、内藤ピークという要因を考え合わせると、内藤KO勝ちからポンサクKO勝ちまでどんな結果となっても想定内。間をとって、引分けと予想してみる。

WBC世界ヘビー級王座統一戦(3/8、メキシコ・カンクン)
   チャンピオン オレグ・マスカエフ(ロシア、34勝26KO5敗) +300
○暫定チャンピオン サミュエル・ピーター(ナイジェリア、29勝22KO1敗) -450

身長はマスカエフが約8cm高く、体重はピーターが約5kg重い。マスカエフは2002年にコーリー・サンダースに負けて以来12連勝、ピーターは2005年ウラディミールに唯一の負けを喫して以来6連勝。WBCの王座統一戦である。

マスカエフの残る4敗が、オリバー・マッコール、デビット・トゥア、カーク・ジョンソン、ランス・ウィテカー。サンダース戦を含め、すべてKO負けである。かたやピーターはウラディミール戦では3度ダウンを奪った末の判定負けであった。

となると、マスカエフのKO負けという結論にどうしても達してしまうが、先々週のウラディミールvsイブラギモフがあまり活気のない試合だったので、ヘビー級らしい迫力ある打ち合いを期待したい。

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2008/02/21

IBF・WBO世界ヘビー級統一戦展望

IBF・WBO世界ヘビー級タイトルマッチ(2/23、米NYマジソンスクエア・ガーデン)
IBF王者 ウラディミール・クリチコ(ウクライナ・49勝44KO3敗) -500
WBO王者 スルタン・イブラギモフ(ロシア・22勝17KO1分け) +350

米国ボクシングの殿堂であるMSGで、ボクシングの世界一を決める統一ヘビー級タイトルマッチが行われるのに、戦うのはともに旧ソ連圏というのは時代の流れで仕方ないか。まあクリチコ兄弟は米国でも何度も試合をしてきているので、準ホームグラウンドといえなくもない。

2000年10月にWBOチャンピオンとなって以来、世界のトップ戦線に君臨し続けるウラディミールだが、2003年にコーリー・サンダース、2004年にレイモン・ブリュースターにそれぞれ言い訳のできないKO負けを喫しそのつど評価を落としてきた。それ以降は安定した戦い振りであり、前回の防衛戦ではそのブリュースターを6回KOに下して敵を討ったところである。

かたやイブラギモフ。昨年6月にシャノン・ブリッグスを破ってWBO王者となり、10月には老雄ホリフィールドに勝って初防衛。しかし、2試合ともダウンを奪うことはできず、判定勝ち。本当なら楽勝しなければならない試合をてこずったという印象である。唯一の引分けは2006年7月のレイ・オースティン戦だが、オースティンは次の試合でウラディミールに2回KO負けしている。

ともにオリンピックのメダリスト(ウラディミールはアトランタ金、イブラギモフはシドニー銀)であるが、イブラギモフがいまだにアマチュア的なきれいなボクシングをするのに対し、ウラディミールは何度かの挫折を機にプロ向きのハードパンチャーに変身してきた。体格的にも差があり(身長で202cm対186cm)、ウラディミールの優位は動かない。

イブラギモフはヘビー級には珍しいサウスポーで、まともにパンチを食わないのが強みだが、同じサウスポーのクリス・バードを2度とも問題にしなかったウラディミールだけにそれも通用しそうにない。あとはサンダース戦やブリュースター第一戦のように勝手にあわてて自滅することさえなければ、ウラディミールのKO勝ちは固いはず。

なお、この試合は来週火曜日のWOWOWでタイムリー・オン・エア中継される。

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2008/02/19

亀田大毅がけっぷち

ポーカーの続きの原稿を用意していたが、週明けに大きなニュースが飛び込んできた。昨日のJBC(日本ボクシングコミッション)理事会で、亀田大毅の追加処分について協議されたのである。

ことの発端は亀田大毅が先月27日に起こした自動車の追突事故。物損事故で処理され刑事的な問題はないが、ボクシング界においては現役ボクサーが車を運転しないというのが不文律なのである。

これはかつて世界フライ級チャンピオンであった大場政夫が首都高速で事故死したことが大きく影響している。そして、頭部に多くの打撃を受けるボクサーが運転をすることは相当に危険であるという認識も背景にある。

加えて、大毅は内藤戦の狼藉により1年間のライセンス停止中である。ライセンスを停止されたということはルール違反があった訳で、現役を続ける意思があるとすれば停止期間中の立場として「謹慎」以外にはありえない。身を深く慎み、反省しなければならないはずである。

しかしこの男にそういう良識は通用しない。本来なら亀田道場を出て協栄ジムでトレーニングしなければならないにもかかわらずそれをせず、先日はセコンド禁止となったはずの親父と一緒に茨城・霞ヶ浦高校のレスリング部で練習を見学、その場で「もちろん車はまだ運転しとる」「車はぶつけてなんぼのもんや」などと放言したのである。

さすがの金平会長も苦情殺到に対し素早く動いた。大毅が協栄ジムへの練習にほとんど来ていないこともあり、今後の事態によっては解雇もありうるという判断をJBCに示した模様である。協栄ジムが解雇した場合、日本のジム制度の慣習からして他のジムが大毅と契約することは考えにくく、ジム解雇→日本リング追放となる可能性が非常に大きい。

そしてこの日の理事会では、大毅追放まで一気に進む可能性もあった。そうならなかったのは、どうやらTBSの暗躍があったらしいのである。そもそも、霞ヶ浦高校のニュースを流したのが2月13日のスポニチということだから、今回の伏線と考えるべきだろう。スポニチは毎日系、TBSも毎日系。TBSといえば亀田親子と一蓮托生の間柄である。

TBSは「協栄か亀田かと言われたら、亀田を取る」ということだったらしい。だから、もし大毅が追放されたら、兄貴も親父も連れて亀田道場をメキシコに移し、日本のジムに所属せずにボクサー生活を続けさせることを考えていたようなのである。これは、かつて日本のジムをクビになった西島洋介山と同じ道だが、テレビ局がついている分、可能性はあるかもしれない。なにしろ、外国に行けばIBFにもWBOにも挑戦できるのである。

昨日の段階ではそこまで話が進まなかったため、今後態度が改まればこれまでどおりという結論になったようだが、おそらく近いうちにそういう動きは出てくるだろう。つまり、亀父とTBSの思惑は「永久亀田場所」構想なのである。ただ私の予想を言わせてもらえば「去る者は日々に疎(うと)し」である。大毅のことなど、みんないつまでも覚えているはずがないのであった。

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2008/02/07

WBO世界ウェルター級タイトルマッチ展望

先週、フィリピン・セブのウォーターフロント・ホテルでかなり注目される軽量級のビッグマッチがあった。IBFスーパーフライ級の挑戦者決定戦で、地元フィリピンのホープ、Z・ゴーレスと、前IBFフライ級王者のビック・ダルチニアンの試合である。

一種、ナジーム・ハメド的なところがあるハードパンチャーのダルチニアンなので、クラスを上げてどうなのか興味深かったが、観客席から何か投げ込まれたりしてひどく荒れた試合の結果、判定は3者3様の引分けだったということである。

現在、フライ級、バンタム級には、ダルチニアンの後継王者であるドネアーを除いてそれほど強いチャンピオンはいないが、スーパーフライ級は多士済々で非常に層が厚い。日本でおなじみのクリスチャン・ミハレス(WBCスーパーフライ)も今度ラスベガスで試合をするようだし、世界的にもますます注目を集めそうだ。

WBO世界ウェルター級タイトルマッチ(2/9、米カリフォルニア)
○チャンピオン ポール・ウィリアムス(米、33戦全勝24KO) -675(1.12倍)
   挑戦者 カルロス・キンタナ(プエルトリコ、24勝19KO1敗) +425(5.25倍)

さて、現在最も面白いクラスといえば、ウェルター級である。WBAミゲール・コット、WBCフロイド・メイウェザー、WBOウィリアムスの3チャンピオンが無敗であり、IBFのシントロンも1敗。チャンピオン以外にもアントニオ・マルガリト、シェーン・モズリー、オスカー・デラホーヤ、リッキー・ハットン、ザブ・ジュダーらがいて、誰が誰と戦ってもビッグマッチになりそうだ。

すでに、4月にシントロンvsマルガリトが決まっていて、この勝者がコットと戦う予定。メイウェザーは名前があってリスクの小さいデラホーヤとの再戦コース。そしてウィリアムスは今回の防衛戦からスタートする。客観的にみて、マルガリトを破ったウィリアムスがこのクラスでは一番強いはずである。

とにかく身長が183cm、リーチが2mを超える体格は、ミドル級からライトヘビー級に上げたバーナード・ホプキンスに匹敵する。マルガリトには後半追い上げられたが前半戦は全く寄せ付けない動きを示しており、打ち合いにもそこそこの適応力を示した。あとは実力差のある相手にきっちりとした結果を残せるかどうか。

今回の防衛戦の相手キンタナは(ちょっとアブナい名前だが)、2006年ミゲール・コットに挑戦、5回終了でギブアップしている。長身のサウスポーであるという点ではチャンピオンと同様であるが、コット戦で耐久力のなさを示してしまった上、サイズではチャンピオンに劣る。ウィリアムスはこの試合で存在感を示し、次の時代のスーパースターへの道を進んでほしいものである。

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2008/01/16

トリニダードvsロイ・ジョーンズ戦展望/長谷川穂積回顧

今週のWOWOWで、昨年11月に行われたバルガス・マヨルガの録画中継が放送されたのだが、実はこの中に私が何回か映っている。これまでも後楽園ホールのG+で映ったことはあったけれど、まさかロサンゼルスのステープルズセンターの中継に入るとは思わなかった。新年早々、ちょっとうれしい。

観客席が大写しになった時の一番上のロープのちょっと上あたり、通路際にいるので(わかりやすいのはシントロン戦の5R残り10秒あたり)、お暇のある方は再放送で見てください。木曜日の深夜26:30~。

ライトヘビー級12回戦(1/19、米NYマジソン・スクエア・ガーデン)
   ロイ・ジョーンズ・Jr.(米国、39歳、51勝38KO4敗) -325
○フェリックス・トリニダード(プエルトリコ、35歳、42勝35KO2敗) +250

ミドル、スーパーミドル、ライトヘビー、ヘビー級の4階級を制覇したロイ・ジョーンズJr.とウェルター、スーパーウェルター、ミドルの3階級を制覇した”ティト”・トリニダードの注目すべき一戦が行われる。ともに2005年に手痛い敗戦を喫し、その後一線級とは戦っていない。トリニダードに至っては約3年ぶりの復帰戦である。

ロイ・ジョーンズが「12Rやるつもりはない。KOで決着をつける」と言っているのに対し、ティトは「ブランク前よりも強くなっているよ。KOできると思うけど、別に判定でも構わない」とコメントしている。常識的にはミドル級でもやや体格的に厳しかったトリニダードだけに、ライトヘビー級でジョーンズ相手は厳しいとみるべきであろう。

しかしこの試合、私はトリニダードにかなりチャンスがあるとみている。第一に、ジョーンズの年齢的な衰えが著しい点。45歳のホリフィールドや42歳のホプキンスがよく引き合いに出されるが彼らは特別なのであって、中量級並みのスピードと反射神経が売りのジョーンズにとって年齢を克服するのは簡単ではない。

第二に、ヘビー級でジョン・ルイスとやってから、ジョーンズは明らかにボクシングの水準が下っていることである。ディフェンスもハンドスピードも、パンチ力も明らかに落ちている。想像だが、無理な増量と急激な減量で、必要な筋肉が失われてしまったのではないか。

つまり、ジョーンズのライトヘビーは一線級の水準になく、トリニダードは未知数。だとすれば、未知数の方がまだ期待できるということである。報道ではこの試合170ポンド契約らしく(未確認)、だとすればさらにジョーンズは苦しい。トリニダードも休み明けはあまり動きは良くないのだが、前半戦を乗り切れば面白そう。

WBC世界バンタム級タイトルマッチ(1/10、大阪)
チャンピオン 長谷川穂積 ○ 判定(3-0) × 挑戦者 シモーネ・マルドロット(イタリア)

長谷川がファイティング原田の4度防衛の記録を破る5度目の防衛に成功したが、原田の時代にスーパーフライやスーパーバンタムはなく、世界チャンピオンも各階級一人だけだったのだから、全然価値は違うだろう。それに、残念ながら長谷川は世界最強のパフォーマンスを見せてくれなかった。

長谷川の強みは、スピードとディフェンスとカウンターであり、自分から前に出て攻める選手ではない(これは前にも書いた)。だから、ウィラポン第二戦でKOしたのは今になってみれば良くなかったことで、もっと「打たせずに打つ」ボクシングをできるはずだし見せなくてはならない。

この試合でも、右ジャブを突いて動き、いきなり相手の間合いに入って打ってみたり、相手のパンチが届くより先にカウンターを決めた場面もあった。しかし全体に大振りで、相手と同じレベルに落として戦ってしまったという印象である。

大体、バッティングで目を切ったのも(VTRで明らかなように、パンチで切れたのではない)頭が突っ込んでしまっているからで、頭さえ当てさせないというくらいのスキルを見せないと、ラスベガスで客を呼ぶことはできないと思う。

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2007/12/06

ハットンvsメイウェザー戦展望

WBC世界ウェルター級タイトルマッチ(12/8、米ラスベガス)
○チャンピオン フロイド・メイウェザー(米、38戦全勝24KO) -245
   挑戦者 リッキー・ハットン(英、43戦全勝31KO) +195

いつまでたっても若手代表のようなメイウェザーだが、もう30歳になる。今年5月にはデラホーヤとのスーパーファイトに勝って5階級制覇チャンピオンとなったが、”パウンド・フォー・パウンド”という意味では逆に評価は落ちているようだ。適正ウェイト以上のクラスでの戦いが続き、「各階級を通じて最強」どころか、「クラス最強」であるかどうかも疑わしいというのがその要因だろう。

2001年のコラレス戦(スーパーフェザー級=130ポンド)、2003年のヌドゥ戦(ライト級=135ポンド)、2005年のガッティ戦(スーパーライト級=140ポンド)が強かったのは何といってもKOで決着したからで、ただ相手のパンチを当てさせないというだけでは”パウンド・フォー・パウンド”とはいえない。

ところが、ウェルター級(147ポンド)に上げてからのジュダー戦、バルドミル戦(ともに判定勝ち)では倒せそうな気配がなく、スーパーウェルター級(154ポンド)のデラホーヤ戦に至っては前半を明確に失っていた(2-1判定勝ち)。今回は再びウェルター級に戻しての防衛戦だが、この階級の他団体王者であるコット(WBA)、シントロン(IBF)、ウィリアムス(WBO)そしてマルガリト(前WBO)らと比べて、メイウェザーが明らかに強いとはいえず、逆にメイウェザーの方が対戦を避けてきた節がある。

今回のハットン戦も全勝の英米対決で盛り上っているが、ハットンは一度ウェルター級チャンピオンとなっているものの、その後適正階級であるスーパーライトに戻している。今回比較的オッズが接近しているのは、ハットンが前の試合でメイウェザーも苦しんだホセ・ルイス・カスティージョをKOしているからで、確かにハットンの馬力は驚異的だが、これが通用するのはスーパーライトまで、ということもまた言えそうである。

つまりメイウェザー陣営は、「注目される試合ではあるけれども危険性の少ない相手」とうまくマッチメークしている訳で、この試合もオッズ以上の実力差があることは間違いない。メイウェザー判定勝ちにブラックチップ。なお、この試合、ラウンドプロップでは11.5のo/u、つまりKOか判定かというオッズも出ていて(どちらの勝ちでも構わない)、KOのオッズは+200、つまりJRA式で3倍である。(ハットン勝ちのオッズより高い!)

p.s.同じウェルター級の日本タイトルマッチも今夜行われます。三階級制覇の湯場忠志と"亀田一家入り"で有名になった牛若丸あきべぇ(騒ぎの前に亀田一家から協栄に戻った)。かつての実力なら間違いなく湯場だが、若いあきべぇの一気の台頭があっておかしくない組合せ。深夜3時頃にTBS中継あり。

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2007/12/04

ステープルズ・センターへ(完結編)

まず入場したのはリカルド・マヨルガ。ニカラグア出身の34歳、オーソドックス(右構え)のファイターである。2001年にアンドリュー・”シックス・ヘッド”・ルイスをKOしてWBA世界ウェルター級チャンピオンとなり、後にWBC世界スーパーウェルター級も制した2階級王者である。

しかし、その実績よりも彼を有名にしたのは、フェリックス・トリニダード、オスカー・デラホーヤの両スーパースターを相手に悪役キャラで渡り合い、結局KO負けしたものの結構いい勝負をしたことである。今回もバルガス相手ということで、盛大なブーイングで迎えられながら全然気にしないでパフォーマンスしているところはさすがである。

次いでフェルナンド・バルガス入場。肩車された2人の息子が掲げるチャンピオンベルトに先導され、場内全員起立のスタンディング・オベーションに迎えられてのリングインである。ヒスパニック系の米国人で29歳。

1998年に”ヨリ・ボーイ”・カンパスをKOしてIBF世界スーパーウェルター級チャンピオン、このタイトルはトリニダードに奪われるが、2001年にホセ・”シバタ”・フローレスをKOしてWBAの同級王者となった。このタイトルは今度はデラホーヤに取られている。やはりオーソドックスのファイター、ということはまともな打ち合いになる可能性がかなり大きい。

バルガス入場から試合前のセレモニーになっても、みんな立ったままである。私の後ろの席の奴が”Sit down!Sit down!”とうるさいので座るが、前が立ったままなので見辛くて仕方がない。こういうファイトは、立って見るべきものだと思うのだか・・・。

ゴングが鳴って試合開始。ともに164ポンドと主戦場のスーパーウェルターより10ポンド(約4.5kg)も重い。しかし、マヨルガがそのウェイトでもシェイプアップされたいい体をしているのに対し、バルガスの腹回りはいかにも太い。もともと、スーパーウェルターでやっていた時も、バルガスの腹回りは決して引き締まってはいなかったのに、10ポンド上ということでさらに太めに見える。

予想されたように、マヨルガがいきなり大振りの左右フックで襲い掛かる。1年以上振りの試合とは思えないくらい、踏み込みは鋭く動きがいい。バルガスはなんとかまともにもらわずに避けるが、何度目かの接近の際にはローブローを放ってマヨルガの前進を止めようとする。マヨルガペースである。

残り1分を回ったあたりで、バルガスが後退しバランスを崩す。すかさずマヨルガが頭を押さえてはたき込み、バルガスが膝をつく。これをレフェリーがダウンと判定し、場内大ブーイングである。もちろんダメージはない。再び全員起立で場内大興奮だが、大してまともなパンチはお互いにもらっていないように見えた。

こうして2Rまでマヨルガの前進が続いたが、さすがにそれほどの体力はないので、3Rから5Rは逆にバルガスが前進。マヨルガはアゴが強いのが自慢で、ストレートをまともにもらってもひるまないのだが、効いていないとしてもポイントは相手に行ってしまう。バルガスのストレートがよく当たり、ペースはバルガスになる。

しかしマヨルガもなかなかの食わせ物である。世界タイトルもかかっておらず、一発勝負の性格が強いことから徹頭徹尾打ち合いに行くのかと思っていたら、6R以降作戦を変えてバルガスのボディを打ち始めた。完全に長期戦の構えである。バルガスは上に述べたように太め残りだったから、このマヨルガの作戦変更で急に手数が減る。6Rから8Rはマヨルガペース。

しかし大声援を受けたバルガス("メヒコ!""メヒコ!"の大コール。バルガスはいちおう米国籍)、9R、10Rと再び前進。多少疲れてきたマヨルガに連打を浴びせる。10R終わったところで、ラウンドの優劣は5対5、1Rのダウンを取られた分の1ポイントだけマヨルガ有利と思われるが、どうやら疲れているのはマヨルガ。残り2ラウンド、いよいよ面白くなりそうだ。

そして11R、前の2ラウンド休んでいたマヨルガが、機先を制して前進、右の大きなスイングを的中させる。面食らったバルガスだが、体制を立て直して逆に攻勢、今度はマヨルガが後退する。ラウンド終盤では、ともに打ち疲れたのか動きが鈍り、両者の距離が開いた。その瞬間、いきなりという感じでマヨルガが右ストレート。バルガスはすとん、と尻餅をついた。決定的なダウンである。

12Rはマヨルガが打ち合いを避け、完全にカウンター狙い。そのまま試合終了。私の採点では114-112マヨルガだったが、ジャッジも一人が114-112、あとの二人は115-111、113-113と、2-0のマジョリティ・デシジョンでマヨルガの判定勝ちという結果となった。

この結果は、両者の実力差というよりも、引退試合として最後まで打ち合いたかったバルガスと、まだまだビッグマッチのチャンスがあるので負けたくないマヨルガの、勝負に対する執着心の差だったような気がする。そうでなければ、マヨルガのボディ狙いなど、そうそう見られるものではない。

試合が終わったのは午後10時過ぎ。帰りは地下鉄を探そうかとも思っていたのだが、時間も遅いしそもそもどこが地下鉄の入口なのか分からなかったので、はす向かいにあるホリディインまで歩き、そこでタクシーを拾った。あんなにみんなビールを飲んでいたのに、なぜか駐車場のビルの方に歩いていくのがちょっと不思議なステイプルズセンターだった。(完)

Imgp0203_ 勝利の雄たけびを上げるマヨルガ。

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2007/12/03

ステープルズ・センターへ(さらに続き)

さて、チャンピオンのシントロンは28勝のうち26がKO、つまり2試合を除きすべての試合をKOで決着させている強打者である。唯一の負けはWBOの王座統一戦で、正チャンピオンだったアントニオ・マルガリトに敗れただけ。メイウェザーですら対戦を避けたマルガリトに負けたのは、ある意味仕方がない。

私がシントロンを買うのは、彼がストレートを主武器とする強打者だからだ。かつての統一世界ヘビー級チャンピオン、レノックス・ルイスもそうだったが、ストレートの強い選手は好きである。フックを主武器とする強打者は相手に近づかなければならないが、ストレートなら相手の射程外から一気に決められるからである。

1Rのゴングが鳴り、いきなりシントロンの攻勢。長い右ストレートが2度3度と決まり、フェリシアーノの体が大きく飛ばされる。この分だと2、3Rで終わってしまいそうだ。そんな中で、列の真ん中に座っていたグループが、ラウンド途中で打ち合っているというのにビールを買いに席を立つ。

この連中はさっきからビールを再三おかわりしていて、500mlのプラスチックコップを一人5、6杯ずつ飲んでいるのだった。こうなると、通路側の席がかえってあだになる。いちいち席を立たなければならないからだ。「馬鹿野郎、終わっちまったらどうすんだよ」と思ったが、仕方がない。そもそも彼らが見たいのはメインのバルガスだけなのだ。

しかし案に相違して、試合は長引く。シントロンの長いストレートをかいくぐったフェリシアーノが、懐に入って接近戦を挑んだからである。こうなると、シントロンの長いリーチはかえって邪魔である。特にいいパンチをもらった訳ではないが、しつこく左右フックを浴びせるフェリシアーノから距離をとろうとするシントロンは、逃げているように見えなくもない。

くっつくフェリシアーノ、離れようとするシントロンの駆け引きのうちにラウンドは進み、両者かなり疲れてきた。特に、絶対有利だと言われながら倒せないシントロンは動きが鈍くなり、不利と予想されながら粘り場内の大歓声を受けるフェリシアーノは、さらに張り切って手を出し続ける。なんだかだるいファイトになり、シントロン有利ではあるが3ラウンド位はフェリシアーノに行ったかなという10Rでいきなり試合は大きく動いた。

それまで前進を続けてきたフェリシアーノが、シントロンの右を受けてこの試合初めて後退。それを見たシントロンが攻勢に出て左右の強打を連続して叩き込む。とにかく、シントロンは距離があれば強いのである。最後はガードが取れなくなったフェリシアーノを見て、レフェリーが割って入ってストップ。10Rで、シントロンのTKO勝ち。ダウンはしなかったが、明らかにストップのタイミングであった。

大苦戦後のKOがよっぽどうれしかったらしく、シントロンはリングに倒れこみパフォーマンス。おそらく、ブリッジをしようとしたのではないかと思うが(彼はレスリングの経験がある)、その途端、右手首を押さえて悶絶してしまった。どうやら、試合中か試合後かは分からないが拳を痛めたようで、すぐにトレーナーのエマニュエル・スチュアート(こちらも有名。ハーンズとかホリフィールドとか)が飛んできて、グローブを外していた。

試合後の拍手は明らかにフェリシアーノの方が大きく、これは彼がメキシカンであることだけが原因ではないだろう。それほど、前評判を覆しての健闘は光った。それでもフェリシアーノがコットやメイウェザーに通用するとは思えず、この夜明らかになったのはシントロンは接近戦に弱いということだけだったかもしれない。

さて、いよいよメインイベント、ヒスパニック系のヒーロー、フェルナンド・バルガスの登場である。(この項続く)

Imgp0190_ 試合前の注意。後ろ手にマイクを持つジミー・レノンJr.の左がトレーナーのエマニュエル・スチュアート。金のトランクスで上を向いているのがカーミット・シントロン。

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2007/11/30

ステープルズ・センターへ(続き)

さて、この日の興行は3部構成になっていて、3時10分スタートの3試合がいわゆるアンダーカードの8回戦。これが終わるとしばらく休憩があって5時からが第二部の10回戦2試合。また休憩があって、7時からの12回戦3試合はペイ・パー・ビュー放送されるのである。

7時になると、まず頭上の大型画面にプロモーターであるドン・キングが出てきて、イラク駐留の兵士たちと一緒にこの試合を楽しみにしていますというコメントがある。そしてその後なんとブッシュ大統領のメッセージが流れると、すかさずブーイング。女性歌手の国歌独唱があって、いよいよ12回戦の一試合目、ローマン・カルマジン(35勝22KO2敗1引分け)とアレハンドロ・ガルシア(25勝24KO2敗)のWBAインターコンチネンタル・スーパーウェルター級タイトルマッチである。

この二人、両方ともこのクラスの元チャンピオンで、カルマジンがIBFの、ガルシアがWBAの世界タイトルをかつて持っていて、今でも世界上位ランカーである。ただ、カルマジンはテクニシャンで一発がなく、ガルシアはKO率は高いものの強豪と当たると途端に決定力がなくなる。だからこの試合だけは判定だろうと思っていたら、ところがどっこい、この試合が一番早かった。

ご存知のとおり西海岸ではヒスパニック系(スペイン語圏からの移民)、特にメキシコ系ボクサーの人気が絶大である。もちろんその代表格がデラホーヤであり、この日のメインイベンターであるバルガスで、この試合のガルシアもメキシコ人である。だからガルシアの入場には場内大歓声、カルマジンの入場にはブーイングという、主役と敵役が非常に分かりやすい顔合わせであった。

しかし、世界的名トレーナー、フレディ・ローチ(マニー・パッキャオのトレーナー)がセコンドを務めるこの日のカルマジンは、非常に出来がよかった。ガルシアの出鼻に左ジャブ、右ストレートが小気味よく決まり、そのたびに左後ろに陣取っていたロシア人のグループが「ハラショー!」「ハラショー!」の連発である。(カルマジンはロシア出身)

そして3R、またもやカルマジンの左右が決まり、さらに左フックをボディへ、右フックをアゴへと追い打ちすると、ガルシアがあっさりという感じでひざをつく。両手もついて背中を丸めた倒れ方(いわゆるorzですねw)は、どう見てもアゴではなくレバーに入った一撃が原因であった。そして、そのままカウントアウト、なんとカルマジンが3RKOで勝利を飾ったのである。

次の試合はIBF世界ウェルター級タイトルマッチ、今回楽しみにしていたチャンピオン、カーミット・シントロン(28勝26KO1敗)の登場である。挑戦者は世界ランク14位のジェシー・フェリシアーノ(15勝9KO5敗3引分け)。戦績も平凡なフェリシアーノが世界挑戦者の地位を獲得したのは、今年3月のUSBAウェルター級タイトルマッチで、その時点で20勝1敗1分けのホープ、デルヴィン・ロドリゲスを番狂わせでKOしたからであった。

それでも、なんといっても相手は強打のシントロンであり、フェリシアーノの勝ち目は薄いというのが大方の見方であった。しかし、フェリシアーノもメキシコ系、場内は大歓声である。一方、シントロンはプエルトリカン、同じヒスパニックといっても、プエルトリコ系は東海岸に多い。彼らのヒーローは、いまもフェリックス・”ティト”・トリニダードである。そして、メキシコ系とプエルトリコ系の仲は決していいということはなく、シントロンの入場はブーイングで迎えられたのであった。(この項続く)

Imgp0174__2 アンダーカードのラウンドガール。リングと席との高低差がお分かりいただけるでしょうか?

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2007/11/29

ステープルズ・センターへ

先週の金曜日はステイプルズ・センターにボクシングを見に行ってきた(注.発音でいうとステイプルズのはずですが、日本では通常ステープルズと表記されるので、表題だけはステープルズとしました。)

なんて書くと何だか生意気だけど、3連休に何かいいイベントはないかなあと探していたらバルガスvsマヨルガがあって、Ticketmasterですぐ席を押さえることができて、ついでにラスベガスに寄ってくることにしてエアも押さえて、ロスとLV合計4泊分のホテルも取って、全部インターネットで事が足りてしまった。いまだに後楽園ホールの席はインターネットで押さえられないのだから、国内よりよっぽど便利である。

11月23日は勤労感謝の日。奥さんに車で成田空港まで送ってもらって第1ターミナルへ。日本時間で3時15分発のNW2、NRT-LAXである。ノースウエストは安く座席指定ができるのでとてもいいのだが、半面、JALや全日空と違って個別のディスプレイがない上、機内食も大変においしくなくて、アルコール類も有料というデメリットがある。

だから前回の遠征からポータブルDVDを持っていくことにしていて、往路の上映番組は「どろろ」「TRICK」「のだめカンタービレ」である。そして、機内食は”No,thank you.”。夕食はいったん持ってくるとなかなかトレイを下げてくれず狭くて嫌なのだが、食べなければその分広くていい。到着前の朝食はフルーツとかジュースだし、すぐ片付けてくれるのでこちらはありがたくいただいた。こうした工夫の成果で、9時間半のフライトはあまりストレスを感じない間に終わってしまったのである。

ロサンゼルス国際空港到着は現地時間の7時15分頃。しかし、入管が開くのが7時半ということでまず機内で待たされ、さらに入管の外国人窓口が二つしかなくて全然進まない。日本時間で真夜中の3時頃だから大層辛い順番待ちになってしまう。手続きが終わったのは結局9時過ぎ。着陸してから2時間近くかかってしまった。タクシーで市内へと向かう。

今回の宿はMiyako Hotel Los Angelesである。日本の都ホテルのグループということは、近鉄系列ということになる。前日から予約してあるので、まだ10時前なのだが問題なくチェックインできる。シングルルームなのにダブルベットが置いてあって、テレビもAQUOSの37型だからなかなかのものである。ただ、湯沸しと書いてあったのにコーヒーメーカーがあったのには面食らった。もちろん豆をいれずに湯沸しとしても使える。

手早くシャワーを浴びてすぐにベッドへ。すばらしく寝心地のいいベッドで、10時から2時過ぎまでぐっすり眠った。ホテルを前日から押さえた甲斐があったというものである。一階の売店で買っておいたオレンジジュースを飲んで、いよいよ出撃。ホテル前に止まっていたタクシーに乗り、10分もかからないうちにあっけなくステイプルズ・センターに着いた。

まだ3時前と早いためか(試合開始3時、メイン3試合7時~)窓口もすいていて、チケットを引き換えてくれるWill Callもすぐに分かった。予約番号の書いてあるメールとクレジットカード、パスポートを窓口に示すとちょっとだけ待ってチケットを渡された。Section101のRaw6、Seat21、ちょうど正面中ほどになる$150のアリーナ席である。$300でリングサイド席になるのだが、この席はバスケットボールのコートに当たる部分で、リングを見上げる位置になる。それよりもリングより上の高さになるアリーナ席の方が見やすいのではないかという読みである。

実際に探して席に座ってみると、予想以上にリングに近い。アリーナ席の6列目で、その前に通路をはさんで、リングサイドも6列だから合わせて前から12列目ということになる。後楽園の階段席の一番前くらいの感覚で、高さ的にはリングよりわずかに上、これより前の列だとリングより下になってしまうというぎりぎりの位置である。そして、21番は通路側の席だった。これも私にはありがたい。

日本の世界タイトルマッチで、この位置この料金で世界一流の選手を見ることなど、とても考えられない。アンダーカードからアナウンスしているジミー・レノンJr,の声を聞きながら、ああ、来てよかったなあ、なんて幸せなんだろう。と、すごく満たされた気持ちになった。(この項続く) 

Staples ステイプルズ・センター。こちらは正面ではなく北側の入口になります。

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2007/11/22

バルガスvsマヨルガ戦展望

166ポンド契約(ミドル級+6ポンド)12回戦(11/23、米ロサンゼルス)
○フェルナンド・バルガス(米、26勝22KO4敗) -185
   リカルド・マヨルガ(ニカラグア、28勝23KO6敗1引分け) +155

空位のWBCアメリカ大陸のスーパーミドル級タイトルが懸けられているが、もちろんこの二人はスーパーミドルの選手ではないし、主戦場はミドル級より下のスーパーウェルター級である。だから、これから世界タイトルに向けての戦いというよりも、人気抜群の両者による一発勝負という意味合いが強い。

バルガスはモズリーにTKO負けして以来1年4ヶ月振り、マヨルガはデラホーヤにTKO負けして以来1年半振りの試合。したがって両者がどのような体で試合に臨むのかが不明だし、オッズは出ているが真剣に勝敗を予想する試合ではないような気がする。さらに、バルガスはこれがラストファイトであると公言しており、本気かプレス用かは分からないが、記者会見で乱闘するなどプロレス並みの盛り上がりである。

ご存知のとおり、マヨルガはウェルター級、スーパーウェルター級の2階級制覇、バルガスはスーパーウェルター級を2度にわたって制覇している。そしてこの2人に共通しているのは、フェリックス・トリニダード、オスカー・デラホーヤの両スーパースターにKO負けしていること、にもかかわらず全く人気が落ちないということである。

なぜ人気が落ちないのかというと、この両者はトリニダードやデラホーヤのスマートさとは全く対極にある、血の気の多さ、荒々しさ、力強さ、泥臭さといったある種ボクシングの一つの魅力といっていい部分を色濃く持っているからである。だから、この戦いが最終ラウンドまで続く確率は極めて低い。1ラウンド開始早々からフル回転の打ち合いとなることが必至だからである。

すでに最初の記者会見では乱闘を起こし、今週のプレスリリースでは両者の間にアイスホッケー用の強化ガラス障壁が置かれた。マヨルガが「あんなブタ野郎は2ラウンドもあれば十分だ」と吠えれば、バルガスは「奴は怖がっている。6ラウンド以内に倒して引退する」と返している。確かに前半戦で決着が付くことだけは間違いないだろう。

両者とも完調という前提で予想すると、ディフェンスもできるバルガスに対し(なんせ、ロナルド・ライトに勝っているのだ)、アゴの強さに頼るマヨルガという守備面での差がある。もちろんマヨルガのセオリーから外れた振り回しに、試合勘の戻らないバルガスが巻き込まれてしまう可能性はあるが、基本的にバルガスは打ち合いでは負けない。デラホーヤとはほぼ五分だったし、トリニダードからはダウンを奪っているくらいである。

ということでバルガス乗りとするが、このあたりのクラスを10年近く引っ張ってきた両者の気合の入った打ち合いを期待したい。そして、セミファイナルは私が現在とても評価しているIBF世界ウェルター級チャンピオン、カーミット・シントロン(28勝26KO1敗)の防衛戦である。会場はロスのステイプルズ・センター。WOWOWでも中継がないこの一戦、現地に行って見てきます。

p.s.ということで、次の更新は来週の木曜日になります。もちろん、ラスベガスにも寄ってきますので、レポートをお楽しみに!

p.s.バルガス・マヨルガの速報レポートはこちらから。

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2007/11/14

コットvsモズリー戦回顧

WBA世界ウェルター級タイトルマッチ(11/10、米ニューヨークMSG)
チャンピオン ミゲール・コット ○ 判定(3-0) × 挑戦者 シェーン・モズリー

公式採点は115-113×2、116-113の接戦。私の採点では114-114のドロー。いずれにせよ、コットとしては初めての接戦で、きわどい判定をものにした。

クリーンヒットの数はむしろモズリーに多かったような印象があるが(いきなりの右ストレートやボディへのアッパー)、スピードのあるパンチの交換は非常に見ごたえがあった。コットの弱点である打たれ弱さが垣間見られたが、よくガードしてモズリーのペースにしなかったし、要所でカウンターを決めていたので判定には文句はない。

モズリーに気の毒だったのは、中盤でややバテた顔つきで戦っていたため、ジャッジの印象にも響いていたのではないかと思われる点。36歳という年齢的なものが大きかった。もちろん、それだけコットの強打が効いていたこともあるだろう。

今回のファイトで印象深かったのは、コットの強打が、ウェルター級相手ではやや受け流されてしまうということ。もちろんモズリーはディフェンスもうまいし打たれ強いのだが、それにしてもこれまでコットの戦いのほとんどがパンチ力の違いを見せつけるものだっただけに、体格差の重要性を改めて感じさせられた。

そういうことをコット本人も感じているせいか、「誰の挑戦でも受ける」といいながら、この日のセミファイナルで1RKO勝ちしたアントニオ・マルガリト(前WBO世界ウェルター級チャンピオン)については「ポール・ウィリアムス(WBO王者)とやるんじゃないの?」と言っているようで、やや消極的。

マルガリト、ウィリアムスにカーミット・シントロンを含めた「もともとウェルター級」とはやらないで、メイウェザー、リッキー・ハットンなど「下の階級から上げてきた」連中同士でビッグマッチというのは、かなり物足りない。2階級制覇というからには、その階級なりの大きな相手とも戦ってほしいものである。

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2007/11/07

WBA世界ウェルター級タイトルマッチ展望

WBA世界ウェルター級タイトルマッチ(11/10、米ニューヨーク)
○チャンピオン ミゲール・コット(プエルトリコ、30戦全勝25KO) -150
   挑戦者 シェーン・モズリー(米、44勝37KO4敗1NC) +130

欧米人の平均的な体格であるウェルター級(147lbs=66.8kg)は、昔から選手層の厚いクラスである。日本ランキングのあるミニマム級からミドル級までの各階級の中で、ただ一つ日本人世界チャンピオンが出ていないのがこのウェルター級であるというのも、決して偶然ではない。

さて、デラホーヤとトリニダードが君臨した20世紀終わりから7年が経ち、久しぶりにウェルター級が注目のクラスとなっている。現時点の”パウンド・フォー・パウンド(全クラス最強)”といわれるフロイド・メイウェザー(無敗)がWBC王者、そのメイウェザーに12月、2階級制覇のリッキー・ハットン(無敗)が挑戦する。

IBFチャンピオンは強打のカーミット・シントロン。そのシントロンに唯一勝っているアントニオ・マルガリトが無冠で、そのマルガリトからWBO王座を奪ったのがやはり無敗のポール・ウィリアムス。そしてWBA王者がやはり無敗で二階級制覇のミゲール・コットである。一体誰がこのクラスで一番強いのか、考えるだけで楽しい(実は今度シントロンを見に行く予定)。

デビュー以来無敗でしかもそのほとんどをKOで片付けているコット。スーパーライト時代のリカルド・トーレス戦が唯一といっていい苦戦で、ウェルターに上げてからもオクタイ・ウルカル、ザブ・ジュダーと歴戦の強豪をKOで退けている。もともとディフェンスがいいことに加え、コンパクトなフォームから「固い(ハード)」としか形容できない強打をまとめることができる。

そして今回の相手は「ゴールデンボーイ・プロモーション」の重役、”シュガー”シェーン・モズリーである。IBFのライト級タイトルをとってから10年。その後ウェルターからスーパーウェルターまで幅広いクラスで戦いながら、オスカー・デラホーヤに連勝、フェルナンド・バルガスに連勝、ロナルド・ライトと接戦など、文句なしの実績を残してきた。

その意味では、コットにとってこれまで以上に厳しい戦いとなる可能性はある。モズリーはバルガス、ライトなど上のクラスのパンチに耐えてきているだけに、コットの強打も受け流してしまう可能性があり、その場合モズリーのスピードある連打をコットのディフェンスが耐えることができるかどうかは見ものであろう。

とはいえ、モズリー36歳に対しコット27歳の年齢差と、バーノン・フォレストに連敗しているように出鼻をくじかれるとモズリーが意外ともろい面があることから、前半戦を五分以上に渡り合うことができれば、コットが後半追い上げて明白な判定ないし終盤KOで防衛するとみる。試合としてはモズリーが先行した方が面白いが。

この試合は月曜日のWOWOWでタイムリー・オンエア中継される。

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2007/10/31

WBA世界フライ級タイトルマッチ展望

WBA世界フライ級タイトルマッチ(11/4、さいたまスーパーアリーナ)
○チャンピオン 坂田健史(協栄、31勝15KO4敗1引分け)
   挑戦者2位 デンカオセーン・カオヴィチット(タイ、40勝16KO1敗)

例のWBC世界戦後、亀田兄弟と協栄ジムはかなりのバッシングを浴びてまともな環境ではなかったものと思われるが、そうした中で協栄ジムのまともなチャンピオン坂田の防衛戦である。TBSには亀田兄弟戦のゲストで何度も登場していたが、おそらく内藤が完膚なきまでに大毅をやっつけてくれて、内心かなり安心したものと思われる。

ロレンソ・パーラ、ロベルト・バスケスときつい試合が続いたが、ここでも世界2位を選ぶというのはなかなか気概がある。1位は同ジムの亀田兄だから、実質的に最もランキングの高い相手を選んだということである。亀田兄や内藤と比較しても地味なボクシングの坂田だが、パーラ、バスケスを破り海外での評価は高い。意気消沈している金平会長のためにも、いい試合を見せたいところ。

挑戦者の戦績はすごいが、実はWBAのアジアタイトルPABAを数多く防衛しているもので、世界の一線級との試合は2002年のWBA世界戦、ときのチャンピオンであるエリック・モレルに11回TKOで負けた一戦のみである。

PABAタイトルというと思い出すのは、先日のWBCで大差負けした亀田大毅が世界ランク入りした時の相手ビッキー・タフミル。あまりレベルの高いタイトルとはいえない。年齢的にも峠を過ぎた31歳。世界戦5度、他にも現WBC王者内藤を含む多くの世界ランカーと対戦している坂田の方が戦績的にはかなり上といっていい。

デンカオセーンの戦績をみると、それほど名前の通っていない相手とも12Rまでやっており、長期戦のスタミナ比べになれば坂田の思う壺である。一発の破壊力はないがじわじわと連打で挑戦者の出鼻を叩いていけば、それほど危ない場面があるとは思えない。坂田判定勝ちが濃厚。

WBA・WBC・WBO世界スーパーミドル級タイトルマッチ(11/3、英カーディフ)
   WBA・WBC王者 ミッケル・ケスラー(デンマーク、39戦全勝29KO) +130
○WBO王者 ジョー・カルザゲ(英、43戦全勝35KO) -160

1998年以来10年間WBOチャンピオンを張っているカルザゲと、マルクス・バイエルをKOして2団体を統一したケスラーの世界的に注目される一戦。

最近の試合では、調子が良かったり悪かったりするのだが、昨年3月のジェフ・レイシー戦くらいの出来を維持していればカルザゲの馬力勝ちとみる。なにしろ、地元ウェールズの熱狂的応援の下で試合できるのが大きい。これに勝てば次はバーナード・ホプキンスという噂もある。

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2007/10/16

内藤・亀田大毅戦の戦略(?)論(続き)

今回の内藤戦、タイトルマッチが決まってからも亀父がさんざんゴネたという情報が流れている。長男はともかく、次男が内藤に勝てないことは火を見るより明らかなのだから、その考えは正しい。しかし、結局のところ亀父はTBS・協栄ジムに押し切られた。観客動員も視聴率も下ってきている上に、スポンサー(広告企業)もどんどん離れていっているからである。

そしてここが亀父の亀父たるところなのだが、勝てそうにないならどうやってダメージを最小限に留めるかと考えるべきところをそうせず、反則でも何でも使って勝つ、でなければ試合をぶちこわしにして訳を分からなくしてしまおうと考えたのである。ファーストクラスに乗れなければビジネスでもエコノミーでも飛行機に乗れればいいやと考えず、ファーストに乗せないなら妨害して飛ばさないということである。

亀父にとって、自分を賞賛しない世間など受け入れられるものではない。試合が迫るにつれ、亀父の中では自分をこんな境遇に追い込んだ世間、TBSや協栄、そして本物の権威(チャンピオン)である内藤への憎しみが、おそらく膨れ上がっていっただろう。

加えて、有明コロシアムのあの雰囲気である。会場の大部分が内藤コール、大毅にはブーイング、内藤のトランクスにはスポンサーいっぱい、亀田家のスポンサーはどんどん引き上げである。頭に来た亀父は、レフェリー注意の時に「しゃー、なんやこら!」と内藤を威嚇するに至ったのであった。

しかし、TKO狙いで傷口を狙い打ちする(そのために、リングを規程より狭くし、床も動きにくいように柔らかな素材を使った)作戦は、もともとそこまではボクシングだから内藤チャンピオンには通じなかった。それで、おそらくはTKOが難しくなった7、8Rあたりから、「試合そのものをぶちこわす」つまり反則作戦に出たのである。

これは、単にインターバル中に指示したかどうかという話ではない。おそらく報道陣をシャットアウトした試合前何日かで、集中的に指示し練習したのではないか(でなければサミングなんてそう簡単にレフェリーの目を盗んではできない)。だから試合直前興毅は何やら引きつったような顔でインタビューを受けていたし、12R前の指示「最後やからな、やってこい!」と言われて大毅がサイドスープレックスを繰り出したという訳である(ちなみに、以前の試合でもあれをやりかけたことがある)。

結局のところそれ以上のことはできず(大毅も疲れていてガードをするだけで精一杯)、そうでなければ中差の判定で済むところが大差の判定になって言い訳がきかなくなった上に、減点と明らかなボクシングルールからの逸脱という証拠によって処分を受けた。亀父の思惑は完全に外れ、ボクシング界に彼のいる場所はなくなってしまった。ファーストじゃなきゃ嫌だと駄々をこねた末に、エコノミーにさえ座れなくなったのである。

無期限というのはJBCに頭を下げない限り復帰できないということだから、おそらく亀父絡みの試合が組まれることは今後ないだろう。大毅は、ボクシングが好きではないからあまりショックはないかもしれないが、再びリングで脚光を浴びることはない。問題は興毅で、彼の才能はこのまま潰してしまうにはあまりにも惜しい(JBCもそう思ったから厳重戒告にとどめた)。

興毅がリングに戻るためには、興毅自身が「キャンセル待ちでも結構ですから」という謙虚な気持ちを天下に示した上で出直すことが必要である。亀父にそれを期待するのは無理だが、興毅にそれができるかどうか。なんとか共倒れは避けてほしいとは思うのだが。(なんとなく、興毅だけはお詫び会見をするような気もしている)

p.s.本編HPに内藤・大毅を最初からまとめました。こちらへ。

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2007/10/15

内藤・亀田大毅戦の戦略(?)論(その1)

亀田史郎 セコンド資格無期限停止 
亀田大毅 ライセンス停止1年間 
亀田興毅 厳重戒告
興毅にも(なお、試合のセコンドに入ることを禁じます)くらい入れても良かったと思うが、まずは妥当。かなり重い処分である。

(ちょっと長文になったので、今日・明日で半分ずつ掲載します。)

世の中に受け入れられない人にありがちな傾向として、世間的な価値観とか権威といったものを否定することがある(私にも非常に覚えがある)。そしてそれと同時に(全く矛盾するのだが)、賞賛されたい、評価されたいという思いもまた強烈にあるのではないか。

亀田史郎氏(亀父)の場合、おそらくはその個人的な資質により、長らく世の中に受け入れられなかったのであろう。だから、少しは身に覚えのあるボクシングを息子達に教え込んだ。世間並の価値観など否定しているから、学校に行かせなくてはとか人様に迷惑をかけないように育てるとかいったことは考えない。ただひたすら、息子を強くして金を稼ぎ世間の奴らを見返すことしか頭になかったものと推察される。

同じようなことを別の道でやろうとする人達は多い(いわゆる教育・・・以下自己規制)が、彼の場合目の付け所がよかったのと、たまたま長男に非常にボクシングの才能があったことから、それはうまく行った。彼は望みどおり金を稼ぎ、TBSその他社会的地位のある人達から下にも置かない扱いを受けることができた。まさに世間の奴らを見返すことに成功したのである。

だから、亀父の望みは、いま(タイトル戦前)の状況が永遠に続くことであった。もともと世界チャンピオンがなんぼのもんやと思っているし、外国から負けにやってくる選手を相手に、世界前哨戦と銘打って延々と「亀田場所」をやっていればよかったのだ。だから、「最年少世界王者」などという記録をキャッチフレーズに視聴率を上げようとするTBSの思惑など、実は迷惑以外の何者でもなかった。(この項続く)

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内藤・亀田大毅戦の技術(反則)論

今日、JBC(日本ボクシングコミッション)の倫理委員会が開催されて、亀田父子の反則・反則教唆に対する処分が決定される。大毅本人と以前観客との騒動で厳重注意を受けている亀父のサスペンド(ライセンスの停止)という線が強くなってきているが、今日・明日で今回の世界タイトルマッチを総括してみたい。今日はまず、今回の試合の技術面に絞って議論してみる。

今回の試合、12Rの自殺行為は明日の問題として取って置くとして、それまでの試合展開についてどう評価するかというと、一言でいって亀田大毅の大健闘である。これはおそらく、ボクシングを見慣れた人ならかなりの部分が認めるのではないかと思う(全員ではないにせよ)。

直近の2つのタイトルマッチ、WBAフェザー級のクリス・ジョンと武本、WBAスーパーフライ級のムニョスと相澤、いずれもワンサイド、チャンピオンがほぼフルマーク(1Rも落とさない)のTKOないし大差判定勝ちである。しかし今回の内藤・大毅戦は、反則減点を除くと、私の採点でもジャッジの一人の採点でも3ラウンドを大毅に与えている(あとからもう一度VTRを見たら2Rがせいぜいだとも思ったが)。ラウンドで9-3ということは普通に行けば117-111の6ポイント差で、決して圧倒的大差ではない。

実際、内藤はもちろんだが大毅にもダウンに近い状態はなかったし、最終ラウンドも、「もしかしていいのを一発もらったら内藤でもダウン取られるんじゃないか」と心配になるくらい、大毅のパワーは残っていた。それに、内藤の強打をかなり受けていた(ボディーが大部分だが、顔面にも入っていた)にもかかわらず、けろっとして向かっていったタフネスは、なかなかのものであった。だからこそ内藤は試合後に、「さすがに練習しているだけあって、予想以上にやりにくかった」と認めたのである。

そして、反則云々で全てけしからんという論調になってしまったが、実力で劣る挑戦者が、レフェリーストップされそうな古傷を持つチャンピオンの傷口を狙っていくというのは、それがクリーンファイトなのかスポーツマンシップに則っているのかはさておき、作戦として当然といえば当然なのである。問題は、大毅がそうしたこと(反則行為)を見つからないようにやれるテクニックがなかったということなのだ。

例えばレスリング行為(投げ)をするのなら、パンチを振るって行って相手がクリンチしてきたところを振りほどくようにすれば、「あいつが組み付いてきたから仕方なくああなった」と言える。またバッティングでも、パンチを出しながら頭が前に行けば誰にも咎められないのに、パンチを出さないで頭だけ出せばそれはただの頭突きである。確かトリニダード戦だったと思うが、ホプキンスが右強打を決めたその動作でショルダータックルをかましてダウンを取った試合があったが、要はそういうことである。やり方が下手くそなのだ。

兄の興毅が「ヒジでもええから、目に入れろ」というようなことを言った音声がテレビで流れたが、そんな高度なテクニックは大毅にはない(言う以上、興毅にはあるのだろう)。そんな実力差がありながら、大毅はあれだけがんばった。大したものである。これまで私は大毅には日本ランキングの力もないと言ってきたが、先日の動きはこれまでのベストで、日本ランキングに入るくらいの力はあると認めるにやぶさかでない。

だからあの試合、12Rに当たらなくてもいいからパンチを振り回し続け、ラウンド終了のゴングまで攻め続けていれば、そして試合終了後本人だけでもいいから内藤コーナーにあいさつ(頭を下げなくても)していれば、道中あれだけ反則を繰り返していたにもかかわらず、大毅に対するボクシング界の評価(=商品価値)は試合前より全然上がったはずなのだ。これは断言してもいい。

にもかかわらず、なぜにあの一家はそれができなかったのか。それは明日また。(この項続く)

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2007/10/11

内藤、国民の期待に応える

WBC世界フライ級タイトルマッチ(10/11、有明コロシアム)
チャンピオン 内藤大助 ○ 判定(3-0) × 挑戦者 亀田大毅

試合終了するやいなや、採点結果を聞いたのかというタイミングで亀田一家はチャンピオンコーナーのみならずファンにも関係者にもあいさつせず集団脱走。途中採点ですでに大差が開いていたので、覚悟の行動だろう。きっと今頃言い訳を考えているに違いない。私の採点では116-108で内藤。この中には内藤の減点1、大毅の減点3が含まれる。

今夜の試合の第一殊勲賞はJBC(日本ボクシングコミッション)だろう。はっきりいって低レベルの試合に、世界的名レフェリー、ビック・ドラクリッチ氏の起用である。ジャッジもデイブ・モレッティ氏など本場ラスベガス並みの布陣で、ボクシング界の威信を賭けて臨んだ。12Rのレスリング行為の減点合計3点など、世界水準では当り前だが亀田ルールではこれまでOKだったのである。

試合としてみると、正直なところ感心しなかった。ほとんど唯一の懸念は内藤が平常心で戦えるかどうかだったのだが、リングインの時にはすでに感極まっていたので「これはまずい」と思った。3Rに右目を切って余計にあせってしまい、動きがぎこちない。4R、8Rと途中採点で優勢だったので持ち直したが、序盤にダウンでもしていたら危なかったところである。

大毅も正攻法(?)の亀父直伝スタイルできたので、オーソドックスにジャブを突いていても良かったのに、ボディを狙いに行ったのがどうだったのか判断が難しい。ボディを打つには接近しなければならず、ここで左フックをもらって目を切ってしまった。逆にそうさせなかった大毅を誉めるべきかもしれない。

4Rの途中採点を聞いてからは内藤ペース。クリンチをうまく使ってロープにつまる場面をほとんど作らなかった。もともと、ロープにまっすぐ下がってフックを打たせてくれる一流選手などいないのだから、大毅がいくら首をひねっても無駄である。最後は苦し紛れのレスリング行為(それまでも再三見せていた)で最初に減点1、二度目に減点2を食らってジ・エンドとなった。

試合後に内藤が言っていたが、「どうしても勝たなくてはならないというプレッシャーが相当あった。ポンサク戦以上だった」ということで、まずは亀弟のメッキが剥げたことを安心したい。こういうプレッシャーがなければ、おそらく内藤は頭をつけて打ち合いに応じKOしたのではないかと思う。そして、脱走してしまったため亀兄の挑戦表明がみられなかったことも残念であった。

最後に、次男は7割方これで引退するのではないかと思う。

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最終予想・WBC世界フライ級タイトルマッチ 内藤vs大毅

WBC世界フライ級タイトルマッチ(10/11、有明コロシアム)
○チャンピオン 内藤大助(宮田、31勝22KO2敗2引分け)
   挑戦者 亀田大毅(協栄、10戦全勝7KO)

勝手な理由をつけて亀田陣営が試合そのものをキャンセルする可能性は決して小さくないとみていたが、無事(?)公式計量も行われ調印式も済んだ。記者会見で「負けたら切腹や!」とのたまい、「なんで?」と冷静に内藤に切り返されて、「(刃物は)お前が用意せい!」などと逆上したらしいので、減量苦で頭が回っていないようである。もっとも、「俺のびごえ(美声)を聞かせてやる」とも言っているので、そもそも国語能力に問題があるのは確かである。

さて、リングに上がってしまえば誰も助けてくれない。「俺が勝つに決まっている」と根拠のない虚勢を張ってはいるものの、おそらく1R始まってしまえば勝ち目のないことは本人にも分かるはず。最近になってようやくスポーツ新聞も本音が出てきて、「いずれにせよ王者有利は動かない」という論調になってきたが、そんなことは少しでもボクシングを見ている者にとって常識であった。

また、かねて指摘したように初めてフライ級に落とした減量の影響で、大毅の調整は十分でない様子。おそらく試合前に反動でドカ食いしてさらに調子を悪くする可能性もある(トレーナーがまともでないので)。だとすればどうするか。まず考えられるのは、最初から最後まで逃げ回って判定に持ち込もうとすることで、見栄も体裁もなくこれをやられたら内藤はかなり面食らうはず。ただ、内藤も「KOでも判定でも勝ちにいく」と言っているので、少しはそのあたりは予想しているだろう。

次に考えられるのは、まともに行ってもダメなので、とにかく頭から突っ込んでいくこと。内藤は試合間隔が短い上、目を切りやすいことはポンサク第二戦で証明済み。しかし、反則をとられるより前に内藤に動かれて「見えないパンチ」を食らう可能性が大きい。内藤の目と同様、大毅は鼻血を出しやすく、そうなると凄惨な試合になるだろう。

上の二つのケース以外、つまり大毅がガードを固めて前進するいつもの亀父直伝スタイルで臨めば、中盤8ラウンドくらいまでに内藤のKO勝ちとなる。少しは勝負にしたいと考えるなら上のどちらかの方法をとる他はないが、ここまでヒール(悪役)に徹してきたのだから、せめて後者の方法、つまりダーティーファイトで意地を見せてほしいものである。もっとも、その場合でも7、8割方は内藤KO勝ちで動かないかもしれないが、もしかすると負傷判定くらいには持ち込めるかもしれない。

結論としては判定でもKOでも内藤勝ちで動かない。内藤には、内容とか国民の期待とか考えないで普通に実力差をみせてほしい。おそらく試合後には亀兄が「次は俺とやれ」となるはずだが・・・。ちなみに、この試合10日夜現在海外ブックメーカーのオッズが出ていない。あまりまともな試合だとは思われていないということである。

p.s.試合速報は本日遅くにupできると思います。

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2007/10/10

パッキャオvsバレラ2回顧&ホリフィールド

WBCインターナショナル・スーパーフェザー級タイトルマッチ(10/6、ラスベガス)
マニー・パッキャオ ○ 判定(3-0) × マルコ・アントニオ・バレラ

パッキャオKO勝ちを予想したが、始まってみるとバレラがパッキャオの左を交わし続け、ペースは完全にバレラだった。11Rにレフェリーがブレイクをかけた後の打撃があってバレラ減点、それを含めて私の採点は116-111でパッキャオ。

パッキャオの左が当たらなかったのが、バレラのテクニックによるものか、パッキャオの衰えによるものか、あるいはその両方なのかは不明だが、少なくともパッキャオにバレラ第一戦やモラレス戦のような必殺の気合が感じられなかったことは確か。あるいは十分すぎるビッグマネーを稼いで、地元での祝賀会の方に関心が移ってしまったのかもしれない。

パッキャオの長所は思い切りの良さと、少々打たれてもひるまないハートの強さであるのだが、今回はその長所が目立たず、逆に短所であるパンチに種類がないことが際立っていた。局面を打開するには、打たれるのを承知で突っ込むか、さもなければ細かいパンチで相手のディフェンスを崩す必要があるが、今回のパッキャオはそれができなかった。

もしこれが年齢(28歳だが、もう50戦している)や上昇志向が失われたことによるものだとすると、今後、マルケス兄やエドウィン・バレロ、ホルヘ・リナレスといった面々とやっても勝てないのではないかという気がする。

WBO世界ヘビー級タイトルマッチ(10/12、ロシア・モスクワ)
   チャンピオン スルタン・イブラギモフ(ロシア、21勝18KO1引分け)   -500
○挑戦者 イベンダー・ホリフィールド(米、42勝27KO8敗2引分け) +300

近年のボクシング界の傾向として、高年齢になっても実力を維持し世界戦線に残っているというケースがかなり目立っている。30過ぎの世界チャンピオンなど昔はほとんどいなかったが、現在では42歳でなお実力を維持しているバーナード・ホプキンスを筆頭に、昔では考えられないくらい年齢の高い選手が多い。今回防衛戦を迎えるイブラギモフも、その前のブリッグスも、みんな30を超えている。

この背景としては、選手の健康管理面に多くの注意が払われるようになったことがあげられる。昔は年間4試合以上行う選手は珍しくなかったし6~8試合する選手もいた。しかし現在のトップクラスは年間2試合かせいぜい3試合が普通である。タイトルマッチも15R制から12R制になり、計量も当日から前日になって、過酷な条件で試合に臨むことは少なくなった。

さて、今回の挑戦者ホリフィールド。かつての実力は誰一人認めない者はいないが、御年なんと44歳である。初めてクルーザー級タイトルを取ってから21年、ヘビー級タイトルをとってから17年、あのマイク・タイソン戦(耳噛み事件)からすでに10年経っているのである。

ただ、ジェームス・トニーにKO負けを食らっていた当時からみると、2年近いブランクをおいて、ややリフレッシュされているような気もする。イブラギモフはブリッグスに勝ったが、ブリッグスは一発屋で安定した実力を発揮する選手ではなかった。いずれにせよクリンチの多い体力勝負になるだろうが、このオッズほどの実力差はない。ホリフィールド判定勝ちに少しだけ。

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2007/10/03

パッキャオ・バレラ2展望

WBCインターナショナル・スーパーフェザー級タイトルマッチ(10/6、米ラスベガス)
チャンピオン マニー・パッキャオ(フィリピン、44勝35KO3敗2引分け) -285
挑戦者 マルコ・アントニオ・バレラ(メキシコ、63勝42KO5敗1NC) +225

この間までWBCの同級世界王者だったバレラが、格下のインターナショナル王座に挑戦する試合。本場アメリカでは、もはや世界戦統括団体にはほとんど意味がなく、ファンが見たい試合がビッグマッチとなるという見本のような試合である。

しかしバレラも、もう33歳。デビュー以来19年が経過し、かつて「童顔の暗殺者(ベイビー・フェイス・アサシン)」と呼ばれた面影はすでになく、単に恐い顔のおっさんである。わたし的には、2000-2001年、モラレス第一戦やナジーム・ハメド戦がバレラのピークであり、それ以来実力的には長期低落傾向にあるとみている。

かたやパッキャオ、いま28歳とキャリア最盛期といっていい年齢になった。フライ級で世界チャンピオンになった選手はスーパーフェザーまでは無理と長いこと言い続けてきたが、ここ3年間はこのクラスで強敵ばかりを相手にしてほとんどの試合をKO決着で片付けており、体格的な問題を云々するのは難しくなってきた。

こうした背景からみると、およそ2.5対1という賭け率は、むしろバレラの過大評価ともいえる。この評価の要素として、今年3月のファン・マヌエル・マルケス戦でのほとんど互角の戦いがあったのだが、あれは8R終了間際のカウンターが決まったのがラッキーだったので、あれがなければほとんど一方的な試合だった。

もちろん、「バレラはまだこんなにできたんだ」とは思ったけれども、いまや当たるところ敵なしの勢いのあるパッキャオでは、前回(11RKO負け)と同じ結果になる可能性が大きい。パッキャオが飛び込んでくるスピードに合わせてカウンターを打つのは6年前のバレラでも難しかったのだから、今ならもっと難しいとみている。パッキャオのKOにブラックチップ。

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2007/09/11

内藤vs大毅戦・興味深い展開に

あと1ヵ月に迫ったWBC世界フライ級タイトルマッチ、チャンピオン内藤大助対挑戦者亀田大毅戦が興味深い展開になりつつある。

まず第一は、試合の透明性・公平性を担保するため(今さら・・・)、日本ボクシングコミッション(JBC)が異例としか言い様のない介入をしてきたことである。いったんは、チャンピオン(日本製)と挑戦者(メキシコ製)が異なるグローブで対戦すると発表されていたが、両者メキシコ製のグローブとなったことに加え、身体検査・計量でのJBC立会い、レフェリー・ジャッジの隔離などが行われることになった。

何しろ協栄ジムといえば「毒入りオレンジ」、亀田一家といえば「不当判定(より直接的には800なんとか)」が代名詞となっているくらい、試合の不透明性・不公平性には定評のある組合せなのである。そして、今回初めてフライ級リミットに落とす(はずの)亀田弟にとって、計量がシビアに行われるというのはそれだけでプレッシャーになる。実は世界的に計量不正というのは決して珍しくないのである。

なぜ今さらこんなシビアなことを行うのだろうと考えると、非常に興味深い。実のところ、ジャッジの見方によっては大毅の勝ちともとれる(例.興毅vsランダエタ第一戦)くらいの試合だったら、内藤の負けで仕方ないというのが大方の見方だろうし、2ポンドくらいのウェイトオーバーではとても埋まらないくらいの実力差が両者にはある(それでは世界タイトルマッチにはならないが)。グローブの違いなんて初めから関係ない。

普通に考えれば、興毅vsランダエタ第一戦で苦情が殺到したJBCが、面子にかけてそのスポーツ性を主張したということなのだが(ファイティング原田会長はフライ・バンタム2階級制覇チャンピオン)、うがった見方をすると、これは協栄ジムの仕掛けではないのだろうか。つまり、協栄ジムとしては、これ以上ドロ舟亀田号に乗っていられないということではなかろうか。

TBSと商売するために亀田一家と組んだ協栄ジムであるが、イメージが悪くなるばかりで兄弟の実力は少しもアップしない。せっかくWBAに働きかけて楽な相手と王座決定戦を組んでやったのに、きれいに勝てなかったばかりか亀父は自分の手柄のような顔でますます図に乗って言うことを聞かない。その間に苦労人坂田は世界チャンピオンとなり、暴力事件で謹慎していたサーシャも戻ってきた。

むしろこの機会に先代金平会長の遺したダーティーイメージを解消するため、このタイトルマッチを利用する方が利口である。どうせどんな手を使ったところで今回の勝負は望み薄である(サーシャに大毅のお面でもかぶせない限り)。だったら、われわれはフェアプレーでやってますよということを世間に知らしめることにしよう。どうせセコンドに付くのは亀父なのだ、というのが協栄ジムの腹積もりではないか。

二番目に興味深いのは、内藤陣営に続々応援団がついたことである。以前からの関係である白井・具志堅ジム(具志堅はもともと協栄の選手)に加えて、スパーリングパートナーとして川嶋勝重・名城信男のスーパーフライ級元世界王者が名乗りを上げ、苦労していたスポンサーにも、日本ベンチャー協議会(楽天とかヒルズ族)が付いたようである。内藤にとってはファイトマネーの点も含めてネックが次々と解消されている。

仮想チャンピオンを4・6回戦ボーイにやらせる大毅と、仮想6回戦ボーイを世界チャンピオンにやってもらう内藤。こうしたトレーニングの差が実力差に加わるとすれば、内藤がどんなパフォーマンスを見せてくれるのかたいへん興味深い。そして、これだけ外堀が埋まってしまうと、亀田一家としては「計量に失敗した」とか「手を痛めたから試合は中止」だとか言えなくなってくるので、ますます面白いことになると思うわけである。

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2007/09/10

OPBFスーパーフェザー級・内山、フセイン兄をKO

OPBF(東洋・太平洋)スーパーフェザー級王座決定戦(9/8、後楽園ホール)
内山高志(ワタナベ) ○ 8回KO × ナデル・フセイン(オーストラリア)

土曜日は予定が盛りだくさんで、後楽園ホールに着いた午後8時過ぎはまさに両選手入場の場面だった。

何しろナデル・フセインといえば、世界的ビッグネームである。約50戦して負けたのは、マニー・パッキャオ、オスカー・ラリオス、スコット・ハリソンといった世界の一流チャンピオンと昨年の榎洋之の4敗だけ。問題は、本来のウェイトであるスーパーバンタムから昨年の榎戦ではフェザー、今回はスーパーフェザーとクラスを上げたことである。

一方の内山はこれまで7戦全勝5KO。そしてプロ戦績以上に注目されるのは、アマ113戦91勝、全日本ライト級3連覇、世界選手権ベスト16、タイキングスカップ銅メダルという近年アマチュア・ボクシング界における最高のエリート選手であったということである。その意味では粟生(日本フェザー級チャンピオン)よりも一枚上といってもいい。

その両者によるOPBF王座決定戦。巨人戦があるのでG+の実況もない(録画中継)。これは見に行くしかないということで後楽園ホールに向かった。内山のきれいなボクシングがフセイン兄(弟はフライ級の世界ランカー、フセイン・フセイン)にどのくらい通用するかと思っていたのだが、案に相違して、一方的な試合になった。

1Rからフセインがガードを固めて前進、内山がジャブから上下を打ち分けるという展開。しかしフセインは全く手が出ない。「おいおい、お前は大ちゃんか?」と思わずつぶやいてしまうくらい、ガードを固めるだけで何もできず、時たま振るう左フックは内山に軽々と交わされてしまう。

3Rくらいからは内山のワンツーが的確にヒットして、フセインはロープを背にガードを固めるだけ。内山のストレートでフセインがのけぞる場面が目立つ一方、フセインはどうしたと思うくらいコンビネーションが出ない。ボディへのフックが時折当たるだけで、上へのパンチは交わされるかガードされている。

そして7Rから、内山はいよいよパンチをまとめ始める。フセインは打ち合いに活路を見出そうとするが、ほとんど全くクリーンヒットがないまま8Rに入る。ニュートラルコーナーで内山のワンツーが入り、フセインが応戦に入ろうとした時再度右がヒット(あるいは左の返しが入っていたのかもしれない)、フセインがたまらずダウンすると、コーナーからカウント途中でタオルが入った。フセインは「なんで止めるんだ」というポーズをとっていたが、あれは無理だろう。7Rまでの私の採点は70-63のフルマークで内山。

あのタオルのタイミングからして、フセイン陣営に当初から何らかの不安があったことは間違いないところで、おそらく体格的にスーパーフェザーは無理なのではないだろうか。一方の内山はこれで世界ランキング入りが確実だし、世界の一線級をKOしたのだから堂々と世界に打って出ることができる。体格・体調に問題があったにせよフセインを完封したということは、私が考えていたより強いということである。

しかし残念なことに、スーパーフェザーのチャンピオンはWBAがエドウィン・バレロ、WBCがファン・マヌエル・マルケスである。バレロは危険だし、マルケスのファイトマネーは出せないだろう。そして待っているとそのうちにホルヘ・リナレスがクラスを上げてくる。となると、狙い目としては一つ上のライト級か。アマチュアが長かったため内山はすでに27歳。そんなにゆっくりはしていられないかもしれない。

09080001_2 携帯のカメラなのでよく撮れてませんが後楽園ホール。

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2007/08/22

内藤大助vs亀田大毅戦の真相に迫る

なんかボクシング専門のブログみたいになってきましたが、とりあえず今日までご辛抱を。

ここ数日、時間があるとネット上を行ったり来たりして、内藤・大毅世界戦の情報を集めていた。ボクシングに目の肥えたライターは例外なく私と同じ意見、大毅では内藤の相手にはならないというものであった。だから、今日は技術論に戻って議論することはしない。

言ってみれば、常磐道で250km/hとか出して「俺には誰も追い付けないぜ!」とか言ってる小僧っ子が鈴鹿でFIに出るようなものなので、クラッシュするか何十周遅れるかという世界に違いないのだが、これまで分からなかったのは仮にも協栄ジム金平会長はプロ、そんなことが分からないはずはない。TBSだって視聴率ばかり気にしている奴が大多数だとしても、スポーツ観戦歴が長ければその程度のことを考える人間がいないはずはない。にもかかわらずなぜ、3億円はリップサービスとしても相当の大金をかけてこんな試合をするのかということであった。

その答えがネット上にあった。あくまで真偽不明の情報であるが、「内藤戦が大毅のラストマッチになる」というものである。スポーツ新聞記事の表面だけ読んでいるとそんなバカなと思われるかもしれないが、実はこのことで私が不思議に思ったかなりの部分の説明が可能になるのである。以下、私の推測も含めてその情報についてご紹介したい。

3兄弟の中で大毅が最もボクシングの才能がなく、またやる気もないというのはかなり良く知られた話である(才能があってもトレーニング方法が間違っていては大成しないが)。大毅の希望は亀田兄弟フィーバーで名前を売って芸能界入りすることで、世界チャンピオンを張れる器でないことは本人はじめ亀父も金平会長もみんな分かっていることだ。その意味では内藤も言っていたが、大勢の前で歌える度胸だけは大したものである。

さて、そういう最終目標からすると、どういうタイミングでボクシングから身を引くのが最も効果的だろうか。これまでジョー小泉がうまいことやる気のない選手とマッチメークしてきたが、だんだん客の方も気づいてきた。「無敗の快進撃を続け、史上最年少世界王者を目指したが、惜しくも奪取はならなかった。生涯成績11戦10勝7KO1敗」という今回の試合がドンピシャだという気はしないだろうか。

亀父にとってみると、大毅で客を呼べないということは分かってきたし(どこの会場もがらがらだ)、最近TBSもいい顔をしない。興毅は仮にも元世界王者だし現在も世界上位ランカーだが、いまさら後楽園ホールでなど試合させたくない。となると、なんとかいまメキシコで修業中の三男がプロデビューするまで食いつながなければならない。TBSから大毅をダシにまとまったカネが入るこの機会は好都合であり、併せて大毅も世界挑戦者のハクをつけて芸能界に送り出したい。

TBSにとっては、フジのPRIDE騒動を見ているだけに、亀田一家との付き合いはバックギアに入れたいところ。加えて亀田一家に対する世の中の風向きもフォローからアゲンストになりつつあり、この一戦がターニングポイントになりそうな雰囲気は感じているはず。もちろん視聴率=広告収入は見込めるので手切れ金代わりに多目に払っても懐は痛まない。

そして協栄ジム。長男移籍時にグリーンツダジムに支払った金額は、そろそろ全額回収しておかないと危なくなってきた。だからTBSから大金をGETしようという点では亀父と利害は共通。そしてこの試合大毅が負けても(負けるが)、後に興毅も坂田もいるから全く問題ない、というよりはむしろビッグマネーが期待できる。いずれ次の試合はタイに行かなければならないし、だとすれば嫌な仕事は全部内藤と宮田ジムにやってもらおうというくらいは、金平会長なら考えていそうだ。

こうして考えてみると、大毅が負けて困るのは本人含めて誰もいない。問題は大きなダメージなく試合を終えることができるかということと、芸能界入りがそんなにうまく行くかということである。TBSも露骨なことはできないので「SASUKE」と「筋肉番付」くらいには出してもらえるのだろうが、あのキャラクターがそんなに好まれるとは思えず、その点では亀父の目論見は大きく外れることになるだろう。

そんなことを考えていたら、大毅のスパーリングパートナーは6回戦ボーイという新聞報道である。どうやら、ケガをしないことに全神経を傾けているようだ。「オレはもっと先をみている」そうだけど、一体どこを見ているのかな?勝つのはともかくいい試合をしようと思っていたら、本田秀伸とか(バレラがハメドとやったとき、仮想ハメドとなってスパーリング)とやるべきじゃないの。というわけで、内藤戦の結果は今のところ、◎勝手な理由をつけて試合放棄、○勝手な理由をつけて試合そのものをキャンセル、△4Rくらいで壊される前に座り込む、といったところでしょうか。

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2007/08/21

世界タイトルマッチは「卒業記念旅行」ではない ~武本在樹vsクリス・ジョン戦(続き)

ボクシングの試合は「競技(スポーツ)」なのか「興行(見世物)」なのかという根本的な議論はあるのだが、保守的に「競技(スポーツ)」と仮置きしたとしても収入と支出が見合わなければそのうち誰もやらなくなってしまう。

そのことを前提に考えると、仮に5000人入る会場を客単価5000円で満員にしたとしても、入場料収入は2500万円にしかならない。後楽園ホールには2000人くらいしか入らないし、有明コロシアムやさいたまアリーナを使ったところでちゃんと自腹で入るのは5000人程度しかいない。そして日本選手の試合で5000円以上払って一般席で見る価値のある選手は残念ながらいない(ホルヘ・リナレスを除く)。

入場料収入を得るためには、試合を開催する費用、つまり会場の借り賃、ポスターや開催告知のための広報費用、当日の会場整理・警備その他スタッフの人件費、チケット販売の委託費用などがかかるので、それらが収入2500万円から引かれると仮に主催者の儲けをゼロにしたところでファイトマネーとして割けるのは両選手合わせて数百万円ということになる。

その程度のファイトマネーで来てくれるようなチャンピオンもいない訳ではないが(ミニマム級とか)、大抵はそれでは来てくれない。だから、その分をどこからか調達しなければならない。それができるのは、テレビ局か、スポンサーか、ジムの後援者ということになる。

しかし現実には、もともとNHKが紹介したことから注目され始めた亀田一家とか、たまたまスポンサー企業を見つけることができた選手とか、ジムのオーナーが漫画家でボクシングに使えるおカネがたくさんあるとか、資金力のふんだんにある大手ジムの所属選手であるとか、(「マネーの虎」に出るとか)、そういうことでないと資金の調達はできない。

つまり、勝負は最初から半ばついていることになる。資金調達のできるバックボーンのある選手はカネで世界ランクを買い、カネで世界挑戦を果たし、そして見せ場もなく負けていく。そもそも日本に優れたボクシング指導者はそれほど多くないし、国内のライバル相手に切磋琢磨もしない訳だから、こういう選手が何人いたところで世界戦の数が増えるだけで全体のレベルを上げることには全くつながらない

さて、最初に戻って質問である。これが「競技(スポーツ)」と言えますか?私が見たいのは、実力が接近した選手同士の手に汗をにぎる熱戦であって、はじめから勝負の行方が決まっている「興行(見世物)」ではない。おカネがあるからといって、卒業記念旅行のような気分で世界タイトルマッチをやるのはいい加減やめてほしいし、JBCもこれを許すのなら、いっそのことIBFとWBOも認めてしまってほしい。なぜなら、勝負の行方が決まっていても見る価値のある選手は世界にいるからである。

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2007/08/20

世界タイトルマッチは「卒業記念旅行」ではない ~武本在樹vsクリス・ジョン戦

日曜日のWBA世界フェザー級タイトルマッチは、金曜日に書いたようにチャンピオンのクリス・ジョンが圧倒的な力量差で挑戦者の武本在樹を9回終了TKOで退けた。やはり「格闘技に番狂わせなし」なのであった。

何年か前にJBC(日本ボクシングコミッション)は、「日本チャンピオンまたはOPBF[東洋太平洋]チャンピオンになっていない選手は、世界タイトルに挑戦させない」という申し合わせを作った。これは世界戦の粗製濫造、つまり日本人挑戦者が世界チャンピオンに全く敵わないという試合がとめどもなく続いたことにより、ボクシング人気が冷え込むことを懸念して作られたものだったのだが、いつのまにかこのルールはうやむやにされ、歩調を合わせてボクシング人気も冷え込んでしまった。

世界中で、日本のようにほぼ毎日ボクシングの試合があるという国はそれほど多くはない。しかしどう控えめに見ても、そのレベルは世界最高というにはほど遠い。レベルが高ければ、仮にローカルタイトルを取っていなくてもいい選手はいるかもしれないが、全体のレベルが低いのだから少なくともローカルチャンピオンにならなければ恥ずかしくて世界に出せないというのはすぐれた見識である。

ところが、こんなに不景気なのに「黄金の国ジパング」なのか、まるで卒業旅行とかボクサー生活の記念とかであるかのように、世界に挑戦しては全く見せ場も作れずに負けていく選手が多い。それでも、国内のライバルを破ってというなら分かる。そうでないから見ている側には頭にくるのである。

現在、ボクシングの世界チャンピオンとして認められている団体は4つあり、そのうち歴史の古いWBAとWBCを日本では世界タイトルと認定している。この4団体はそれぞれに地域タイトルを持っており、日本チャンピオンの上とされているOPBF[東洋太平洋]チャンピオンはWBCの認定タイトルである(WBAの認定しているのはPABAで日本未公認)。そして、地域タイトルのチャンピオンはそれぞれの団体でオートマチックに世界ランク上位にレイティングされるが、なにしろ4つもあるので中にはそれほど強くないチャンピオンもいる。

そういう実力の劣る世界ランカーを連れて来て日本で試合させ、地元判定でも何でも勝てば世界ランカーとなり世界チャンピオンへの挑戦権を得ることができる。そういう選手もそのマネージャーも自分達の実力は知っているので、半ば負けるのを承知で、別の言葉で言うと「世界ランクを売りに」日本に来る。そうやって世界ランカーとなったのが今回の武本在樹であり、亀田弟なのである。

そんなことをして何のためになるのかと思うが、おそらく世界戦経験者というのはそれなりの「ハク」がつくのだろうし、何十回に1回はまぐれで勝ってしまうこともある。だからといって、負ける何十回を見せられる方はたまったものではないし、大体、世界ランクや世界戦をカネで買える奴だけがそういう「卒業記念」をすることができて、そういうカネや伝手がない選手はいくらがんばってもそういう機会にたどり着くことが難しいというのは、世間一般と同じで全く夢のない話ではなかろうか。(長くなったので続きは明日)

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2007/08/17

内藤大助vs亀田大毅世界戦決定!

「格闘技に番狂わせなし」は桜五郎(プロレスラー)の名言だが、実際ボクシングの試合で本当の番狂わせというのは百試合のうち1試合あるかないかである。「番狂わせ」といわれる場合のほとんどが情報不足に起因していて、有利とされる方がそれほど強くないか、不利とされる方がそれほど弱くないかのいずれかである。

今世紀にはいってからの世界戦でいうと、20回やって1回勝てるかどうかの選手がその1回を世界戦でやってしまったというのは、2001年のヘビー級世界戦でハシム・ラクマンがレノックス・ルイスをKOした試合がほとんど唯一のケースで、あとは冷静にみて実力差がそれほどなかったにもかかわらず絶対有利(不利)などといわれていただけである。今年のケースでいえばドネアがダルチニアンをKOした試合と内藤がポンサクレックに判定勝ちした試合が番狂わせといわれるが、後から考えるとそれほど力の差はなかったというべきだろう。

さて、10月に内藤の持つWBC王座に挑戦することが決まった亀田弟だが、もしアクシデント(バッティング等による負傷)以外で亀田が勝ったとしたら、ラクマンがルイスに勝った以上の番狂わせである。もちろん、両者の年齢差が十歳以上違うことからすれば、内藤が急速に老け込み亀田弟が急速に伸びる可能性はゼロではないが、そもそもきちんとした指導者についていない弟が伸びるはずがないのであった。

亀田兄弟として一緒くたにされてしまう兄の興毅は、ともかくも世界戦前にOPBF(東洋太平洋)のフライ級チャンピオンをとっているし、ノエル・アランブレッドをはじめちゃんとした世界ランカーと対戦して経験を積んでいる。一方弟の大毅が対戦したそこそこの相手といえばせいぜいバレリオ・サンチェス(メキシコ・チャンピオン)くらいで、しかも打ちまくられてどう見ても負けのはずなのに露骨な地元判定勝ちだった。

週末にクリス・ジョン(インドネシア・WBAフェザー級王者)に挑戦する武本在樹も、おそらく10回やって1回しか勝てないのだろうからもし勝てば番狂わせだが(大体、何で榎に勝てないのに世界挑戦できるのか?)、大毅が勝てる確率はそれ以下であろう。そもそも、日本の上位ランカーで、亀田弟とやって負ける選手はいないのではないか。

それでも、大毅のファイトマネーは2億円だそうである。彼の商品価値があるのはこの試合までだろうから、まあ不愉快ではあるが我慢しよう。唯一懸念材料があるとすれば、これに勝てば次は兄の興毅との試合が確実であることからビッグマネーを前にして内藤が緊張しすぎてしまうことだけだ。これを勝てば次はデラホーヤとのビッグマッチというロバート・アレンとの試合で、あのバーナード・ホプキンスでさえ固くなったのである。

もう一つ予想すると、これは勝敗予想ほどの自信はないが、10月11日の有明コロシアムはアンチ亀田が半分以上を占め、亀田弟はブーイングを浴びるはずである

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2007/08/08

先週のボクシング ~バスケス、モラレス+ハットン、ドネア

WBC世界スーパーバンタム級タイトルマッチ(8/4、米テキサス州Hidalgo)
挑戦者 イスラエル・バスケス  ○ 6RTKO × チャンピオン ラファエル・マルケス

3月にマルケス弟がKO勝ちしてタイトルを奪ったが、直接の再戦で今度はバスケスがKO勝ち。とはいえ、両者目をカットしてのすごい試合で、マルケスはダウンして止められたが「まだやれる」と言っていたそうだから、決着戦は必至。スーパーバンタムでは現在この両者の力が抜けている。

問題は、お堅いWBCが直接の3連戦を認めるかどうか。とはいっても世界上位ランカーはタイと日本(西岡)だからこの2人とはやりたくないのが本音のはずで、あまりもめないで再戦となるような気がする。ちなみに、WBAではホリフィールドvsジョン・ルイスが2001-2年にかけて3連戦した。有名なガッティvsウォード3連戦(2002-3年)はメジャータイトルはかかっていなかった。

WBC世界ライト級タイトルマッチ(8/4、シカゴ)
チャンピオン デビット・ディアス ○ 判定(3-0) × 挑戦者 エリック・モラレス

スーパーバンタムからスーパーフェザーまで3階級を制覇し、4階級目をめざしたモラレスだが、力の衰えは隠せず、主要4団体で最も楽なはずの”デビット”ディアスに判定負け。これで引退が噂されている。そもそも2005年以来勝ち星なしの3連敗、しかもこのクラスで1度も勝っていないモラレスが、昔の名前があるとはいえ世界タイトルマッチに出られたこと自体がおかしい。

月曜夜のWOWOWで、注目すべき2つの試合の録画中継があった。

リッキー・ハットン(4RKO)ホセ・ルイス・カスティージョは、ハットンの馬力が全開で一方的な試合だった。押し合いではハットン有利と見てはいたものの、これほど差があるとは思わなかった。最後は左ボディのレバーブロー一撃で、カスティージョが時間差ダウン。その前からちょっと嫌気がさしていたようではあった。

それと驚いたのはラスベガスがイングランドのサッカー場のようになってしまったこと。トーマス&マックセンターの観客1万5千人のうち、1万人がハットン応援団で、鳴り物は出るは、”God Save the Queen”の大合唱は起こるはの大騒ぎ。

ハットンの次戦はフロイド・メイウェザーが噂されるが、もともとブーイングを浴びることの多いメイウェザーだから、米国でやってもハットン地元のような騒ぎになるだろう。もちろん実力ではメイウェザーが2枚くらい上だが、デラホーヤが前半やったことを12R続けることができれば、ハットンにもチャンスがない訳ではないような気がしてきた。

ノニト・ドネア(5RKO)ビック・ダルチニアンは、フライ級最強といわれていたダルチニアンが、ディフェンスの甘さをもろに突かれ左フックのカウンター一発で言い訳できないKO負け。フィリピン国籍で米国で活動しているドネアは、もともと一階級上のスーパーフライの選手だけあってダルチニアンの無手勝流攻撃に全くひるまず、逆によく見てカウンターを再三決めていた。

わたし的にはディフェンスの良くない選手は好きではないので、ダルチニアンの弱点を見事に突いたドネアに拍手を送りたいが、この選手もガードが低い。今回はフットワークというよりポジション取りが良かったが、もともとディフェンスはあまり重視しないタイプのようだ。現時点で坂田(WBA王者)とやったら坂田が勝つだろう。

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2007/07/30

亀田「夏祭り」と今後のフライ級戦線展望

土曜日の亀田兄弟戦の時間は上野だったので、後からVTRで見た。結果は両者とも大差の判定勝ちで、またもやジョー小泉(マッチメーカー)はいい仕事してますねぇといった感じだったが、ある程度ボクシングを見慣れた方なら兄弟の力の差は歴然としていたのに気がつかれたことと思う。

そもそも、相手の実力が違っていた。大毅の相手は世界17位とかいう触れ込みだが、世界ランクの16位以下はほとんどいい加減というのは常識だし、そもそも今年はじめに日本に来て日本ランカーの清水にフルマークの判定負けをしている(その後清水はポンサクレックに挑戦してKO負け)。その相手に、相変わらずワンパターンのガードを固めて頭から突っ込む一点張り。それを左右に回り込まれて時折ガードを割られてクリーンヒットされていた。

一方興毅の相手は、前の試合で元WBO世界チャンピオンのイシドロ・ガルシアと接戦(判定負け)したセサール・ロペス。この選手が大毅とやっていたら、おそらく勝ったのではないかと思われるテクニシャンで、結構強かった。その相手にほとんど仕事をさせなかっただけでなく、後半はボディーアッパーを再三決めて逃げ回らせた。さすが世界上位ランカーといえるだけの試合であった。

この兄弟を比べると、パンチの多彩さ、ディフェンス、スタミナ、いずれをとっても興毅が相当上である。そもそも見た目からして違う。しかし弟には最年少世界チャンピオンという「蜃気楼」が懸かっているので、親父は大毅の方に世界挑戦させたいようである。もっとも、興毅の試合はカネをとれるが、大毅の試合はタイトルでも賭かっていないと誰も見にこない(この日の有明も空席が目立った)ので、これは正解かもしれない。

そして、以前にコメントのところで書いたように、やはり同門対決にはJBC(日本ボクシングコミッション)が物言いという報道である。土曜日の試合前は商売に差し支えるので言わなかったのだろうが、もともとボクシングのジム制度は相撲部屋をモデルに作られたので、同ジム対決を想定していない。だが日本ではWBAとWBCしか認めていない以上、世界挑戦の機会は限られており、IBFやWBOを認めるか同ジムかといわれれば例外的に同ジム対決を認めた方が影響は小さい。

しかし、現実にWBC王者が日本の他のジムにいて、それとはやりたくないから同ジムというのでは理屈に合わない。だから、兄弟同時世界戦となればどちらかは坂田にならざるを得ないとしても、少なくとも一方は内藤と当てなければJBCとしては認めにくい(他のジムの抵抗を招く。ジムは協栄だけではない)のである。うれしいことに、1階級上のチャンピオンも、WBAがムニョス、WBCがミハレスと日本に呼ぶのは簡単だがえらく強い。亀田陣営としては内藤とやるか、来年まで待つかどちらかしかないのである。

最年少世界王者=大毅の賞味期限切れまであと3ヵ月。私の◎は兄弟同時挑戦の坂田vs大毅・内藤vs興毅、○は内藤vs大毅のみ、△は延々と世界前哨戦商売を続けるだが、TBSもそろそろ飽きてきているし会場も空席が目立つようだし、亀田陣営としてもゆっくりしているのは難しいかもしれない。

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2007/07/24

ホプキンスvsライト、リナレス世界戦回顧

まあ、なんと申しましょうか、なんでこんなに私は予想がうまいんでしょうとちょっとだけ(唄

170ポンド契約12回戦(7/21、米ラスベガス)
バーナード・ホプキンス ○ 判定(3-0) × ロナルド・ライト

WOWOWで1~3Rと12Rしかやらなかったので、全く印象だけになってしまうのだが、ライトは完全に腰回りに余計な肉がついているのに対し、ホプキンスはミドル時代よりもいい体をしていた。42歳にもなって揉み合いに持っていったのも、相当体力に自信があったからだろう。

みんながライトをやりにくいと思うのは、右ジャブで相手をコントロールして中に入れないからなのだが、この試合ライトから左を打ちに行ってホプキンスを中に入れてしまった。あるいは見た目以上に体格差を感じていて、早く仕掛けてスタミナ勝負と思ったのかもしれない。

ライトが目を切ってから12Rまで、ホプキンスがどんな手を使ってライトを消耗させていったのか見られなかったのは残念。もう何試合もできないのだから、フルラウンド見せてよWOWOWって感じでした。

WBC世界フェザー級暫定王座決定戦(同)
ホルヘ・リナレス ○ 10RTKO × オスカー・ラリオス

私が心配した唯一のケース、リナレスがラリオスのパンチを見てしまったことで苦戦を強いられたが、ラリオスにやはり一発強打はなく、最後はリナレスがきれいにKO勝ちで暫定とはいえ世界王者となった。

1Rラリオスが出るところにアッパーを再三突き上げていたので、あれを続ければ前半で決着していたと思うが、2R以降きれいに勝とうと思ったのかパンチをよけてからコンビネーションを入れる方針に転換し、その結果かえってたくさんパンチを浴びる結果となったのは皮肉。でも逆にリナレスがある程度打たれ強い(少なくとも福島や仲里より)ことも証明された。

本場のファンの前でビッグネーム相手にKO勝ちしたことで、今後デラホーヤから声がかかることは確実。田中繊大トレーナー絡みで、バレラのタイトルマッチと組み合わせるのはどうだろうか。現時点のフェザーでは、池仁珍もクリス・ジョンももはや相手にならず、ある程度の試合になるのは1クラス下のラファエル・マルケスかイスラエル・バスケスだけだろう。

もしデラホーヤ傘下に入れば、とりあえずロッキー・フアレス(バレラに善戦)あたりとやるのかもしれない。そしていずれはクラスを上げて、ファン・マヌエル・マルケスやマニー・パッキャオ、さらにカサマヨルやファン・ディアスとビッグマッチということになれば、次の世代のスーパースターになるかもしれない。それだけの素質は間違いなくある。

いずれにせよ、日本で弱的を相手にしてレベルを下げることはない。池やクリス・ジョンは榎と粟生に任せて、世界の大舞台で一層の飛躍を期待したい。

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2007/07/19

ホプキンスvsライト&リナレスvsラリオス戦展望

170ポンド契約[スーパーミドル+2ポンド]12回戦(7/21、米ラスベガス)
前統一ミドル級王者 バーナード・ホプキンス(米、47勝32KO4敗) +110
元統一Sウェルター級王者 ロナルド・ライト(米、51勝25KO3敗) -140

すでに42歳になるというのに、ホプキンスはまだやる気である。「ロッキー・ザ・ファイナルぼけ」のアントニオ・ターバーからダウンを奪って判定勝ちしてから1年。今度は2000年以降無敗のウィンキー・ライトが相手である。双方-120でスタートしたオッズがここに来てライトに傾いているのは、やはりその年齢を不安視するからに他ならない。

まずホプキンスだが、これまでの戦績は申し分ない。そしてミドル級時代の後半には極端に少なくなっていた手数が、ウェイトを上げてかなり多くなっていたのは好材料である。体格的にも、ライトの176cmに対し183cmとかなりの身長差がある。これまでライトはサウスポーでかつ懐が深いことから多くの対戦相手が音を上げてきたが、今度はポプキンスの方が大きい。一発の強打ももちろんホプキンスである。

かたやライト。トリニダードに圧勝しジャーメイン・テイラーとも引き分けて、ミドル級で最右翼の実力者であることは間違いないのだが、今回の契約ウェイトはスーパーミドルよりさらに上である。いつものように右のジャブでコントロールしたいところであるが、これまで自分より大きな相手とはあまりやったことがない。あと、みんな忘れているがライトも35歳。決して若い訳ではないのだ。

おそらくホプキンスはライトのジャブを食わない位置から、一気に必殺の右を決めに来るはずである。ホプキンスが急激に衰えていなければ、ライトのジャブを続けてもらうことはないだろうし、ライトが不用意にジャブを出し続けると打ち終わりに左のボディプロー(デラホーヤを倒したパンチ)もあるかもしれない。これをうまく捌けばライトのものになるが、ホプキンスがどこかで山場を作るのではなかろうか。ホプキンスの判定勝ちに一票。

WBC暫定世界フェザー級王座決定戦(場所同じ)
WBC1位 オスカー・ラリオス(メキシコ、59勝37KO5敗1引分け)
WBC2位 ホルヘ・リナレス(ヘネズエラ、23戦全勝14KO)

帝拳所属のリナレスが、いよいよ世界挑戦である。場所はLVマンダレイベイ。メジャーデビューにもってこいの舞台である。

日本でもおなじみのラリオスだが、すでに30歳とピークは過ぎている。スーパーバンタム時代から手数は多いのだがパンチ力がなく、フェザー級に上げると途端に歯切れの悪い試合となる。ここ2試合も弱的相手に10R判定勝ちと煮えきらず、いよいよ主役交代の時期が来たようだ。

一方のリナレス、打ち合ってよし離れてよしの万能型。ここまで23戦、地域タイトルで経験を積んで満を持しての登場である。ラリオスの手打ちのパンチは恐れるに足らないので、打ち合って強打を決めればKOで勝てる。逆に大事をとりすぎてラリオスのパンチを見てしまうと、あれは12R止まらないのでパンチを食っていないのに攻勢点で判定負けという危険もない訳ではない。

世界チャンピオンはノーリスクでは手に入らない。リナレスにはぜひ打ち合ってもらいたいものである。

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2007/07/18

内藤やった!3度目の正直で世界チャンプ

WBC世界フライ級タイトルマッチ(7/18、後楽園ホール)
挑戦者 内藤大助 ○ 判定(3-0) × チャンピオン ポンサクレック・ウォンジョンカム

全国ネットの中継がつかず、東京メトロポリタンTVの中継。ちらっと徳山が勝った時のことを思い出して何か今日はやるのではないかという気がしていた。内藤自身が2度負け(内藤の2敗はいずれもポンサクレックで、他の選手には負けていない)ているにもかかわらず、序盤からほとんど腰が引けずによく戦った。これでWBA、WBCとも日本人チャンピオンである。

内藤のガードが低くて打つ姿勢も良くないのはいつものことだが、今夜の試合なぜかポンサクレックが前に出てきたので、かみ合ってカウンターが再三決まった。なぜカウンターパンチャーのポンサクが最初から出てきたのだろうか。報道されたように減量の失敗があったのかもしれない。

3Rにポンサクが目を切ったのはパンチという判定で、確かにこの回内藤の右がクリーンヒットしたが、傷を見た感じではバッティングの可能性も高い。いずれにせよこの負傷でさらにポンサクがあせって空振りが目立つようになる。そしてオープンスコアリングシステムで途中採点が内藤有利ということになれば、ポンサクも出るしかなくなってしまった。

圧巻は9ラウンド。おそらく8ラウンドまでのポイント発表を聞いたのであろうポンサクが勝負をかけてきた。この回前半は打ちまくられた内藤が危ない場面もあったのだが、開き直って打ち合いに応じたら逆にポンサクの方が効いてしまった。10Rポンサクが休まざるを得なかった時点で、内藤の番狂わせがほぼ決定的となった。

試合を通じて見栄えが良くなかったのは、オーソドックス(内藤)対サウスポー(ポンサク)で足の踏み合いになったことと、内藤がなりふり構わず勝ちに行ったからで、本来内藤はちゃんとしたボクシングもできる選手である。逆にきれいなボクシングをしていたら、百戦錬磨のポンサクに細かいパンチを当てられていただろうから今夜はあれが正解だろう。

さて、これでフライ級のビッグマッチが日本で行えることになった。この試合では内藤に実入りほとんどなかったようなので、次はファイトマネー1億円の試合を用意してあげてほしい。私が期待したいのは、内藤対亀田興毅、坂田対亀田大毅のダブルタイトルマッチ。内藤・坂田とも弟とやりたいだろうな。楽勝だから。

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2007/07/12

WBO/IBF世界ウェルター級タイトルマッチ展望

現在ウェルター級の世界チャンピオンは、WBAがミゲール・コット、WBC正がフロイド・メイウェザー、暫定がシェーン・モズリーといずれ劣らぬ強豪が揃っているが、残るIBF、WBOのチャンピオンもなかなか強い。そして今週は彼らが揃って防衛戦を迎える。もしかしたらこのウェイトなら、メイウェザーよりマルガリトの方が強いのではないかと思っているのだが。

WBO世界ウェルター級タイトルマッチ(7/14、米カリフォルニア)
チャンピオン アントニオ・マルガリト(メキシコ、34勝24KO4敗) -120
挑戦者 ポール・ウィリアムス(米、32戦全勝24KO) -110

この十年間に敗れたのは1階級上のスーパーウェルター級タイトルに挑戦したダニエル・サントス戦のみ。それも負傷判定でのスプリット・デシジョン(1-2)だから、いかにマルガリトが強いかということである。しつこい連打型でしかも打たれ強く、相手の方が音を上げてしまういつものスタイルが健在なら、ミゲール・コットでもそう簡単な相手ではないだろう。

一方のウィリアムス、シャーンバ・ミッチェル(元スーパーライト級C)をKO、無敗対決のマティセー(IBF予想参照)もKOしている米国期待の25歳新鋭。183cmという長身サウスポーで、現地の予想でも当初マルガリトFavoriteだったのがすでに拮抗している。

強いチャンピオンと強い挑戦者のタイトルマッチで、日本で注目している人はほとんどいないが、かなりレベルの高い試合であることは間違いない。一応マルガリトの経験を上位にとるが、予断は許さない。いつまでもモズリーやメイウェザーでもないような気もするし、もしかするとこの試合でニューヒーローが誕生するかもしれない。

IBF世界ウェルター級タイトルマッチ(7/14、米アトランティックシティ)
チャンピオン カーミット・シントロン(プエルトリコ、27勝25KO1敗) -500
挑戦者 ワルテル・マティセー(アルゼンチン、26勝25KO1敗)  +350

普通IBFとWBOではIBFのチャンピオンの方が強いのだが(歴史的にIBFの方が古い)、この階級ではWBOの方に分があるようだ。こちらのIBFタイトルの方も両者の戦績をみると素晴らしいのだが、実はシントロンの1敗はマルガリトにKO負け、マティセーの1敗はウィリアムスにKO負けと、いずれもWBOタイトルマッチの両者に敗れているからである。

ともにキャリアの大半が前半KO勝ちというハードパンチャー対決。そして必ずしも打たれ強くはないこともキャリアが証明している。となれば、カシノ客好みの派手なKO決着となることは確実で、それでいまや東海岸の定番となったボードウォーク・ホール開催なのだろう。

これまでやってきた相手からみてシントロン有利ではあるが、実はウィリアムスがとてつもなく強かったとしたら、マティセーもそこそこやる可能性がある。その意味でこれも楽しみな試合。

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2007/07/05

IBF世界ヘビー級タイトルマッチ展望+フライ級世界戦

IBF世界ヘビー級タイトルマッチ(7/7、独ケルン)
チャンピオン ウラディミール・クリチコ(ウクライナ、48勝43KO3敗) -450
挑戦者 レイモン・ブリュースター(米、33勝29KO3敗) +300

現在、ヘビー級最強と多くの人が認めているクリチコ弟であるが、一時期非常に評価を落としていたことがある。その原因となったのが、2004年4月のブリュースターとのWBO世界戦(KO負け)であったことも、また明らかなことであった。従ってこの試合は、クリチコ弟にとってなんとしても勝って汚名をそそがなければならない大事な試合である。

その試合、クリチコが4Rにダウンを奪ってほぼ試合は決まったかに思われたにもかかわらず、5R倒しに行って逆に疲れてしまったクリチコが連打を食らいあっさりKOされてしまったのだが、これはその前年にコーリー・サンダースに同じように破れかぶれのような一発を食らってKO負けしたショックが尾を引いていたのは間違いない。

ウラディミールはゴールドメダリスト(アトランタ五輪)だけあってテクニックの裏づけがきちんとあるのだが、ハートの強さでは兄のビタリにかなり及ばないところがあり、打たれると一気に腰が引ける。落ち着いてクリンチするなり足を使うなりすればいい場面で、なぜかばたばたして致命傷を負ってしまうのである。こうした弱点は、2005年のサミュエル・ピーター戦(3度ダウンさせられたが判定勝ち)あたりから徐々に克服されつつあり、今回も落ち着いて戦えば判定でもKOでもクリチコのものであろう。

一方ブリュースターは、そのクリチコ戦や2005年のアンドリュー・ゴロタ戦(1RKO勝ち)のように、不利を予想された試合で非常に強い勝ち方をする一方で、カリー・ミーハン戦やタイトルをとられたリャコビッチ戦のようにだらしない試合も多い。ちょっとむらのある選手なのかもしれない。

今回はそのリャコビッチ戦から1年以上のブランクがあって、しかも敵地ドイツでの戦い。前回番狂わせで勝ったのはLVマンダレイベイだから、その時より条件は悪い。オッズにもそれが現れていて、ブリュースターは4倍つく。もしかしてウラディミールに対して相性がいい場合にはチャンスなきにしもあらずだが、前回の試合も5Rまでやや一方的だっただけに、ちょっと望みは薄いかもしれない。

おまけ:WBA世界フライ級王座統一戦(7/1、有明コロシアム)
チャンピオン 坂田健史 ○ 判定(3-0) × 暫定チャンピオン ロベルト・バスケス

世界的ビッグネームの一人であるバスケスを、坂田が細かい連打で圧倒し文句なしの判定勝利。オーソドックス(坂田)対サウスポー(バスケス)の戦いはジャブを制した方が主導権を支配できるが、坂田のジャブがしつこくバスケスをとらえていたのに、バスケスは序盤2、3Rにはすでに手が出なくなっていた。

坂田はほとんどのパンチで肩に力が入らずスムーズな連打ができた上に、出入りを繰り返してディフェンスも非常によかった。同じ協栄ジムのフライ級王者でもユーリとか海老原とはかなり違う。むしろファイティング原田とイメージがダブってしまった。

実は内藤大助が7/18にまたもやポンサクレックとやるのだが、できればそんな試合はキャンセルして、坂田対内藤の日本最強決定戦を見せてほしいと思うのは私だけだろうか(この両者は2001年に日本タイトル戦を行い、引分け)。そして、勘違いボクサー亀田弟の最年少世界チャンプはいよいよ苦しくなった。仮にWBAが認定しても、いまやれば坂田の一方的な試合になることは間違いない。

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2007/06/23

ハットン・カスティージョ戦展望

WBCインターナショナルスーパーライト級王座決定戦(6/23、米ラスベガス)
WBC1位 ホセ・ルイス・カスティージョ(メキシコ、55勝47KO7敗1引分け) +150
WBC4位 リッキー・ハットン(英、42戦全勝30KO) -180

このクラスでかつてWBA、IBFを統一したハットンが最強であることはおそらく間違いないが、現在は主要4団体のチャンピオンベルトは持っていない。一方のカスティージョは長らくライト級でがんばってきたが、コラレス戦の連続ウェイトオーバーでついにクラスを上げた。この一戦が行われることが分かっていれば、1日早くLV入りするんだった。注目度の割りに激戦が予想される。

ハットンは2005年にチューとマウサを倒し、その後ウェルター級に上げて2階級制覇を果たしたもののこのクラスに戻ってきた。「ヒットマン」と呼ばれるもののかつてのトーマス・ハーンズのような切れがなく、ひたすら体力で前進していくタイプだから、上のクラスには限界を感じたのかもしれない。そして会場はラスベガス、地元マンチェスターのような応援はない。

カスティージョは2000年にスティービー・ジョンストンに勝ってライト級王者となり、その後フロイド・メイウェザー2連戦(デラホーヤ戦を除き、メイウェザーが最もラウンドを落とした相手)、ホエル・カサマヨル戦、そしてディエゴ・コラレス2連戦(3戦目はキャンセル)と強敵・難敵との戦いを続けてきた。やはり体力で連打するタイプだが、コラレス戦にみられたようにかつてのタフネスが若干の衰えをみせていることは間違いない。

この一戦、どちらも前に出るタイプなので、後ろに下った方が劣勢になる。どちらかというとカスティージョの方がボクシングができるので、ハットン前進・カスティージョ回りこむという展開が予想され、そうなるとハットンのペースとなる。だが、パンチを的確に当てることについてはむしろカスティージョの方が上である。KOのチャンスという点では、むしろカスティージョの方に分があるかもしれない。ただしハットン28歳に対しカスティージョは33歳。いまや40近くまでやれる選手が多くなってきたが、カスティージョは若い頃から体を酷使し続けている。

オッズは若干ではあるがハットンFavorite。人気どおりハットンが体力で押し切って判定勝ちの可能性の方が大きいけれども、いまだ無敗のハットンは連打を食らったことがあまりない。そこを序盤でうまく突くことができれば、もしかするとカスティージョの前半KOがあるかもしれない。ケースとしてはそちらの方が面白い試合になりそうなのだが、そのためにはカスティージョがコラレス戦のような連打ができるかどうかが鍵となりそうだ。

p.s.というわけで、来週はラスベガス遠征のためお休みします。

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2007/06/07

WBA世界ウェルター級タイトルマッチ展望

WBA世界ウェルター級タイトルマッチ(6/9、米ニューヨーク)
チャンピオン ミゲール・コット(プエルトリコ、29戦全勝24KO) -275
挑戦者 ザブ・ジュダー(米、34勝24KO4敗2NC) +215

日本ランキングのあるミニマム級からミドル級の中で、世界チャンピオンの出ていないのはこのウェルター級だけである。欧米スポーツマン達の平均的なウェイトであるこのクラスは当然選手層も厚く、80年代のレナード、ハーンズ、90年代のデラホーヤ、トリニダードをはじめ、すぐれた王者を輩出している階級である。

メイウェザーがスーパーウェルターに行ってしまった現在、このクラスで最強と目されているのがミゲール・コットである。ポスト・トリニダードと呼ばれ2000年シドニーオリンピック(予選敗退)後プロ入り。2年後の2002年に元世界王者セサール・バサン(日本に来て坂本博之に勝っている)をKOして世界上位に進出、さらに2年後の2004年にWBOスーパーライト級のチャンピオンとなった。以後も負けなし、ほとんど苦戦したことすらない。

先日イーグル京和に元インターハイ王者八重樫東が挑戦し、ほとんど見せ場もなく完敗したが、「辰吉を超える7戦目での世界最速チャンピオン」など何の意味もない。まず大事なのは世界チャンピオンにふさわしい実力とその裏づけとなる実績を積むことで、勝ちより負けの方が多い相手とばかりやって何勝しても経験にすらならない。八重樫にしても亀田弟にしても、コットをぜひ見習ってほしいものである。

さて、そのコット、もともとディフェンスがいい選手だったのだが、最近は強打者にイメージチェンジしてしまった。しかし実は打たれ弱い面があり、ノーガードの打ち合いになって必ずしもいいタイプではない。そこらあたりを歴戦のスピードスター、ジュダーが突くことができるかどうかが見所だろう。

シドニーオリンピックの行われた2000年にはすでに世界チャンピオンだったジュダー、2001年のコンスタンチン・チューとの統一戦の敗退(初めての負け)で大きく株を下げた。その後再浮上してコーリー・スピンクスをKOしてこの階級の統一王者になったが、好不調の波が大きく後半息切れするという欠点は相変わらずである。

オッズどおり(コット1.4倍)コットの優勢は動かないが、前半戦はジュダーの動きが上回りそうだ。そこで決定打を決めることができればジュダーKO勝ちもあるが、普通はコットの判定勝ちだろう。もし完調のジュダーをKOできたとしたら、コットはメイウェザーよりこの階級では強いことになる。なお、この試合は月曜日のWOWOWでタイムリー・オン・エア中継される。

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2007/05/31

WBOヘビー級タイトルマッチ展望

WBO世界ヘビー級タイトルマッチ(6/2、米アトランティックシティ)
チャンピオン シャノン・ブリッグス(米、48勝42KO4敗1引分け) +170
挑戦者 スルタン・イブラギモフ(ロシア、20勝18KO1引分け) -250

1999年から2002年にかけて、ビタリ、ウラディミールのクリチコ兄弟が相次いでチャンピオンとなったWBOヘビーであるが、最近ややその価値が下りつつあるようだ。ウラディミールにKO勝ちしたレイモン・ブリュースターがセルゲイ・リャコビッチに敗れ、そのリャコビッチもブリッグスに敗れて、いまや4団体の中でも弱い方に属するチャンピオンとなってしまった。

そのブリッグス、1997年にジョージ・フォアマンに引導を渡した男として有名であるが、翌98年に当時の最強王者レノックス・ルイスに挑戦するもKO負けして長期低迷期に入り、しばらく鳴かず飛ばずの状態が続いた。2003年から11連勝して再度タイトル挑戦のチャンスをつかみ、とうとうヘビー級の王座についたが、タイトルを獲ったリャコビッチ戦は劣勢からの逆転KO。あと15秒ほどリャコビッチが我慢していればタイトルの移動はなかった。12Rまでスタミナが持ったということは評価できるが、途中かなりバテていたことも確かである。

対するイブラギモフはシドニーオリンピックの銀メダリストでテクニックのあるサウスポー、戦績もなかなかのものである。しかしながら、世界ランカーとの対戦はレイ・オースティン(先日、クリチコ弟に2RあっさりKO負け)との引分けくらいで、実際どの程度戦えるのかは未知数といっていいのかもしれない。

試合の鍵となるのは、ブリッグス260ポンド(120kg)、イブラギモフ220ポンド(100kg)の体格差ではないか。普通なら体格に優れた方が絶対有利なのが格闘技の常識であるが、ヘビー級までくると必ずしもそうではない。100kgを上回る体を12ラウンド休みなく動かし続けることはかなり困難なのである。ブリッグスにもそれがあてはまり、エンジン全開を続けられるのはせいぜい2R6分で、それ以上休みなく攻勢を続けることはまず無理といっていい。

対してイブラギモフは、短時間のパワーではブリッグスに劣るが、12R動き続けることができる。ましてサウスポーで攻略しにくいことを考え合わせると、ブリッグスのパワーを空転させる場面は十分に予想される。そうなると試合としてはつまらないものになる可能性が大きいのが残念だが、イブラギモフの判定勝ちが5割以上。ブリッグスが「The Canon(大砲)」と呼ばれる強打を序盤で決めて倒してしまう可能性が3割。ブリッグスが振り回しすぎて疲れKO負けが2割ということで、ブリッグスの判定勝ちだけはないだろう。

この試合は月曜日のWOWOWでタイムリー・オン・エア中継される。

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2007/05/17

WBC・WBO世界ミドル級タイトルマッチ展望

WBC・WBO世界ミドル級タイトルマッチ(5/19、米メンフィス)
チャンピオン ジャーメイン・テイラー(米、26勝17KO1引分け) -800
挑戦者 コーリー・スピンクス(米、36勝11KO3敗) +500

今年最大のイベント、デラホーヤvsメイウェザーがやや期待はずれで終わり、これから夏にかけてヘビー級、ミドル級あたりを中心にビッグマッチが続く。ホプキンスがデラホーヤに勝って4団体を統一したミドル級のチャンピオンベルトも、ひとつ減りふたつ減りして現在残っているのはWBC/WBOの2つだけ。それでもテイラーがこの階級最強のチャンピオンであることは間違いない。

今にして思うのは、ホプキンスと当てるのがやっぱりちょっと早かったかなあということで、もう少し経験を積んでからチャンピオンになった方がより安定したんじゃないかと思う。ロナルド・ライトはともかく、カシム・オーマにはKOで勝たなくちゃいけないし、本来は1階級上げてジェフ・レイシーあたりとやっても楽勝できるだけの実力を持った選手である。

それがオーマに続いて、下のクラスの、しかもパンチのないスピンクスが相手である。なにしろウェルターでザブ・ジュダーに負けてタイトルを手放し、確かにスーパーウェルターのタイトルを取っているのでこれで3階級目なのだが、36勝のうち11KOというのは尋常でないKO率の低さである。確かに試合運びは巧いしディフェンスのしっかりした選手なのだが、攻撃面ではミドル級の選手に脅威を与えるものでは決してなく、逆にウェルターでジュダーに倒されているくらいだからミドル級の攻撃に耐えられるのだろうか。

テイラーの勝ちは動かず、問題は判定かKOか。そして7~8割はテイラーが倒し損ねるような気がしている。そうなるとあまり見所のない試合になる可能性もあり、正直なところミスマッチなのかもしれない。こうした予想を覆してスピンクスにはがんばっていい試合にしてほしいところだが。

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2007/05/06

デラホーヤvsメイウェザー戦回顧

WBC世界スーパーウェルター級タイトルマッチ(5/5、米ラスベガス)
挑戦者 フロイド・メイウェザー ○ 判定(2-1) × チャンピオン オスカー・デラホーヤ

一言で言って、世紀のスーパービッグマッチというにはやや水準の低い試合。なぜそうかというと、メイウェザーは体に重りをつけてファイトしているような鈍い動きだったし、デラホーヤも12ラウンド動き続けるだけのコンディションを作ってこなかった。先週お届けした予想のまさにそのとおりに進んだ試合だったのだが、デラホーヤが9R以降失速してしまって判定を落とした。私の採点では114-114のドローであるが、柔道のように優勢をつければメイウェザーだから判定に異存はない。

試合直後のデラホーヤのインタビューで、「勝ったと思った」と言っていたが、これはトリニダード戦のときやモズリー戦のときと同じ言い分で、たしかにそう採点するジャッジもいた訳だからそう思っても仕方ないのだが、だからといって勝手にペースダウンしていいことにはならない。これでは、プロモーター業に熱心で走りこみが足りなかったと思われても仕方がない。すでにビッグマネーを十分すぎるほど手にしており、無理もないとはいえ。

少なくともデラホーヤに、マヨルガ戦やフェルナンド・バルガス戦のような覇気というか気力充実というところはあまりみられなかった。序盤2、3ラウンドまでは執拗にボディを狙ってアグレッシブに攻めていたのだが、すぐにいつものような攻め方に戻ってしまいメイウェザーの逆襲を許した。相打ちをすべきところで顔のガードを優先したような気もする。こうなってみると、デラホーヤはラストファイトで、「圧倒的に完敗するおそれのない相手」をうまく選んだといえなくもない。

試合自体はデラホーヤの作戦勝ち、というよりもメイウェザーは少なくとも現段階でこのクラスの一流を相手にするのはやはり無理である。終盤デラホーヤがふらついたのはメイウェザーのパンチに押されてというより自分のガソリン切れで、メイウェザーのパンチはポイントは取れるけれど相手を倒すことはできそうもない。これで、ガッティ、ジュダー、デラホーヤから3階級取ったことになるが、この3者のいずれもが下のクラスから上がってきていることは大きな要因だろう。

スーパーファイトというからには、どちらがどちらを倒してもおかしくないということでなくてはならない。3年半前のホプキンスvsデラホーヤでは、実際にホプキンスが必殺のボディブローを決めたし、いまなぜパッキャオが人気沸騰しているかというとKOするからである。今回の結果はメイウェザーがデラホーヤに勝ったというだけで、スーパーウェルター級で世界最強を示した訳ではないし、ましてやパウンド・フォー・パウンド(各階級最強)を印象付けたものでもない。有名選手同士を戦わせても決していい試合になる訳ではないということを改めて感じさせられた。

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2007/05/05

連休後半と長谷川・バレロ本望戦

マカオから帰ってきて、連休後半である。一昨日はのんびり過ごしてボクシングを見て、昨日はTSUTAYAから「TRICK」を借りてきて一気に7話分見た。そろそろ仕事に行くのがそんなに嫌ではなくなりつつあるので、連休をとっただけのことはあると言うべきだろう。

3日のボクシングは帝拳・日テレ陣営が総力を挙げた「ワールド・プレミアム・ボクシング」だったが、残念ながら有明コロシアムには空席が目立ったようにみえた。この陣営は亀田・協栄・TBSグループと比べるととてもまじめにボクシングに取り組んでいるのだが、いかんせん選手に華がない。これはかつてのムエタイで、ラジャダムナンのいい選手を呼んでおきながら、沢村忠の弱的相手に視聴率で差をつけられたときによく似ている、というよりそのままである。

長谷川穂積はちゃんと国内のライバルに勝って世界に挑戦し、年を取って動きが鈍くなっていたとはいえウィラポンに勝ってタイトルを取ったのだから文句のつけようがない世界チャンピオンである。バンタム級でこれまで世界最強だったラファエル・マルケス(メキシコ・前IBFチャンピオン)がクラスを上げた今、もしかするとバンタム級最強に近いところにいるのだが、そのKO率が示すように倒しに行く選手ではないのである。

もともとサウスポーというのはオーソドックススタイルの相手の利き腕である右からの距離が遠く、決定打を食いにくいというメリットがあることから、どちらかというと守備的なスタイルなのである。しかしこれは、逆に言うと自分の利き腕から相手が遠いということでもあるので、パッキャオのようにサウスポーのファイターが脚光を浴びるのはむしろ例外で、例えばロナルド・ライトのような地味なボクサーになりがちである。

だから今回長谷川がKO宣言したのもかなりの勘違いで、ウィラポンを倒したのもカウンターであったように、攻めて味のある選手ではないのである。せっかくきちんとしたディフェンスができてカウンターも巧いのだから、「ジャイロパンチ」などと変なことは考えずに、さらにテクニックを磨いてほしいものである。

そして今回最も面白かったのはスーパーフェザー級のバレロvs本望戦だろう。実はこの試合、9割方本望の負傷TKO負けだろうと思っていたらまさにそのとおりになった。本望は非常に悔しそうだったが、かつての対戦相手たちがまさにこれからという時に負傷判定となり本望の判定勝ちに悔し涙を流してきたのだから、仕方ないんじゃないの、と言ったら角海老の人たちに怒られるだろうか?

日テレで2~4ラウンドをカットしたので、肝心要のどういうパンチで本望の目が切れたのか確認できないのだが、そこはさすがに世界2位、テレビを見る限りダウンしそうなパンチは食らっていない。バレロがそこまでの選手なのか、あるいは本望がかなり世界に近い選手だったのかは、バレロの次戦以降を見なければなんともいえない。

もう一つの試合、名城vsムニョスはムニョスの力がセレス小林戦あたりと比べると相当落ちている感じがした。ムニョスは暴漢に足を撃たれて長期ブランクを作っているので、間違いなくその影響だろう。パンチのほとんどが手打ちで迫力は半減していた。先日アルセに勝ったWBC王者ミハレスとの実力差は完全に逆転していると思われる。

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2007/05/03

ROCKY BALBOA(ロッキー・ザ・ファイナル)

今回のマカオはGW中にもかかわらず行き帰りとも飛行機・空港とも空いていてとてもよかったし、機内の映画がこれがまたよかった。行きは「犬神家の一族」帰りは「ロッキー・ザ・ファイナル」を見たのだけれど、飛行時間が短くて他にも見たい映画があった(「武士の一分」とか「大奥」)のに残念なくらいだった。さすが業績好調のANAである。

両方とも、私がまだ若い頃にオリジナルが大ヒットした作品で、そのリバイバルとかリメイクで、まあ犬神家の方はやっぱりオリジナルの方がよかったねという感じだったのだが、ロッキーの方はいまの時代でしか作れない映画なので、かなり楽しめた。最初のロッキーを映画館で見て、最も印象に残った生卵5個一気飲みもやったし。

日本語吹き替えと英語字幕なししかなくて、日本語は5分だけ見たらあまりにイメージが違ったので、すぐに英語にして英語力のなさを痛感しながら見た。そして後から、これは絶対にオリジナル音声で見なければならなかったなあと思った。まず、アントニオ・ターバー(元統一ライトヘビー級チャンピオン)の演技が巧いのである。ターバーはこの映画を撮るのにあまりに熱心になりすぎて、その後のバーナード・ホプキンスとの試合では動きが鈍くなってダウンを奪われての完敗という落ちがつくのだが、とにかく本職の役者並みだった。

日本でも、ガッツ石松とか赤井英和(この人のボクサー時代を知るファンもかなり少なくなった)とか、ボクサー出身で役者も出来るという例はあるのだが、ターバーの場合いきなり準主役である。アマチュア歴が長くプロ入りいたのもたしか20代後半だから、それなりにいろいろな経験もあるとしても大したものである。残念だったのは、ターバーはもっと巧いし早いので、ボクシングの力を見せられなかったことだが、グレン・ジョンソン戦のように粘る相手には苦戦する傾向があるということについては、それなりにディクソン(映画の中での統一ヘビー級チャンピオン)と重なる点がある。

ロッキーの最初の頃にはまだラスベガスはダウンタウン中心でボクシングの大きな興行がなかったので、今回の試合会場がマンダレイベイというのも楽しい。そしてHBOのペイパービューで、インタビュー会場にはゴールデンボーイプロモーションの名前もあったのは笑った。さらにリングアナウンサーはマイケル・バッファー。バッファーのアナウンスを吹き替えで聞いたら面白さは半減である。

加えてレフェリーはジョー・コルテスである。まあ、実際にあんな試合になったら、コルテスは2Rのロッキー2度目のダウンの前にストップしてるだろうからディクソン圧勝で終わるのだが、そこは映画だから多少は許そう。このようにリアルなボクシングシーンに登場するキャストをそろえて作ったというところにロッキー・ファイナルの面白さがあり、そこらあたりが単なるリメイクである犬神家とは違ったところだろうと思う。松嶋奈々子にあの役は似合わないし。

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2007/05/02

WBC世界スーパーウェルター級タイトルマッチ展望(続き)

WBC世界スーパーウェルター級タイトルマッチ(5/6、米ラスベガス)
チャンピオン オスカー・デラホーヤ(米、38勝30KO4敗) +140
挑戦者 フロイド・メイウェザー・Jr(米、37戦全勝24KO) -170

一方、6階級を制覇したデラホーヤの同様のデータは以下のようになる。
[ライト(135lbs=61.4kg)]11ヵ月、11戦
[スーパーフェザー(130lbs=59.1kg)]7ヵ月、2戦
[ライト(135lbs=61.4kg)]1年7ヵ月、7戦
[スーパーライト(140lbs=63.6kg)]1年1ヵ月、3戦
[ウェルター(147lbs=66.8kg)]4年2ヵ月、12戦
[スーパーウェルター(154lbs=70.0kg)]2年6ヵ月、4戦
[ミドル(160lbs=72.7kg)]1年、2戦
[スーパーウェルター(154lbs=70.0kg)]2年7ヵ月、1戦

同じスーパーフェザーからのクラス上げとはいっても、デラホーヤの場合ライト級から落として2戦しただけであり、そしてキャリアの最も長いのはウェルター級である。これは今回行われるスーパーウェルターと1階級しか違わない上、デラホーヤの場合さらに1階級上のミドル級でも試合をしている。

ウェルター以上の実績でも、JCチャベス第2戦、アイク・クォーティー戦、トリニダード戦、モズリー2連戦、カスティリェホ戦、バルガス戦、ホプキンス戦、そして先日のマヨルガ戦と多くの激戦を戦っており(4敗しているが)、すくなくともこのクラスでえりぬきのハードパンチャー達と五分以上の戦いをしてきたことは間違いない。

問題はデラホーヤのスタイルが、パワー系の選手に対してスピードで対抗するのはかなり得意としているのに対し、スピードのある相手を迎え撃つのはそれほど得意ではないというところにある。ただし、今一歩踏み込みの足りなかったトリニダード戦やモズリー戦と違い、メイウェザーのパンチはまともにカウンターで食わなければ大丈夫とデラホーヤは思っているはずで、だとすれば相打ちさえしていればいいということになる。

展開としては、メイウェザーは体のサイズが違うので動かざるを得ないし、デラホーヤはガードを固めて前に出ることになるだろう。その場合、10kgの鎧をつけてメイウェザーがちゃんとフットワークを使えるかどうか。デラホーヤのパンチをすべてかわすことは難しいので、どこまでダメージが少ない間にデラホーヤを痛めつけることができるかが鍵になる。

結論としてはデラホーヤ。なぜかというと、このクラスのちゃんとした選手とやって、少なくとも現時点のメイウェザーでは倒せないと思うからである。だから問題は、デラホーヤがマヨルガ戦の出来を維持できているかどうかで、それができているようならバルガス戦のように後半メイウェザーをつかまえるだろう。メイウェザーが勝つとすればコラレス戦のような展開